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2006/03/16(木) アスファルト 16
 遠くで自分を呼んでいる声が聞こえる。誰だろう・・男は混沌とした意識の中でその声を聞いた。そしてその声がだんだん大きくなってくる。

「あなた・・あなた起きて」

 男はそれが妻の声だと気が付いた。

「会社に行く時間ですよ、遅れますよ」

 男はここはどこだろうと瞬間考えたが、ここが自分の家だと気が付いたときには不思議な気持ちだった。俺は一体どうしたんだう?男は長い夢を見ていたということに気が付くのにずいぶん時間がかかった。パジャマは汗でぐっしょりと濡れていた。

「おはよう」

「おはよう、あなた昨夜ずいぶんうなされていたみたいだけど、何か悪い夢でも見たの」

「あぁ、どうやらそうみたいだ」

「早く顔を洗ってきて、急がないと遅れますよ」

「子供たちは?」

「とっくに出かけましたよ、今日は朝錬があるとかで急いで出かけたわよ」

「そうか・・・」

 男は一連の出来事が夢であったことをやっと自覚できた。いつものように電車に乗り、いつものように会社に出かけた。

つづく


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