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2006/03/02(木) アスファルト 2
 あれから一週間が経った。男はあいかわらず職をさがしていた。もともとディスクワ−クだった彼は、できれば事務系の仕事を探していたが、この不景気な時代、自分にぴったりとあてはまる仕事がそうそうあるわけがない。
 この日も職探しに疲れて公園でサンドイッチをかじっていた。季節は秋も深まり、公園の銀杏の木の葉があたり一面に敷き詰められていた。
 公園には七五三の帰りなのだろう、きれいに化粧された稚児さんのような男の子が父親に写真を撮られていた。そんな光景を見ながら、男は幸せだった昔を思い出した。
 妻と別れたのは5年前である。子供も二人いた。当時は仕事、仕事で家庭を顧みる余裕のなかった夫に妻は突然別れを言い出したのだ。妻の実家は千葉で小さな海産物の問屋をやっていたので、実家に帰るだけで二人の子供を育てる余裕は充分にあったのだろう。
 別れたとき二人の子供は中学生だったから、今はもう大学生か・・・などと考えていると、後ろから声をかけられた。振り返ると、そこに女が立っていた。

「お久しぶりです」

 ぺこりと頭を下げると、男の座っているベンチの隣に腰掛けた。男が以前勤めていた職場の部下である。名前は斉藤由里といい、パソコンを使わせたら彼女の右に出る人はいなかった。


つづく


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