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2006/03/18(土)
アスファルト 18
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男は買い物を済ませるとまっすぐ自宅に戻った。あまりに早い夫の帰宅に妻は驚きを見せた。雨でもふるんじゃないかしらと妻は冗談交じりに言いながらもうれしさを隠せなかった。 その夜は久しぶりに家族全員で夕食を食べた。男はこんな当たり前のことさえも、今まで家族にしてあげられなかったことを悔やんだ。そして考えた、あの恐ろしい夢を。そうだ、これからは家族にはできるだけのことをしてあげよう。そんなことを考えていた。 夕食が終ると男はまず確認したいことがあった。寝室に入るとタンスの小引き出しを開けた。運転免許証の入ったケ−スを明けてみた。よかった・・・運転免許証にはちゃんと男の顔写真があたりまえのようにあった。よかった。やはりあれは夢だったんだ。男は免許証を元の位置に戻すと、化粧台に向かっていた妻に言った。
「今度の日曜日、久しぶりにみんなでドライブにでも行かないか」
「えっ・・あなた、どうしたの急に・・何かあったの」
「いや別にね、たまにぱ運転しないとできなくなっちゃうんじゃないかと思って」
「いいわねぇ、、鎌倉のほうに行ってみたいわ、いつでも行けそうでなかなかいけないもの」
「うん、わかったそうしよう」
「ところであなた、昨夜はどこに泊まったの、たぶん仕事で遅くなっているんだろうって子供たちと話したんだけど、朝になったらちゃんと帰ってらしたから安心したけど。でもだいぶ飲みすぎたのかずいぶん朝方うなされていたけど」
「えっ・・・」
「昨晩隣町で強盗殺人事件があったからちょっと心配したのよ、そんなことがなければ別に心配もしなかったんだけど」
「強盗殺人・・・」
その時だった、玄関のチャイムが鳴ったのは。
「あら・・誰かしらこんな時間に」
妻はパジャマ姿のままで玄関に向かった。やがて戻ってきた妻は男に言った・
「あなた・・・警察の方が・・あなたに聞きたいことがあるんで゛すって・・」
おわり
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