【青春交差点】
 
いつもどんなときも。ぼくはぼくらしく。
 
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2004/11/25(木) もしも生まれ変わることができたなら…
 
昨日の夕方、彼女とスーパーに買い物に行った。
野菜売り場で中学の同級生“おしゃべり魔女”由美子にバッタリ会っちまった!

「ゆうクン、いつ結婚したの?」
「結婚してるふうに見えるか?」
「見えないなあ。知らない人が見たら、学生の恋人同士だって思うよね」
「じゃあ、なんで結婚したかって聞いたんだよ?」
「だって、スーパーの野菜売り場なんか2人で歩いてたら、もしかして・・・と思うでしょ」
「そんなもんか?」
「そりゃそうよ。でも、お似合いのカップルだね」
「うん、まあ、なんとかって感じかな」

そして、おしゃべり魔女の由美子は、矛先を彼女に向けた。

「ゆうクンと同級生で、由美子です。ヨロシクねっ」
「はじめまして、さやかです」
「何歳なの?」
「21です」
「3つも若いっ!うらやましい」
「・・・・・・」
「ゆうクンねえ、こう見えても瀬戸二中のアイドルだったんだよ」
「ホントですか?」
「ホント!いまでも狙ってる子がいるかもね。しっかり捕まえてなさいよ」
「はい・・・」

さすがおしゃべり魔女、ちっとも変わってねえから、これ以上彼女と接触させるのはヤバイ(…笑)

「バ〜カ、余計なこと言うな!」
「なによお!応援してあげたつもりなのに」
「人の彼女に余計な心配させるなって」
「褒めてあげてんのに、なんで怒るのよ!?」
「はいはい、お客様はあちらへどうぞ」

由美子の背中を押して追い出した(?)後で、彼女がポツリとつぶやいた。
「さやかもゆうやクンと同級生だったらよかったなあ」
けど、ぼくはそのとき、彼女が言ったことの意味を深くは考えなかった・・・。

そして、スーパーの帰り道、ぼくらは少し遠回りをして、夕闇が迫る美しい【カレッジ通り】を走った。
まっすぐな道の両側の歩道は、思い思いの服装の学生たちで溢れ返っている!
自由とか希望とか夢を感じさせる風景だ。
順調に行っていれば、ぼくも経験できたはずの・・・憧れのキャンパスライフ!
その瞬間、なぜだかわからないけど、ぼくの胸の中に後悔と羨望が入り混じった焦りに似た気持ちが湧いてきて、言わなくてもいいことをつい口にしてしまった。

「俺も大学へ行きたかったなあ・・・」
「ゆうやクン、教師志望だったもんね」
「うん。16歳ぐらいから人生もう一回やり直してえよ」
「タイムマシンに乗ってやり直したら、さやかは会えないよね?」
「あっ、ゴメン。いま生きてるこの人生は、ずっとおまえと一緒なんだよ」
「よかった〜」
「言い直すよ。生まれ変わったら…の話ってことで。今度こそ絶対に大学へ行って、高校教師になるんだ」
「どうしてそんなこと言うの?」
「どうしてって聞かれてもなあ・・・高1まではそれが目標だったわけだし」

「今の人生が不満なの?」
「そんなことねえよ」
「じゃあ、さやかでは不満なのかなあ?」
「考えすぎだって」
「大学でほかの女の子と出会って、ホントはいっぱいモテたいんでしょ?」
「そんなこと全然言ってねえだろ」
「人生をやり直したいとか、生まれ変わりたいとか、そうゆうことを聞かされる…さやかの気持ちも少しは考えてほしい」
「うざってえこと言うな!」

彼女に向かって思わず「うざってえ」と言ってから、「しまった」と思ったけど、あとの祭り。
彼女がシクシクと泣き出した。
一言「ゴメンよ」と言えばいいものを、こうゆうとき素直に言葉に出せない。

気まずい雰囲気のまま、ふたりはぼくの部屋へ・・・。
なんとか謝らなければならない。
ぼくは、夕食の支度をしている彼女に近づき、後ろから声を掛けた。
「さっきはゴメン」
すると、彼女が右手に包丁を持ったまま振り向いた。
一瞬ギョッとなったけど、刺されることはなかった(…ホッ!)

「さやかが生まれ変わったら、どうしたいかってことを泣きながら考えたんだけど、聞いてくれる?」
「あ、はいっ」
「ゆうやクンと同級生で近所に生まれて、幼稚園のときからずっと一緒に大きくなって、ZUTTOそばで見つめていたい」
「はあ・・・」
「もし生まれ変わることができたら、それが夢かな」
「あんがとさんです」

おしゃべり魔女が余計なことを言うから、はじめてピンチを迎えたじゃねえかよ!
そう言いたいとこだけど、人のせいにするのはやめよう。
彼女の気持ちを考えなかったのは、ほかでもない、ぼく自身なんだから。
それにしても、あ〜危なかった(…笑)
 


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