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2006/12/26(火)
第3話:★キッキ☆
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春の陽気な昼下がり…。綺麗に咲いている桜が、ポカポカな日光を浴びてよりいっそう美しく映える…。 授業中… エの目はそれに全く集中できないでいた。 窓を通してただ外をぼんやり眺める。。早く時間が過ぎないものかと考えるのは、授業を受ける時の癖になっていた。 入学に関しては、エの目は全くの無関心だった。この学校に決めたのも「家から近い」ただそれだけの理由。。もちろん当初は行く気など全くなかった。しかし、半ば強引な親の説得に反するだけのものが、その当時エの目にはまだなかった。。と、いうより確信が持てなかった…。 自分の本当にやりたい事…
…ふと、先生が一人ずつ生徒の名前を読み上げ始めた。呼ばれた生徒は前の席から順に返事をしていく。あの子の存在を思い出し、エの目はそれとなく注意をする。。次は彼女の番だ……。 「……さん。」 「はい!」 おおよそ外見からは想像できないハキハキとした元気な返事がエの目の中に響いてきた。 それとなく顔と名前を認識し、すぐにまた外を眺める。 早く終わらないかな…。しかし、エの目にはさっきの桜がより色濃く映えていた…。変に浮きだった気持ち……。
…と、とっさに自分の名前が呼ばれる。
とっさに答えたエの目の返事は、さっきのあの子とはまるで正反対の声だった…。
今の自分を象徴するかのような、ひどく弱々しい声だった。
エの目はまたすぐに外を眺め始めた…。
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