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2004/09/21(火)
超少年
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長野まゆみ様の「超少年」をやっと読みました。 私にとって長野まゆみ様の小説は、‘少年’の原点です。
最初は何が書いてあるのか理解できず、少々困惑した気もします。 漢字や色の表現は、相変わらずとても美しかったです。 こういう未来的なお話は、何故かとても好きです。 生命感が薄れるほど管理されて清潔な未来都市の少年は、一層人形的だと思います。
今回の登場人物は、皆それぞれに好きでした。 主人公の少年は、体で植物を培養してしまう少年です。 少年と植物の融合は長野様のお好きなテーマなのでしょうね。 報告書の形で綴られる植物達にも、拘りが感じられます。 主人公の前に現れる三人の少年は、皆同じ姿をしています。 彼らは‘ピエロ’と呼ばれる生物なのですが、‘王子’である主人公に選ばれようと競い合います。 ‘ピエロ’と‘王子’は‘両生類’という新しい生態系の生物なのです。 雌雄とは違って、蜂の様に決定的な上下のある新しい性別を持っています。 この、新しい性別と言うのはとても好きなテーマです。 少年達を、より無機物的な、人間とは違う存在に近づけるものだと思います。
いつもの事ながら、性に関した露骨な表現はありません。 しかし、‘王子’と‘ピエロ’の関係はよりエロティックで支配的です。 名前の違いが示す様に、それぞれの役割はっきり決まっています。 そしてそれが現れた‘王子’を失った少年 α(アルファ)の葛藤でもあるのです。 結果的には、主人公は α を選びかけますが彼とは結ばれません。 意外とも思える結末でした。 少々ネタばれになってしまいますが、実は彼はもっと特別な存在であることが判明するのです。 その判明に関して主人公と彼の兄の会話があるのですが、それが好きでした。 多少BLな感じがあるのですが、それが逆に日常的で和みます。
長野まゆみ様の小説は、いつも鮮明に光景を想像しながら読みます。 少年達の変わった髪型や、その体温や息遣い、綺麗な花菓子。 皮膚を侵食する植物や、未来的な都市の景観。 澄んだ冷たい冬の泉や、生い茂る緑色の蔦。 そしてその気持ちを何かで表現したいと思いながら眠りに就いて、大抵美しく静かな夢を見ます。
「月の宵宮」←素敵SDサイト様。こちらのフォトストーリーで一晩和みました。すごく楽しいです http://www.medusa00.com/
「 」←イラサイト様。こちらのイラストは格好良くて、特に瞳が素敵です。TOPはツボでした http://www.cmo.jp/users/kara/
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