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2004/09/20(月)
ゆうやクンって呼んでもいいですかあ?
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甘い恋の予感から一転、成就どころか破局のピンチ! 眠れぬ夜を抱きしめつつ、枕を涙で濡らす予感はすれど、あっさり快適なる睡眠。 せめて愛しいキミに夢で会えぬものかと期待するも、これまた空振り。 現実とは常に冷静そのもの、ロマンチックなドラマのように全てが運ぶとは限らぬこと、これ世の常なり。 己の体調だけは良好、されど心は曇り時々雨とおぼしき風情かな。 いとおかし!諸行無常の響きあり(?)ってか。
見よ!この格調高き「紫式部」風のプロローグ? マジで書けば、ちゃんと正しい日本語が書けるんだって(笑)
午前8時・・・ 「おはようございます、朝食のお時間デース」 来たーっ!愛しのサヤちゃんの声。 ぼくは飛び起き、今日こそ謝罪の意を表明するぞと決意も固く、ベッドの上に正座する。 ベッドを囲んでたカーテンがガラガラッと開け放たれ、そこにいたのは・・・愛しのボール、いや真里ちゃんだった!! 「ゆうやクン、残さず食べなきゃ退院できませんよぉ」 「病人をからかうな」 「おや、かわいげないでしゅねぇ、恋病(コイヤマイ)でちゅか?」 「いい加減にしろよ」
次の瞬間、真里が愛くるしい顔(?)をぼくに近づけ、恐怖に怯えるぼくの耳もとで、そっとささやいた。 「キチンと正座したりしてカワイ〜。さやかの声とまちがえたでしょ?いま外来にいるよ。着替えのときに来るよ」 「えー!相当気まずいじゃん」 「誰がまいた種?自分で刈りなさいよ」 あ〜あ、どのタイミングで謝ろうか・・・食事がノドを通らない。
ついに、そのときが来た。 「失礼します」 さやかが無表情で入ってきて、手際よく食器を片付ける。 一片の笑みもない冷たい表情だーッ! 「パジャマを脱ぎましょう」 点滴の針は抜かないから、液体の入った袋は袖から通す。 だから、ズボンはひとりで脱げるけど、シャツのほうはどうしてもムリなんだ。 パンツ一丁でうつ伏せになったぼくの背中を、さやかが丁寧に拭いてくれる。 次に、体を回転させて仰向けに・・・。
首筋から胸のあたりを拭いてもらっているとき、さやかと目が合った。 もう心臓バックバクで、たぶんさやかにも聞こえてたんじゃないか? 「ってゆうかー、昨日はあんなこといってゴメンなさい」 「・・・」 うわ、きっつう!ノーリアクション?そりゃないよ〜。 あまりの気まずさに、ぼくは目を閉じた。 瞳をとじて♪君を描くよ♪それしかできない〜状態。
ここはタヌキ寝入りで逃れようと思ってたら、しばらくしてからぼくを呼ぶ声が! 「あの〜前田さん!3つ年下ですけど、ゆうやクンって呼んでもいいですかあ?」 「え?あ?!まあ、いいよ」 「ゆうやクン、そろそろパンツ替えないとダメですよぉ♪」 「アハハ、そうだよね。母ちゃんも父ちゃんもいねーから、着替え持ってこれなくて」 「よかったら、コンビニで買ってきてあげるよ」 「じゃあ、お金渡すから頼むよ」 「今すぐ買ってくるから、そのままで待ってて」 「うん???」 ぼくは場末の(?)病院のベッドの上、半裸で放置された。 これがホンマモンの放置プレイってか?ハズ〜イ!
そして、新しいパンツと一緒にケータイも戻ってきた。 この後、夜勤明けだったさやかはお役御免となり、着替えをしたあとで、ぼくのところへお見舞い? ふたりは長い時間、今の仕事の辛いことや楽しいこと、家でのこと、将来の夢なんかを小さな声で語り合った。 うれしいことに、ぼくのことが前から好きで、入院したときにお世話したいと薮先生に申し出たことも打ち明けてくれた。 また、さやかの父親は彼女が小さい頃に事故で死んでしまって、今は母親とふたりで暮らしているらしい。 同じ部屋のほかの3人はジイさんばっかだし、イヤホン付けてテレビ見てるし、この際だからまあいっか! 途中でお互いのケータイにメールが入ってきて中断することがあって、そんなときさやかはちゃんと病院の外に出て返信してた。
夕方・・・ 「じゃあ、帰るね」 立ち上がったさやかに向かって、ぼくはいった。 「こんなぼくだけど、さやかのことをもっと知りたいから、付き合ってください」 「はい、うれしいです」 ふたりの影はやがてひとつのシルエット・・・(←ウソだよ!)
セカチュウを超える(?)ぼくらの純愛ストーリーは、今はじまったばかり。 第1幕は幸せな結末ってとこかな・・・。
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