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2005/06/20(月)
JR宝塚線に乗る。
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尼崎から乗り換えて、宝塚線の車両に乗り込む。 尼崎駅の構内で、報道関係者がウロウロしている。 ただでさえ混雑しているのに、かなり通行の邪魔だ。 「あんたらのせいで、また事故が起こりますよ。」
電車が走り始めると、窓の外、線路沿いに点々と マスコミの車が並び、奴らがこちらを見ている。 カメラを向けている奴もいる。「勝手に撮るな。」
報道の自由とか、マスメディアの義務とかで 不幸が起こると、奴らはそこに集まる。 別に私は事故の被害者・関係者ではないが、 なんとなく、地震の時を思い出す。
電気もガスも水道も通っていて何の問題も無い 大阪からやってきて、悲惨な神戸の現状を取材して ぬくぬくとした寝床のある大阪へと帰ってゆく。
彼らの仕事は、彼ら自身をも含めた 「ひどい目にあわなくて済んだ人々」に向けて 「ひどい目に遭った人たち」の姿を公開することだ。
公開された人々は、衆目に晒され 否応無く見世物にされてしまっているので 周囲の期待通り「ひどい目に遭った人たち」として それらしく振舞わなければならない。 そういう演技を無言で強要される。
車窓の向こうのカメラに向かって ピースサインを送ったり、大笑いしたり ふざけた顔をして対抗したとしても、無視されるだろう。
電車を降りても、降りた駅にまた報道関係者。 今日のニュースのネタを集めに来た人々。 明日になればまた彼らは、別の場所に集まるのだろう。
今夜のニュースを見た人には この現場のイヤな感じは伝わらないだろう。 何も知らないニュースキャスターが 端正な声でニュースを読み、映像が流れる。
そしてまた、電車が走り出す。
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