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2006/07/01(土) ともだち 12
 それから僕は彼の言うがままに行動した。まず縦横30センチくらいの木箱を用意した。それから手鏡を用意した。手鏡をパソコンの前に置くと、そこにボ−ル状の赤い玉が映し出された。それはバレ−ボ−ルくらいの大きさででこぼこしていた。不思議なことにそれは鏡を通してでないと見えなかった。
 その赤い玉を木箱に入れると僕は病院へと車を走らせた。必死だった。エネルギ−の共有ができるということは半信半疑であったが、今はその望みにかけるしかなかった。
 病室のドアを叩くと妻のすすり泣く声が聞こえた。間に合わなかったか・・僕は木箱を抱えて病室に入った。そして僕は足を止めた。息子の顔に白い布がかかっていた。僕の胸から熱い涙がこみ上げてきた。そしてそれはまるであふれるように流れ始めた。声をあげて泣きたかったが、声が出なかった。これが嗚咽と言うのだろうか、呻くように泣いた。僕は息子の体にしがみついた。
「起きろ、起きろ、いつまで寝ているんだ、起きろ」
 僕は息子に叫び続けた。その時だった。ベッドの脇に置いてあった木箱がカタリと音を立てると、その中から赤い玉が転がり出た。僕は0%の望みに賭けることにした。その赤い玉を抱くと息子の胸のところに置いた。妻が何をするのと叫んでいた。僕はまるで操り人形のように行動した。
 息子の胸に赤い玉を置いた僕は、両手を胸の前に組むとただひたすら祈った。これが彼が教えてくれた方法である。
 5分ほどすると赤い玉が光り始めた。そして徐々に光は落ちていった。僕は赤い玉を木箱に移すと息子の顔にかかった白い布を取り外した。青白かった息子の顔が徐々に赤みをさしてくるのがはっきりとわかった。

つづく 


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