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2005/12/14(水) 演劇について。
被災地見学ツアー、というのがあるらしい。

地震とか津波とか台風とかが続いたが
現地の惨状を視察に行く、という名目の
ツアーが組まれ、観光客が訪れているらしい。

もちろん、現地の惨状を見て
自己犠牲を払ってでも行動を起こす人もいるだろう。
だが、どうやら客はそんな人たちばかりでは無いようだ。

あるいは、悲惨な事件が起こった現場が
観光地化する、という状況もある。
なんだか過去になりつつあるが、酒鬼薔薇聖斗事件の
犯人の少年が住んでいた神戸市内の家がそうだった。

私も一度、「被災者」になった。
阪神淡路大震災の時は、本当に様々な体験をした。
夜は街灯が消えた暗闇で、風呂も沸かせなかった。

けれど、尼崎を越えて大阪に入ると
状況は一変した。何も変わらない街がそこにあった。
あれから、演劇に対する考え方が変わった。

ただの演劇じゃないか、と思うようになった。
演劇で社会にコミットするなんてありえない。
そんなのはやってる側の思い込みに過ぎない。

事件に対する独自の視点を提示した?
そんなもの、何の役にも立ちはしない。

私はただ、芝居が好きなだけなのだ。
舞台があって、役者がいて、その役者の内的な
エモーショナルな何かが、演技を通して伝わってくる。
まるで巫女の憑依の場面に立ち会うかのような緊張感。
それは、私をどこか遠くへと連れて行ってくれる体験だ。
そういう時間が、私は好きなだけなのだ、と思う。

演劇は、地震とか津波とか台風とか
あるいは戦争とか事件とかを題材にすることが多い。

劇的なものを見せるのが演劇だとしたら
そういうものを題材にして作品を作るのは
ごく当たり前のことだし、実際昔からそうだった。

それは、芝居を面白くするため、
面白い芝居を作るためにそういう題材を
選んでいるのであって、それ以上でも以下でもない。

ある意味、演劇と前述した現地観光ツアーとは
大して変わらない部分を持っているのである。
あの地震の日々を経て、強くそう思うようになった。

だけれども、私はやはり芝居が好きである。
特に小劇場は、作り手の自由度が高く
好き勝手なことが言えて、好き勝手な表現ができる。

そして、自由に作れといわれても
目に見えない制度に縛られたまま
ありきたりなものを再生産する大勢の人たちの中で、
本当に好き勝手な、自由な表現ができてしまう、
そういう才能を持った人たちが
数は少ないけれど、この世の中にはいるのである。

そういう人たちに、会いに行く。
作品を通して、作り手の中にある「自由」に触れる。
それが恐らく、私が劇場に向かう理由である。
まあ単純に、好きな役者が出ているから観に行く
という部分も大きいんだけれど。


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