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2005/02/14(月)
真新しい母ちゃん ―泣くな!泣くな!そんな事で―
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今年のバレンタインデーは中坊時代以来、久々に大台を突破する大漁≠セった。 少なくとも社会人になってからでは、過去最高の数のチョコをもらった。 去年が義理チョコ1個だけだったことを考えると、これはもう大躍進だ! きっと人気が回復してきたんだろう(…含笑) と思いたいところだけど、仕事関係のオバちゃんだけだから、そんなわけねえよな(…謙虚!)
昼間のバイト先の女子社員(…関係ねえけど2つ年上)から1個、得意先の女子社員(…6割方オバちゃん)から5個。 夜の宅急便では角藤先生、佐渡法律事務所のサディスティック★オバン、それと顔なじみのオバちゃんsから2個。 あんがとさんですっ!
そして深夜10時過ぎ、ぼくは薮医院の裏口からそっと院内に侵入。 2階のナースセンターで待っていた彼女から、でっかいハート型の手作りチョコとクッキーをもらった。 チョ〜うれしかったから抱きついて、チュウしたい衝動に駆られたけど、彼女の神聖な職場でフシダラな行為はやっぱイケナイことだと思いとどまり、なんとかガマン!
「お母さんからプレゼントがある」 と彼女が言うので、病院を出たあと、すぐ近くにある彼女の家へ立ち寄った。
「こんばんわ〜ッ!」 玄関先でゲンキよく挨拶すると明かりがつき、彼女の母ちゃんがにこやかに出てきた。 「こんばんは。遅くまで仕事してるのに、わざわざ来てもらってゴメンね。渡したい物があるから上がりなさい」 「うん」 そういえば、彼女の母ちゃんと二人だけになるのはこれが初めてだ・・・などと考えながら、ぼくは居間に正座した。
「はい、どうぞ。わたしからのプレゼント!」 母ちゃんから手渡されたのは、白い紙に包まれた小さな箱だった。 「ありがとう!開けてみていい?」 「いいわよ。でも高価なものじゃないから、あまり期待しないでね」 母ちゃんの声があまりにも優しく聞こえて、思わずぼくは涙がこぼれ落ちそうになり、あわてて奥歯を噛みしめた。
箱を開くと、中から折りたたみ式の革のサイフが出てきた。 「わあ、サイフ持ってないからチョ〜うれしいっ!」 でも、なんでサイフを持っていないことを知ってるんだろう? その理由は聞かなくても、母ちゃんがちゃんと説明してくれた。 「こないだのゆうやくんの誕生日、ウチでお風呂入ったでしょ?あのとき、小銭がたくさん落ちる音がしたから、サイフを持ってないんだなあって思ったの」
「お母さん。ぼく、しあわせすぎて怖いぐらい・・・」 ぼくは声が震えそうになり、それだけ言うのがやっとだった。 「無理してお母さんと言わなくても、ゆうやくんが言いやすいように母ちゃん≠ニ呼んでいいからね」 また泣かせるセリフを言ってくれるから、泣くな、泣くなと思えば思うほど、ぼくは完璧に泣いてしまった。
「よしよし。そんなにうれしかったの?でも、男の子でしょ!さあ泣かないの」 真新しい母ちゃんは、ぼくの背中をさすりながら、そう言ってくれた。
しあわせなはずなのに、このときハートには正反対の歌が響いていた。
わかってたまるか!大粒の涙をちぎり捨て♪ 眠れぬ夜に♪ただひとり酒をかじる♪ かみしめる口唇から♪なおさら血がにじむ♪ だけど容赦なく明日は俺の頭上にやってくる♪
泣くな!泣くな!たかだかそんなことで♪ 泣くな!泣くな!たかだかそんなことで♪ 叩かれ♪だまされ♪おまけに追いつめられ♪ 生きることが嫌になるときくらい♪俺にもある♪
≪長渕剛泣くな!泣くな!そんな事で’rom the albumCaptain of the Ship=
死のうとまでは思わないけど、生きることがイヤになったことなら過去に何度だってある。 けれども、ぼくはもうひとりじゃない! 支え合って生きてゆける家族が2人もいる!
ぼくはこの曲に込められたホントの意味を噛みしめた。 そして、今こうして、しあわせの涙に向かって「泣くな!」と言えることに感謝したのだった。 誕生日にでっかいことをやらかした直後で地味に感じるけど、今日は今日ですばらしいバレンタインデーだった。
◇ ◇ ◇ ◇
「ねえねえ・・・母ちゃん、耳かきしてよ」 と、悪ノリして甘えれば、たぶんしてくれたと思うけど、やめた。 変な子だと思われたらマズイでしょ(…エヘヘ)
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