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2005/04/02(土) そして歴史は繰り返し、私はまたこける。
私はいつものように、バスに乗ろうとしていた。
その日はたまたま、バスを待つ行列の一番前にいた。

ほどなく、いつものバスが停留所に滑り込んできた。

私は鞄から素早く定期入れを取り出して
ドアが開くと同時にステップを上って運転手に示し、
素早く折りたたむと足早にバスの中を移動して
一番後ろのドアに近い座席に優雅に腰を下ろし、
続いて乗り込んでくる人々の様子を
ぼんやりと眺めて過ごす予定だった。

しかし、予定通りに事は運ばなかった。

鞄から慣れた手付きで素早く定期入れを取り出した
ところまでは良かったが、次の瞬間、バスのステップに
したたか左の脛を打ち付けて、私は大きくころんだ。

予想外の出来事に驚き、顔を上げると
運転手が心配そうに「大丈夫ですか?」と声をかけた。

その声に同情や嘲笑の響きはなく
純粋に、突然こけた乗客を心配する気持ちが感じられ
救われた思いがして体を起こし、足早に歩いて席に着いた。

私の後ろには、乗車を待つ行列があった。
全員に見られていたかも知れないと思うと、
かっこ悪さに愕然となった。

私の真後ろには、いつも同じバスに乗る
落ち着いた感じの美人が並んでいて
彼女の前でぶっこけたと思うと、
かっこ良く乗車しようとしていた先刻までの自分が
なんだかひどく滑稽に思えてきて、突然笑けてきた。

自分の中に不意に笑いが起こってくると
つい先日には追いかけっこの末右脛を打ち
今日は衆人環視の中左脛をしたたか打ちつけたうえに
目や鼻も花粉でむずむずし続ける今の自分の状態が
なんだか妙におかしくてしょうがなくなってきた。

さらにはさっきの派手なずっこけが
背後に並んでいたあの美人の中にある
「同じような毎日が続いていく」感覚をも
多少なりともずっこけさせることができていたなら、
と、勝手な妄想も膨らんで、楽しい気分が広がってきた。

恥ずかしく情けない出来事のはずなのに
先日既に一度大きくこけていたことによって
今回こけたことの意味が変化したようだった。

長らくこけたことなど無かったのに
この短い期間の中で2度もこけるとは。

そのことが意味も無く面白くてたまらず
まるで、窓からの風に舞う春の花粉の中に
ワライダケの粒子が混じっていたかのように、
バスの中で私は、笑いをこらえ続けていた。


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