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2006/03/09(木)
アスファルト 9
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公園に着くと、あの時座っていたベンチに腰をかけた。紺のブレザ−を着た由里は現れるだろうか。ああいう仕事をしているなら、あちこちに出かけてはぶらぶらしている人間に声をかけているに違いないと思った。
ところが、その日は見つからなかったばかりか、翌日も、その翌日も由里は現れなかった。やがて一週間が過ぎた。その日も800万円の入ったアタッシュケ−スを下げて公園へでかけた。 いつものように昼食にパンでも買おうかと、公園の真向かいから見えるコンビニに入った。男はパンを買うとコンビニを出たそのときだった、前方からものすごい勢いで自転車が走ったきた。男は自転車をよけようとしてしりもちをついた。 その時、男の後方からもう一台自転車が近づくと男が転んだときに思わず手を離したアタッシュケ−スを奪うとたちまちのうちに走り去っていった。 瞬間男は何がおきたのか分からなかった。ようやく理解できたときに男は事の重大さに気が付いた。
つづく
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