【青春交差点】
 
いつもどんなときも。ぼくはぼくらしく。
 
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2004/11/03(水) そのまんまの自分に百点満点をあげた〜い
 
世の中には親切な人がいるもんで、宅急便を届けるたびに、缶ジュースと一緒におにぎりやサンドイッチ、いなりずしなんかを必ずくれるオバサンがひとりいる。
赤飯をもらったこともあったなあ。
今夜その家に配達したとき、いつものように荷物を手渡し、当たり前のように(ホントに申し訳ないっす)差し入れをもらった。
「どうもありがとうございますっ」
ぼくはそう言い終えると同時に背中を向け、広い庭を小走りに門のところまで行った。
そのとき、オバサンから大きな声で呼び止められた。

「宅急便さん、ちょっと待って」
「はい」
一瞬ぼくはギクッとなり立ち止まった。
そして、オバサンは振り向いたぼくに向かって、ついに“あのこと”を聞いてきた。
「もしまちがってたらごめんね。あなた、瀬戸東高OBの前田ゆうや君でしょ?」
「そうです・・・」
「やっぱりそうやった。よかったあ。人ちがいじゃなくて」
「いままで挨拶もせずにもらってばっかりで、すみませんでした」
ぼくは帽子を取り、高校時代の恩師に深々と頭を下げた。

「謝らんでもええよ。前田君とわかっただけですごい嬉しいんやから。ちょっと上がってく?」
「いや、あの、いま忙しいけん今日はいいです」
「5分か10分ならええやろ?お茶漬けしてあげるけん、食べていきなさいよ」
「でも、ちょっとマズいような・・・」
「シャキッとせん子やねえ。ええからおいで!」
とゆうと、オバサンはぼくの二の腕をギュッとつかみ、家の中に引っ張っていった。
「イテテテ・・・」
「男の子のクセにか細い腕!ちゃんと食べよる?」
「まあ、とりあえずとゆうか、そうじゃない日もあって・・・」
「ダメだこりゃ」

このオバサン…いや、角藤(かくとう)先生は、ぼくが高校生当時の体育教官で、生徒指導を担当していた。
男勝りの性格で、女子格闘家って雰囲気があるから角藤先生なんだ(?)
担任だったわけじゃないけど、この先生にはいろいろ迷惑をかけた。
ぼくは両親が離婚したことを学校にはずっと隠していて、半年後の家庭訪問でそれがバレちまった。
そのとき、ぼくを体育教官室に呼び出して、取り調べをしたのがこの先生。
誘導尋問(?)がうまくて、学校に無断でバイクの免許を取得していたことも、届け出なしでバイトをしていたこともゲロさせられた。
ついでに不純異性交遊も…。

「全日制ではもう面倒見きれん。諦めて通信制に移るか?私立に転校するか?」
どうせ引導を渡されるのは覚悟の上だったけど、ぼくは黙って諦めるのはイヤだったから、抱えきれないほどの苦しみや悲しみを涙ながらにぶちまけた。
角藤先生は目にいっぱいの涙を浮かべながら、それを聞いてくれた。
「せっかくこの学校に入学できたのに…ゴメンなさい。ぼくは弱い人間です」
このあと先生がぼくに言ってくれた言葉をこれからも、たぶん一生忘れない。

キミは弱いことない!他の子が同じ立場に追い込まれたら、もっとスレてしまうはずや。
ええか!自己否定からは何も生まれてこん。
そのまんまの自分に百点満点をあげたら気が楽になるし、よしがんばろうってゲンキが出てくる。
両親が離婚してひとりぼっちになって、思ってたより簡単に挫けてしまった自分にも、堂々と百点満点をつけてやりなさい。
どうせ自分は20点やと思ってたら、これから先20点の人生しか送れんなるよ。

ダンナさんのために用意していた“さけ茶漬け”を、うまそうに食べるぼくを見ながら…
「ホントにスレてないとゆうか、素直とゆうか。今どき珍しいタイプの子やなあ。あの頃のまんま」
…と、角藤先生は嬉しそうだった。
「ちゃんとした彼女もおるし、今はもう立派な大人っすよ〜」
「とてもそうは見えんけど(笑)昔から女の子に関してだけはシッカリしとるんかなあ。今度彼女も一緒に遊びにきたらええのにね」
「はい、そうします。じゃあ、ご馳走さまでした」
「気ィつけて運転せないかんよ」
「は〜い」

先生は、ぼくが去年の夏はじめて配達に来たとき、すでに“正体”を見破ってたそうだ。
そうでなきゃ、「いつもいつも差し入れなんかするもんか」だって(…笑)
仰げば尊し、わが師の恩♪
それなのに、ぼくはなんて恥ずかしいことを・・・。
宅急便をやっていることを知られたくなくて、ずっと・・・。

そんなこんなで、角藤先生の家でずいぶん油を売りすぎたみたい。
さすがに今夜は、宅急便の時間指定を何個か守れなかった。
よし、そうゆう自分にも百点満点をつけようっと!
こんなことを上司が聞いたら、カンカンになって怒るぞ〜。
 


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