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2006/06/20(火)
ともだち 2
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それは5分ほど続いた。あぁ3台のパソコンがこれでみんな壊れたと落胆したが、コンセントが抜いてあるのになぜパソコンは起動と終了を繰り返すのだろう、ありえないことである。充電式のノ−トパソコンならわかるが、ディスクトップである。 階下の子供たちが下から声をかけてきた。 「お父さん、大丈夫!!」 「大丈夫だけど、パソコンが壊れたみたいだ」 やがてパソコンはちょうど充電がきれたみたいにぷつんときれた。しばらくは呆然としていた。とりあえず子供たちのパソコンは大丈夫かと僕は下に下りた。子供たちのパソコンはまつたく何もなかった。それがせめてもの幸いかと思い、ふたたび屋根裏に上がってみると、切れたはずのパソコンが3台ともまた起動している。なんなんだ???僕はもうあきれてしまった。 なるようになれとふて腐れて寝転がると、なんだかカタカタと右側のパソコンのキ−ボ−ドが動いている。なんだか気持ちが悪くなった。さらによく見ると、中央のパソコンに文字が打たれている。だんだん頭が冷静になってきた。つまり右側のパソコンのキ−ボ−ドで打たれた文字が中央のパソコンのディスプレイに表示されているのだ。 中央のパソコンに打ち出された文字は、アルファベットの羅列である。英語でもフランス語でもドイツ語でもない。それはスクロ−ルをしながら次から次へと打ち出されていく。それが3分ほど続くと今度は漢字が羅列された。これまた意味不明である。そして次にひらがなである。次々に打たれる文字はまったく意味をなしていない。さらにそれはカタカナに変わった。またまた意味をなさないカタカナの羅列、これが一番長かった。10分ほどそれを繰りかえした。 これがパソコンの暴走というやつかなと漠然と考えていると、いきなりパソコンの画面が真っ黒になった。いよいよ終わりかとディスプレイを眺めていると、また右側のパソコンのキ−ボ−ドがかたかたと動き始めた。今度はゆっくりである。 最初の文字は「カ」。 次に「イ」、次に「セ」、「キ」、「シ」、「ユ」、「ウ」、「リ」、「ヨ」、「ウ」。 カイセキシュウリョウ?わけのわからない僕は次の文字が打たれるの待った。しかし、右側のキ−ボ−ドはカタリとも音がしない。 僕は、もしかしたら誰かがこのパソコンにアクセスしてきているのだと理解した。そして恐る恐る中央のキ−ボ−ドを打ってみた。・・・君は誰だ・・・だが中央のパソコンには何も表示されていない。ふと右側のパソコンのディスプレイを見ると、そこに僕の打った文字がカタカナで表示されていた。
「キミハダレダ」
しばらくは何も反応がなかった。やがて今度は僕の目の前の中央のディスプレイに文字が表示されはじめた。右側のキ−ボ−ドがかたかたと動いている。打たれた文字にはこう表示されていた。
「ボクハマヌ−タ」
つづく
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