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2004/11/05(金) ぴらんでっろ
黒テントという劇団が
数年ぶりに神戸に来た。

黒テント自体にはあまり興味は無かったが
演目の原作がルイージ・ピランデッロの
「作者を探す六人の登場人物」だったので足を運んだ。

題名からして、ベケットとかイヨネスコとか
いわゆる不条理な人たちの仲間?
あるいは寺山修司あたりの友達?という感じがする。

ちなみにこの作品は、
歴史的にはかなり有名らしいにも関わらず
あまり上演されてこなかったように思う。
ずっと観たいと思っていたのに叶わなかった。

舞台上は最初から最後まで、
ギリシャ悲劇「オイディプス」を上演予定の
とある劇団の稽古場兼劇場、という設定である。

ここに、「作者を探す六人の登場人物」すなわち
父、母、二人の息子と二人の娘の6人家族が
全員黒い喪服に身を包んでやってくる。

彼らの主張は簡単に言うと、こういうことである。

・私達は、
 書き上げられなかった作品の登場人物である。

・私達は、
 私達の身の上に「実際に」起こった出来事を
 劇として上演してもらうため、作者を探している。

そして彼らは、劇団の演出家を説得して
自分達の物語を上演してもらおうとする。
しかし、彼らと劇団員との意見はしばしばすれ違う。

劇の終盤近くで、叫ぶような台詞がある。
「あなた方にとっては、これは劇という遊びにすぎない。
 けれど私達にとってこれは、実際に起こったことなんだ!」

そしてついには、彼ら6人のうちの最も幼い娘と息子が
劇を上演する中で「本当に」死んでしまい、作品は唐突に終る。

この作品は、確かにマスターピースだと思った。
有名なだけのことはある。面白かった。

演劇は常に、現実の事件をネタにする。
ネタにするだけで、別にそれを解決するわけではない。
ただ、舞台の上での遊戯のネタにする。それだけである。

ではもしも、ネタにされた事件の当事者が
舞台に上がってきたとしたら、どうだろう?
そんなんじゃない!私達の「現実」を、
勝手に「演劇」らしいスタイルにして満足するな!
と言い出したら?

そのあたりの、演劇の胡散臭い部分を
これほどストレートに語る作品は観たことが無かった。

「私の役を演じるあなたに、私があの時感じた気持ちなど
 分かるわけが無い。ただそれらしく見せているだけだ。」

日々、様々な事件が起こっている。
事件は物凄いスピードで消費されていく。
それを題材にする演劇が、時々虚しく思える。


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