|
2006/03/08(水)
アスファルト 8
|
|
|
男はアタッシュケ−スをあけてみた。間違いなく100万円単位の札束が8束あった。こんな金はたちまち無くなるだろう、とにかく仕事を確保しなくてはと、男は夜警の仕事に出かけた。 会社につくとすぐに事務の人に履歴書を見せた。茶封筒の中を明けた事務員はすぐに写真が貼付していないことに気が付いた。
「一応ね〜、決まりですから写真を貼っていただかないとねぇ〜、いえ、内容はまったく問題ないんですが、今すぐに写真を用意できませんかねぇ」
「はぁ・・・・」
「よかったらここのデジカメとパソコンを使ってプリントアウトしましょうか、何もちゃんとした写真でなくていいんですから」
「いや・・・結構です。他に仕事をみつけます、いろいろとありがとうございました」
「あ・・ちょっとあなた・・!!!」
男は警備員の会社を後にした。せっかくみつかった仕事が無くなった。あの場所で写真を撮影しても、自分の顔が写らないことは分かっていた。 マンションに戻ると男は今後のことを考えた。このままでは再就職はできない。できる仕事といえば日雇い労働しかないだろう。とにかく、このお金は由里に返して、肖像権を買い戻そう。男はそう考えると、お金を受け取った公園に向かった。
つづく
|
|
|