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2005/04/16(土) さようなら、少女単体。
この時点で、劇場内に残っている観客数名。
出てくれば、苅谷さんを見る事ができる
と分っているのに出てこない人たちだ。

世の中いろんな人がいるよなぁ、と
苅谷さんと残った観客達を見比べつつ
妙に感心する。

通行人の方々も、不思議そうに2階の苅谷さんを
眺めて立ち止まったり足早に通り過ぎたりしている。
彼女はと言えば、窓枠から半身を乗り出して
ティッシュを道路に投げ捨てながら喋り続けている。

やがて、彼女は楽屋に消えたかと思うと
小屋の中に戻った観客たちの間をすり抜けて
正面の出入り口から外へ走り出してしまった!!!

ところで、この「外へ走り出してしまう」という事態を
東京公演で体験済みだった僕は少しもあわてず、
すっくと立ち上がってすたすたと彼女の後をついて行った。

ところが、彼女に追いついて後ろを振り返ると、誰もいない。
苅谷さんも「あれ?一人だけ?誰もついて来れてないのかぁ!」
と困惑顔。そして、僕を見つめると「すいませんけど、戻って
お客さん呼んできてもらえますか?」と真顔で頼んだ。

ずっとビデオカメラを手放さず、
公演をDVD作品化しようとしている彼女にしてみれば
誰もついて来ないという事態は、ちょっと予定外だったらしい。

で、僕はすぐさまUターンして、観客を呼びに行った。
戻って来た時には15人くらいの客が後からついてきた。
呼んでも来ない観客も何人もいて、「勿体無い」と思ったが
世の中にはいろんな人がいるのだから仕方がない。

それから予想通り、苅谷さんと観客たちは地下鉄に乗った。
切符は劇場で行われたあれこれの中で、既に配られていた。
苅谷さんはセーラー服姿で、ずっとビデオカメラを回している。
観客たちが、それをじっと見つめている。

ところで、車内にはもちろん、関係ない乗客も乗っている。
そのうちの何人かは、あたりに漂う一種異様な空気と
その中心にいる苅谷さんの存在に気付く。

まるで、今から宗教団体の儀式が車中で行われるかのような
静かな、そして薄ら寒い雰囲気に、席を立つ客もいる。

なんだかすごくいけないことをしているような気がしてくる。
大した事じゃないんだけれど、ただついて来てるだけなんだけど。

やがて地下鉄は新大阪に着き、苅谷さんは観客全員分の入場券を
購入。みんなでホームへ行って、苅谷さんを見送る。
新幹線の中でも、彼女はビデオカメラを回している。

そんな場合じゃないだろ?!妊娠してるんじゃないの?!
などと突っ込む気持ちはサラサラ起こらない。
なんだかここまでくるともう、あっぱれという気持ちである。

彼女を乗せた新幹線が去った後の、線路を眺めながら思った。

「少女単体」とは、生き方である。
それがどこまで行けるのか?どこまで続けられるのか?
彼女を突き動かすものに触れて、僕は少しだけ元気になった。


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