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2004/09/17(金)
師匠 その2
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私の師匠、千鶴子ばぁちゃんが 私の誕生日に病院に運ばれた。 姉が言うには、 おじいちゃんが亡くなる前の状態に似ていたらしい。 私は、ここ3日間、師匠に会い続けている。
1日目。 目がうつろ、右みたり左みたり落ち着きがない。 元気な頃、急に左を向くのは 「プン」とすねた時の師匠のクセだった。 今はいろんなモノに翻弄されてるみたい。 でも、おじいちゃんの話になると、 分かっているように頷く。
「あ〜ぁ、おもしろいぃぃ〜♪」 と急に歌い出すので、 「虫の声ぇぇ〜♪」 と続いてみる。 なぜか右手をパンパンはたく。 手が痛い。
2日目。 病室に入ろうとすると、 心電図の機械みたいなモノが入れられ ベッドには、髪の毛が剃られ 相当細くなった、おばぁちゃんが。 踵をかえし、うつむいて、泣きそうになる。 1日でこんなに人間って変わってしまうものなの? ・・・ん ・・ちょっと細すぎ、る? よくよく見ると全くの別人。
どうやら、部屋が変わったようだ。 フッと隣の部屋を見ると、ボリボリ足をかいてる師匠の姿が。 ぷっくりとしたいつもの顔に、泣きそうになる。 窓の空が見れるようになって、嬉しそう。
3日目。 病室に入ると血まみれの師匠が 二人がかりの看護婦に押さえられている。 どうやら、自力で点滴をひっこ抜いたよう。 包帯でグルグル巻きにされ、 取れないようにされていた。
今日は相当元気。 「歌おう」と、また例の 「あ〜ぁ、おもしろいぃ〜♪」 が始まった。虫の声〜と入ろうとすると、 「あっはっは!あっはっは!」と笑い出す。 「ん?」と思ってよくよく聞いてると、 「手を叩きましょ、タンタンタン、タンタンタン♪」 とバシバシ布団を叩いている。 そっちかぁ〜と思いつつ でも、点滴引っこ抜き防止がされているため、 うまく叩けないよう。 私達は、一緒に小さく手を合わせ、 「あっはっは!あっはっは! あ〜ぁ、おもしろいぃぃ〜♪」 と病室で熱唱しました。
さすが師匠。 どんな時でも笑いを忘れない。 強いお方だぁ〜
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