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2006/06/26(月)
ともだち 8
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不思議だった。彼が僕の家の屋根裏に住み着くようになってから、毎日がとても楽しかった。 今まで大変だと考えていたことは、実は大した事ではないと思えるようになった。宇宙といとうとんでもなく広い世界があり、その片隅に銀河系、太陽系、そしてとんでもなく小さな地球という惑星の中の、さらに小さな国、日本。そんな中に住んで、くよくよと悩むことが馬鹿らしくなってきたのだ。 毎日仕事から帰るとまずパソコンで会話をした。宇宙というとんでもない世界を彼は説明してくれた。それは実に楽しいことだった。彼と僕とは友達になった。いままでのどんな友達よりも彼は素晴らしかった。僕の悩みはすべて受け入れて、実に的確なアドバイスをしてくれた。 彼も話し相手が僕しかいないことをよく理解していた。彼自身の悩みは自分の星に帰れないことだったが、彼は一度もそんな話はしなかった。彼はこの星のことにとても興味をもっていた。僕は家中にある本を屋根裏に上げた。子供たちの教科書、参考書はもちろんだが、彼がリクエストした本は、できるかぎり図書館から借りてくるようにした。やがて彼はこの星の人間のようになった。
つづく
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