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2005/10/28(金) ある日少年は魔女に出会った
その日は朝から雨だった。

雨の日はどうも気分が乗らない。

いつもなら参加しているサークルも、活動が

野外であるため今日はOFFなんだとか。

僕は午前中の授業を参加するだけという意識でやってのけ、

こういう日は何もいい事が無いと決め付け、早急に家路につく。





秋を跨いだ冬のような寒さが肌を刺激する。

息が白くなる気がした。

湿気の引き起こす寒さから逃げるように電車へ飛び込む。

車内は電灯が弱っているのか薄暗く、人も朝ほど多くない。

目を閉じて意識を耳元の音楽に集中させる。

そこには自分の選んだ、自分の好きな世界しか存在しないから。





10分ほど経った頃だろうか、車内の空気が変わった気がした。

例えるなら魔女、いや魔女そのものかもしれない老婆が

圧倒的な存在感を携え乗車してきた。

甲高い、調子の狂う声で魔女は誰とは無しに訪ねる。





「この電車は○○駅に止まりますカ?」




「この電車は○○駅に止まりますカ?」




「この電車は○○駅に止まりますカ?」





奇声を発し続ける魔女。

終に駅員が駆けつける。


「どうされましたか!?」


「この電車は○○駅に止まりますカ?」


(経路図を使って詳しく説明する駅員)

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

(長々とそして丁寧な説明が終わる)


「ワタシの行きたいエksjfdjiuhseiuhfuihejifhndjk…」


呪文。


こうして文章で伝えるには一番分かりやすい表現だが、

僕が耳にしたアレはおそらくソレを超越したモノだったと思う。





そうこうしているうちに降りる駅に着いた。

ただでさえ雨で気が滅入っている自分に、あの非日常な人物は刺激が強過ぎた。

僕は是また逃げるように下車をする。





帰りは母が車で迎えにくる手筈になっていた。

とはいえ駅前には停められる場所が無いので少し離れたところに来るよう頼んでおいた。





雨はまだ降り続いている。

気が付けば傘が無くなっていた。

魔女に気を取られて、車内に置いてきてしまったようだ。





そんな魔女に魅入られた少年の日記。

続く。


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