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2004/03/05(金)
どこまで行くのか車谷。
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そういえば、「遠くまで」 という感じを体現している作家で 車谷長吉という人がいる。
芥川賞取って文庫本でも何冊か出ていて 「赤目四十八瀧心中未遂」は昨年、 寺島しのぶ主演で映画も公開された。
私小説と呼ばれている。 自分のことを書いている、ということなのか。
私は保坂和志という作家が好きで、 この人も主人公=自分?という風に書くが 小説内世界は明るい光に満たされている。
しかし、車谷氏の小説では 世界は影に侵食されつつある。 主人公の心はどんどん空虚になっていき 果てへ果てへと向かっていってしまう。
やる気が起きない、期待を裏切ってしまう、 知ってる人のいない土地へ行く、仕事が続かない、 ・・・そういう流れがどんどん加速していく。
嘘臭い設定の冒険小説より よっぽど手に汗握る。 どこまで行ってしまうのかが、怖い。
なぜ怖いのか。 たぶん、わからないけど「わかる」からだろう。 自分の中にある「果て」を感じてしまうからだろう。
音楽だけじゃない。 映画だって小説だって人を果てまで連れて行く。 演劇の中にも、そういう作品があって欲しい、と思う。
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