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2004/06/30(水)
声。
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クロムモリブデンの音響さんは、 メジャーな仕事して稼いだ金を クロムで客席の下に大量のスピーカーを仕込んで 観客全員を振動させることに使ったりしてる人で、 そんな素晴らしい音響さんが今回、 骨伝導システム「きくちゃん」を導入した。
これは、形状はヘッドホンぽいんだけど、 マイクで拾った音をスピーカーではなく 頭の骨に伝導して聞こえるようにするシステムである。
で、この「きくちゃん」の噂をどこから聞き付けたのか、 生まれつき耳の聞こえない30歳の女性がやってきた。 劇場でお芝居を観るのも生まれて初めてだという。
彼女が最初に聴いたのは「どうですか?」という 舞台監督さんの声で、 2番目に聴いたのが、 ずっと彼女に付き添ってくれている男性の声だった。
初めて音を、人の声を聴いたときの彼女の顔は、 ずっと忘れられないだろうと 舞台監督さんは目を細くして言った。
ちなみに、 彼女は日本語を聞くこと自体が初めてなので、 喋ってる意味は全然分からない。 観劇中には、後ろから見ると、 付き添いの男性が時々手話で解説していた。
それにしても、 初めて観た芝居がクロムモリブデン・・・。 「きくちゃん」が目的で 今後は芝居など観ないとしたら 彼女にとっての「芝居」=クロム・・・。
天才による作品だけど、 普通に笑えて普通に感動することもできる。 だけどやっぱり誰にも真似できない 天才的なクロムの作品。
それが芝居のすべてだったとしても それは幸福なことではないか、と私は思う。
そんなわけで東京の皆様、クロムを観に来て下さい。 ていうか、観に来るのが得策かと思います。 相変わらず東京でブレイクしたものしか観に来ない 怠慢な一部の関西の観客に対して、 「大阪にこんな凄い劇団あるじゃん!知らないの?」 と言ってやって下さい。教えてやって下さい。
浮世絵を売り飛ばしてしまった昔の日本人に対して 「それは西洋絵画より価値があるんじゃないの?」 と注意するがごとくに。
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