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2004/11/12(金) 林薫
また友達が死んだ。
歳は取りたくないものだ。
といっても彼も私より20年上なだけで、まだ死ぬような歳でもないのだが。
あの生き方なら長生きしたといえるのかもしれない。

悪い人ではないが親しく付き合うのはしんど過ぎる。
もうあなたとは付き合いきれないと宣言したのは私。
もう友達じゃないと思ったわけではないが、まぁ根を上げた訳です。

ずっと忘れてたけど、今週突然林さんのことを思い出してた。
林さんやったら、きっと朴保気に入るやろうなーと考えてた。
聴かせたらきっと気に入っただろうと思う。
虫の報せというやつか。
林さんが死ぬ日が来るとは夢にも思わなかったが。

初めて会ったのは18の時、ずいぶんオジサンだと思ったものだ。
その時の林さんの歳に今着々と近づいてるのだけど。

自称革命詩人。
私の観点では詩はも一つだった。

アル中で嘘つきで優しい魂だった。

酔っ払って下手糞なギターを弾き夜中に「ぷかぷか」と「憧れのジャマイカ」をエンドレスで歌ってくれた。
安田講堂での武勇伝を話してくれた(多分うそ)。
私が嫌な男に苛められてると「奈穂子ちゃんには奈穂子ちゃんのいいとこがあるやないか〜!」と庇ってくれた。
私のことが実は好きだったと打ち明けてくれた。
私にジャニス・ジョップリンのCDをくれた。
日本人が嫌いだと言った。
宗教は信じないと言った。
「ワルシャワ労働歌」を教えてくれた。
金を貯めてシベリア鉄道に乗るのが夢だと言っていた。
ありったけのスパイスを突っ込んですごく美味しいカレーが作れた。
地縛霊が寄って来そうな絵を描いた。
三里塚への想いを綴った詩を得意そうに見せてくれた。
信じられないくらい酒を飲んだ。
ご飯は殆ど食べなかった。
大量の酒とタバコとコーヒーとほんの少しの食べ物で生きていた。

生の最後の日々にも酔っ払って「ブッシュ許さん!」なんて言ってたのかな。きっと言っていたのだろう。

葬式は無いそうだ。
林さんは神を嫌ってたからいいのかもしれない。
神がいたら林さんのことがきっと好きだろうと思うが。


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