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2006/06/28(水)
ともだち 10
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やがて冬が来た。この地域は日本有数の豪雪地である。一面の雪景色はすべてを覆い隠してくれる。彼は窓からその雪景色を眺めていたようである。
「スバラシイ、コノホシハ」 「ユキガメズラシイノカ?」 「ウチュウニハイロイロナホシガアル、デモソレハコオリノホシダ、ユキトイウケッショウハアマリナイダロウ,キレイダ・・・」 「・・・・」
彼が急に書き込まなくなったので、彼が泣いているということを感じた。宇宙人でも泣くのかと不思議に感じたので聞いてみた。
「ナイテイルノカ?」 「ナク?チガウ、ボクハナカナイ、タダカンドウシテイルダケダ、カンドウスルトイウモノハボクタチニモアル」 「ユキニカンドウシテイルノカ」 「モチロンダ、スバラシイ、ボクハコノホシニタドリツイタグウゼンニカンシャスル」 「コンナユキハボクハキライダ」 「ナゼ?」 「マチガ、ヒトガスベテトマル」 「ソレハイイコトダ、ヒトハトキニトマルコトガヒツヨウダ」 「キミニハワカラナイトオモウ、コノユキノオカゲデボクタチハズイブンソンヲシテキタ」 「ソン、ソントカトクトカヲカンガエルト、コノユキハフリヤムノカ」 「フリヤムワケガナイサ、デモイヤダ」 「ナゼコノホシノヒトタチハ、ソウヤッテソントクヲカンガエルノダ、イマアルジョウキョウヲソノママウケイレレバモットシアワセニナレルハズダ」 「・・・・・ソウダナ・・キミノイウトオリダ、ユキヲキレイダトオモウキモチハ、ボクモコドモノコロニハアッタナァ・・・・イツノコロカラダロウ、ユキガキライニナッタノハ・・・」
僕は不思議な思いがした。たしかに逃れられない運命をぼやいてみても仕方ないのだ。子供のとき、雪はきれいだった。それがいまでは雪景色をしみじみ眺める余裕もなくなっている。いつの頃からだろう、雪をきれいと感じなくなったのは。
つづく
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