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2007/07/03(火) 水上勉のこと
 最近ブックオフで買ってきた100円本であるが、水上勉の「負い籠の細道」が寝る前の読書の友となっている。水上勉の著作はほとんど読んでいるはずだが、紀行文的な今回のような本は読んでいない。ほかに対談集やエッセイなどもしかりである。
 ところでこの本は、出版社と水上勉が相談して、珍しい場所や作者が行ってみたいと思う場所に旅をして紀行文的にして連載したものをまとめたものだが、まさに水上ワ−ルドの真髄である。作者は、かなりの数、一人旅をしつつ小説のヒントをいろいろな場所で得ていると思うが、基本は同じである。裏日本や東北のひなびたところでの歴史と生活がテ−マとなっている。そしてその地域の女性の苦労がちりばめられている。
 作者自身、小説のごとくに苦労人ではあるが、ひとつは生活のために小説を書いたという面が初期の作品には多い。生活のためなどと言うとたぶんに芸術的ではないという見方が一般的だが、まったくその逆で、生活のために身を削って書き、昇華させたというべきもので、自分は初期の作品が大好きである。人の生きるという執念をテ−マに名作を世に出している。
 「飢餓海峡」は代表作だが、これなどは推理小説の分類に入ると思うし、どことなく清張に似ている。清張も初期の作品は反社会的なものが多いが、水上勉の小説は社会というほどの大きなものではなく、一個人の心情を中心にしている。最後は正直者が馬鹿を見るみたいなことになるが、それでも主人公は満足しているということが多い。だから好きなのだが(笑)。

 100円でこれだけ楽しめる時代、ブックオフ万歳というところ。ところでこのブックオフ、一度だけ古本を売りに行ったことがある。50冊くらい持ち込んで、30冊くらいの価格が3500円くらい。ま、いい買取価格のほうであろう。2冊くらい相田みつおの本があったのが高くなったのが理由だと思うが。残りの20冊はかなり汚くて買取してもらえなかった。そのときに、
「こちらはお値段が付きませんでした。どういたしますか?お持ち帰りになられますか、それともこちらで処分いたしましょうか」
と、マニュアルどおりの言葉が店員からきかされた。持って帰るのもいやなので処分の道を選んだ。この新手の古本屋は、本の内容とかは一切評価しない。新しいか古いかだけである。たとえば漱石の初版本を持ち込んでも買い取り価格は10円くらいであろう。そして店頭には100円として並ぶ。もっとも最近の人達は初版本をありがたがるということもないだろうからこれでいいのだろう。

 


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