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2006/03/17(金)
アスファルト 17
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男はいつものように電車に乗り、いつものように会社に入り、いつものように仕事をした。ただ、男はいつものような仕事に対するきれがなかった。どこか上の空であり、同僚がどうかしたのかと聞いてきたほどである。 あの長い夢はなんだったんだ。夢であれば目覚めた直後ははっきりとおぼえているが、だんだん記憶があいまいになり自然と忘却していくのに、あの夢はまるで昨日の記憶のようにはっきりと覚えている。 男は仕事が終ると珍しく駅の近くのス−パ−によると牛肉と野菜を買った。妻に電話して今晩はすき焼きをしようと告げた。こんなことは今までになかったことである。あの夢を見てから男は家族のありがたさ、大切さというものに気が付いたのかもしれない。今まで仕事仕事で家族のことなど省みることなどなかったのである。
つづく
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