ホームページ最新月全表示|携帯へURLを送る(i-modevodafoneEZweb

2006年4月
前の月 次の月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
最新の絵日記ダイジェスト
2006/10/22 大沢@旅日記、引越しました!
2006/09/09 大沢@旅日記、引越します。
2006/09/06 アンジェラ症候群。
2006/09/05 そう言えば、あの映画で。
2006/09/04 夏休みが終わり、学校が始まる。

直接移動: 200610 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200512 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200412 11 10 9 8 7 6 5 4 3 月 

2006/04/02(日) 一回限りの人生だから。
ここ数年、私が演出助手として関わってきて
役者として出演したりもした劇団、クロムモリブデンが
4月1日付での東京への事務所移転を、HPで発表した。

もうだいぶ前から分かっていたことなのだけれど
しばらく内緒にして欲しいということだったので
何か書くなら劇団側の発表があってから、と思っていた。

東京への事務所移転、というのは実は
劇団員が全員東京へ引っ越した、ということである。

時々事務所だけ東京に移す関西の劇団もあるが
今回のクロムの移転に関しては、そうではない。

芝居以外にも仕事があったり
関西で生まれて関西から離れたことが無かったり
そういう人たちが身辺整理をして東京に移り
芝居の稽古やその他の活動を
今後は東京を拠点にして行う、ということである。

何故、様々なリスクを越えて東京に移ることになったのか
本当のところは実は、ちゃんと訊けてはいない。

これまでずっと東京・大阪公演を続けてきて
作品の質が東京の観客向きであるとか
早く東京に移ったほうがいいとか
周りからは色々言われてきていたことは確かだ。

でも、そう言われながらもずっと
メンバーの一部が東京在住となってもなお
大阪を拠点にして活動していたわけで
今回の移転のきっかけは探せばいくらでもあるけど
何が決定的なのかはよく分からない気がする。

かく言う私も、実は
クロムは早く東京に行けばいい
と思っていた一人である。

青木さんは、
間違いなく関西の演劇界において
最高の才能を天から授けられた人物である。

作・演出家を名乗り
自分の観たい作品を誰も作ってくれないから
演劇をやっているのです、とのたまっている私が
忙しい日々の中で必死になって時間を作って
自分の作品ではないものに参加するというのは
本来そんなことはありえない話である。

だが、青木作品だけは別だ。
最初に遭遇した時からずっと、
クロムだけは欠かさずに劇場に駆けつけてきた。
青木さんから「手伝ってください」と言われた時は
本当に嬉しかった。

そして、クロムのメンバーと同様
何故青木さんはもっともっともっと認められないのか?
有名だけど青木さんより才能の無い人々に代わって
何故もっと世に出て行かないのか?と思ってもいた。

演劇の世界は、とても狭い。
関西に関しては今のところ、基本的に戯曲至上主義で
その選考に関わる特定に人々に気に入られることが無ければ
アナウンスしてもらうことはなかなか難しい状況だ。

クロムは、関西にいてはいけないような気がしていた。
だけど、東京に行ってしまうのは確かに寂しい。
そんなアンビバレンツな気持ちで、この数ヶ月が過ぎた。

その間、東京移転が原因かどうかは分からないが
信国君がクロムを辞めたり、おとむさんが会社を辞めて
東京に行ったり、そして、実はこっそり読んでいた
元キリンバズウカの登米君のブログでも、彼が大阪を
離れる(恐らく東京へ行く?)という記事が出ていた。

人々が大きく揺れ動き、旅立っていく春、である。

ちなみに、この登米君というのは
うまく行けば青木さんに匹敵する才能へと育つ気がする
関西若手bPとしてこの日記でも取り上げた人物である。
私は彼を、心の中でずっと応援していくだろう。

私が夢見ているのは
大人計画の次はクロムモリブデン、という扱いで
クロムが東京で成功を収める、という図式である。

青木さんがポスト松尾スズキに、
登米君がポスト宮藤官九郎に、というのは
才能の話で言えば夢でもなんでもない現実的な話で
あとは運。どうやって運を掴むか、ということだけである。

そして、青木さんだけでなく
クロムの役者陣にも世に出てもらいたい。
華と、技術と、無意味に耐える精神力を備えた彼らもまた
いつ売れてもおかしくない、あとは運のみ、の人たちだ。

それにしても、人材が東京に流出していく。
一緒にやりたい連中がどんどん少なくなる。
関西の現状では、彼らを引き止めることはとてもできない。
残念ではあるが、才能が集まることは面白いことなので
皆が東京に集まるのも仕方ないといえば仕方ないだろう。

私も、東京に行かないんですか?とか
東京に行ったほうがいい、とか何人かから言われた。
東京に行こうと、真剣に思っていた時期も確かにあった。

だけど、今回のクロムの移転で
自分は関西に残るのだという決心が、逆についた気がする。
クロムの演出助手をすることは当分無いと思うけど
再び、自分なりの活動を始めていく勇気が湧いてきた。

作品が次々映画化されて
全国的に注目を集めている京都のヨーロッパ企画は
逆に京都ローカルとマイペースにこだわることで
東京行き、とは違った道を探ろうとしているように見える。

それとはまた違うけれど
私は私なりの道を、歩き始めようと思う。

一回限りの人生なのだ。
選択肢は無限にあるが、たった一つしか選べない。

クロムモリブデンが
東京で活躍することを心から祈ろう。

というか、
ますます面白い作品を作ってもらわないと
「俺が演出助手辞めた途端に、あのザマさ!」と
関西で言いふらしてやるぜっ!


 Copyright ©2003 FC2 Inc. All Rights Reserved.