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2005/11/25(金)
夜明け間際の吉野家では・・・<前編>
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季節は2月、真冬。 ゆうや(俺)と章二と恭二は高校卒業間近の18歳。 保育園時代から大の仲良しで、多少曲がったところもあるけれど、基本的には曲がったことが大キライな善ガキトリオだ。
章二と恭二はとっくの昔に就職先を決めていて、残り少なくなった高校生活を目一杯エンジョイ中だった。 だが、俺はとゆうと就職もせず進学もせず、バイト先のCDショップにそのまま居座ろうとしていた。 2年前の両親の離婚後グレることはなかった俺だが、たった一人世間の荒波に放り出されたような気分に支配され続け、夢とゆうものが見えなくなってしまった。 「どうせ俺なんか」とか「食えればいいや」など、退廃的な言葉を平気で口にするようになっていた。 幼なじみであり今も変わらぬ親友である二人は、そんな俺のことを本気で心配してくれていた。 「やりたいことが見つかるまで、焦ることはないさ」と、会うたびに励ましてくれたものだ。
その日。 恭二が兄貴のクルマを借りて、念願の免許取得後はじめてのドライブをすることになった。 俺と章二が誘われて同乗したわけだ。 男三人はあてどなく南西へ走り、眠くなったら窓を全開にして大声で叫んでは、眠気を覚ました。 雄叫びの内容は、たとえば「美穂が好きだ〜っ!」とゆう恋人への思いだったり、何に対してだか「バカヤロー!」と怒りをぶつけたり、「くたばりやがれ〜!」と他人の不幸を願う罵声まで様々だった。 男だけの世界ゆえ、簡単にタガが外れてエッチな言葉を叫ぶ不心得者もいたが、それは俺じゃない。
俺はひどい失恋を経験したショックで、それどころじゃなかった。 やはり2年前、大人に無理やり別れさせられた女の子のことが忘れられず、その後いくつか恋をしたけど長続きしなかった。 「あんなに好きにはなれない」 俺は女々しい自分に嫌気がさしていた。
俺たちは高知県境を越えて少し進んだところでUターンして、帰路についた。 まだまだ世間の狭い当時の俺らにとって、県境は大きな壁だったのかも知れない。 それと時間の制約もあった。 朝が来るまでには恭二の兄貴にクルマを返さなければならなかったのだ。 運転をしていた恭二は平気そうに振る舞ってはいたものの、やはり初めてのロングドライブに緊張していたに違いない。 帰り道で突然「腹減ったあ」と言い出したので、「吉野家で牛丼でも食べるか」となった。
その日、俺たちが吉野家に行くまでの経緯を簡単に書くと、こうゆうことだ。
◇ ◇ ◇ ◇
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