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2007/10/27(土)
土曜日の感傷
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秋深し・・・などと考えてみると、ふと白秋の詩が浮かんでくる。例の有名な「からまつの林に入りて・・・」である。この詩は高校生の頃から好きだった。まだガキのくせにいっぱしぶってこの詩を読んでいたのだから、今思うとちょっと赤面ものである。 しかし、今この年齢になってみると、本当の意味でこの詩がよくわかる。この町は信州と隣りあわせなので、少し車を走らせると落葉松の林に行くことができる。落ち葉の松と書くくらいで、秋になると葉がすべて落ちてわびしい感じとなる。 感傷的になるのも、若いときの感覚と今の年齢の感覚ではぜんぜん違う。若いときはどこか甘く切ない部分があったが、今はそれがないことに気がつく。あるのは荒廃した現実だけだ。 陶芸の分野であるが「野晒し」という作品がある。誰の作品なのかわからないが、骸骨に蛇が巻きついたものである。死んで何も残らず・・・という感じである。そこにただ秋の風が吹くだけ。やがてその骸骨も風化してなくなっていく。自分にとってそんなイメ−ジが秋だ。
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