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2004/09/19(日)
キミが思い出になる前に♪もう一度笑って見せて
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テレビもラジオも新聞もない生活。 雑誌ならあるけど、リアルタイムに情報をキャッチすることはできない。 だから、いま世間で何が起きてるのか、ぼくにはさっぱりわからない。 ケータイでニュースサイトを見たいところだけど、どこの病院も同じで使用禁止。 とゆうか、非常にマズイ事態に追い込まれた。 今朝起きたら、ケータイがどこにもない!! 布団のなかにも、ベッドの下にも、サイドテーブルにも!
そういえば、ゆうべ(今日2時頃?)ある人にメールしてたら、すっかり寝込んじまった気がするーッ! 3時頃点滴の袋を交換にきた看護婦に見つかっちまったんじゃないか? つまり、ぼくがケータイを握りしめて寝てる間に取り上げられたんだ(ドジ!) そうにちがいない。 薮先生に「被害届」を出せば怒られるし、さあ困ったぞー。 しょうがない・・・観念して沙弥香に聞いてみることにしよう。
午前11時、沙弥香が点滴の袋の取り替えにやって来た。 「つーか、あのさー、ケータイなくなったんだよ」 「それならナースセンターで預かってますよ♪」 ぼくは、平然といってのけた沙弥香がちょっと憎らしかった。 「フツーさー、人の物を断わりもなしに持ってくか?」 「ルール違反をしたのは前田さんですよ。病院としては当然の措置です」 「このこと、薮先生にチクッたのか?」 「いいえ、まだです」 「じゃあ、今すぐ返してよ」 「ダメですぅ!ほかの患者さんに迷惑だし、電波が機械に影響することだってあります。それに、入院中は治療に専念してもらいますからね」
これを聞いて、ぼくは見苦しくも逆ギレしてしまった。 「ちゃんと音も消してるし、迷惑なんて誰にもかけてねーだろが!新米のクセにナマゆうな!さっさと持ってこい」 「・・・」 沙弥香は悲しそうな表情をしただけで何もいわず、点滴の袋の交換を終えると足早に立ち去った。 あれれ?何かいっとくれよ、おい! 嫌われちまったかなあ・・・(後悔)
昼食を届けに来るときも、食べ終わったあとで食器を下げに来るときも、沙弥香と顔を合わせられなくて、ぼくは卑怯なことにフテ寝を決めこんだ。 「さっきはゴメンね」と素直にいえない。
それから約1時間後、ドスのきいた声が響いて布団をめくられた。 「ちょっと、起きなさいよ」 「えっ、なに?」 わあ、でけえ女!看護婦の真里だ。 「先生が呼んでるから、すぐに来なさい」 ぼくは有無をゆう間もなく、点滴の支柱(?)を伴ないナースセンターに連れて行かれた。 真里は沙弥香の親友で、名は体をあらわすとゆうけど、脂身たっぷりのお嬢さんだ。
「そこに座りなさいよ」 「先生は?診察時間がいつもより早いんじゃない?」 「あんたの歪んだ心をウチが診察してやるよ」 「何いってんだよ、くだらねー用事なら帰るぞ」 「逃げる気?あんた、沙弥香にヒドイこといったでしょ?」 「え?いや、別に、そんなことは・・・」 「沙弥香があんたのこと好きなの知ってるくせして、ホント意地悪やね」 「・・・」 てゆうか、やっぱそうだったの?すっげー!
「沙弥香ね、休み時間にずっと泣いてたんだよ。さっきどうして謝らなかったのさ?」 「それはちょっと・・・カッコ悪いっつーか・・・ケータイ取ったのアイツじゃん、それで・・・」 「男らしくないねえ、ウジウジして。ウチはあんたみたいな男は嫌いやな」 別にキミに好きになってもらわなくていいことだし、こっちだって御免だよ〜(笑) 「さっさと謝りなさい」 張り倒されそうだから、ここは素直に謝っとこう。 「はいはい、わかりましたよ。さっきは沙弥香さんを傷つけるようなことをいってゴメンなさい」 「本人と会ったら、今度は必ず謝りなよ!いいね」 なんで年下の大娘(ごめん小娘が正解!)に説教されなきゃなんねーんだ? ケータイも返してもらってねーし!
その日、沙弥香はぼくの前に姿を見せなかった。 夕食の上げ下げ、点滴の交換、吸入のとき、ずっと待ったけど来なかった。 代役は・・・真里かよ! 女装したDDT並みにかわいいキミはゴメン、もうイイから。 ちなみに、DDTは「ドランクドラゴン塚地」の略! ああ、眠れそうにない・・・。
キミが思い出になる前に♪もう一度笑って見せて… やさしいふりだっていいから♪子供の目で僕を困らせて…
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