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2004/06/21(月)
空の色は、
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「真珠の首飾りの少女」を観た。
どうせ フェルメール人気にあやかった映画だろう と思っていたが、 ロングランしているのが気になって観に行った。
監督の思い入れが伝わってきた。 画面の隅々まで、フェルメール・ファンが 納得のいくクオリティに仕上げようとする 強い意志が漲っていて、心地よかった。
ストーリーは、 全くもって予想通りだったが そのことは何らマイナスではない。
語り口だ。 少ない台詞と、見つめる視線と、残る指先。 フランス映画が得意とする手法だが それが嫌味にならずに心地よかったのは スカーレット・ヨハンソンの存在が大きい。
超名作「ゴースト・ワールド」で いい味を出していた でもあの時は脇役だった女の子が いつの間にか主演作が続く。
「真珠・・・」の上映が終らないうちに 「ロスト・イン・トランスレーション」が始まる。
彼女が監督達に愛されるのは、よくわかる。 芝居を演出するような人間の多くも、 彼女みたいな女優をすごく求めていると思う。
だいたいの映画では、 ラスト近くになってグッとくるのだが 「真珠・・・」では、中盤にそれが来た。
シーンA:
召使の少女が、フェルメールの妻に訊く。 「アトリエの窓を拭いてもよろしいでしょうか?」 「そんなこと、いちいち訊きに来ないで!」 「はい。ただ・・・光が変わりますが?」
シーンB:
アトリエにいる、フェルメールと少女。 少女がフェルメールの絵を見て 「色が合ってないのでは?」と言う。
今まで、大天才である彼に向かって そんなことを言う人間はいなかった。
「これは本当の色じゃない。 これが乾いたら、上に別の色を塗って仕上げる。 どんな色にも、その下には別の色がある。 そうやって、深みを出すんだ。」 窓を開けるフェルメール。 「見てごらん。雲はどんな色をしてる?」 「・・・白。 いいえ、黄色、青、灰色・・・ いくつもの色があります。」 「わかっただろう?」 「・・・。」
正確ではないが、多分こんな感じだった。 この 「色が合ってないのでは?」 と 「・・・白。 いいえ、黄色、青、灰色・・・ いくつもの色があります。」 の 二つの台詞が言える女優を 演出家は永遠に探し続けるのかもしれない。
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