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2005/02/06(日)
2匹のうさぎ
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むかしむかし、あるところの 一匹の赤うさぎが住んでいました。
赤うさぎは、村の人達と仲良くしたくて 自分の家の前に立て札を立てました。
「心のやさしいうさぎの家です。どなたでもおいでください。 おいしいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます。」
けれども、赤うさぎには、銃を乱射した過去がありました。 その事実を知る村の人々は、誰一人遊びにきませんでした。
赤うさぎは悲しみ、悔やしがり、ついには腹を立てて、 立て札を引き抜いてしまいました。
そこへ、友達の青うさぎが訪ねて来ました。 落ち込んでいる赤うさぎからわけを聞いて、 青うさぎは一計を案じました。
青うさぎが、人間の村へ出かけて、銃を乱射する。 そこへ赤うさぎが出てきて、青うさぎを懲らしめる。 そうすれば人間たちにも、赤うさぎが心を入れ替えた ということが分かるだろう、というのでした。
しかし、それでは青うさぎにすまない、 としぶる赤うさぎを、青うさぎは、無理やり引っ張って 村へ出かけて行きました。
計画は成功して、村の人たちは安心して 赤うさぎのところへ遊びにくるようになりました。 人間の友達ができて、赤うさぎはとても喜びました。
しかし、日がたつにつれて、気になってくることがありました。 それは、あの日から訪ねて来なくなった青うさぎのことでした。
ある日、赤うさぎは、青うさぎの家を訪ねてみました。 青うさぎの家は、戸がかたくしまっていました。
ふと気がつくと、戸のわきには貼り紙がしてありました。 そしてそれに何か、字が書かれていました。
「赤うさぎくん、 人間たちと仲良くして、楽しく暮らしてください。 もし、ぼくが、このまま君と付き合っていると、 君も悪いうさぎだと思われるかもしれません。 それで、ぼくは旅に出るけれども、いつまでも 君を忘れません。さようなら、体を大事にしてください。 どこまでも君の友達、青うさぎ」
赤うさぎは、だまって、それを読みました。 二度も三度も読みました。 戸に手をかけて顔を押し付け、 しくしくと、なみだを流して泣きました。
・・・そんな話があったっけなぁ。
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