【青春交差点】
 
いつもどんなときも。ぼくはぼくらしく。
 
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2005/04/30(土) もっとゆっくり生きようよ!―JR列車事故に思う―
 
25日、兵庫県尼崎市で起きたJR西日本の列車脱線事故の報道が、連日続いている。
ぼくはテレビをほとんど見ない人だから、たぶんみんなのほうが事故について詳しく知っていると思う。
ジャーナリストでもないぼくが、事故の経過や原因をいちいち解説する必要もないだろう。

不謹慎かも知れないが、ぼくはこの事故を思うとき、数年前に行ったアメリカへの旅を思い出す。
そのときには、世界一の文明国を自認するアメリカで、飛行機のエンジントラブルを理由に、デトロイト空港でなんと5時間待ちを余儀なくされた。
さらに、ジョン・F・ケネディ空港では、乗客の荷物の積み込み作業が遅れているからと言って、出発前の飛行機の中で1時間以上も待ちぼうけを食わされた。
窓からぼくが見ている前で、作業員が汗だくになりながら、でっかいスーツケースを乱暴に投げ込んでいるのが見えたものだ。
これだから、海外旅行に持って行ったスーツケースがへこんだり、キャスター部分がネジ曲がってしまうわけだ。

しかし、これは何も特別な出来事じゃない。
また、アメリカに限ったことでもない。
海外を旅した多くの人が、待たされた時間の長短にかかわらず経験していることなのだ。
それに比べて、日本国内の飛行機や鉄道の運行時刻の正確さは、見事とゆうしかない。
たまに定刻から30分も遅れようものなら、すぐさま「ダイヤに乱れが出ました」と、全国ニュースになるほどだ。

日本人は世界的に見ても、時間とゆうものに対し非常に正確な民族なのだ。
堂々と世界一だと胸を張ってもいいのではないか?

 ◇ ◇ ◇ ◇

そこで、今回の列車事故。
23歳の運転士は、制限速度70qをはるかに超える100q以上のスピードでカーブに侵入し、大惨事を引き起こしてしまった。
事故直前のオーバーランをもみ消し、定時運行との遅れを過少申告するため・・・。
若い運転士は、事が発覚したとき会社から課せられる懲罰を、よほど怖れていたのだろう。

彼には「何百人もの生命を預かる者としての自覚が足りなかった」とゆう人がいるかも知れない。
ぼくはそうは思わないが、仮にそうだったとしても、誰だって自分の命は大切なのだ。
が、それでも彼は、命の危険を顧みず突進して行った。
ミスの帳尻を合わせるため、そして、それは会社に対していい顔≠するため。

会社は定時安全♂^行の結果だけしか見ないから、傷まみれのいい顔≠ノ気づかない。
現場の運転士の苦悩など知らない。
知ったとしても、定時安全運行とゆう錦の御旗を振りかざし、その旗の下に集結できない者には「雇用の確保を保証できないおそれがある」と告げれば、強引にでも納得させることができる。

その結果、継ぎはぎだらけの旗を信用して乗りこんでいた107人もの尊い生命を奪い、460人を傷つけてしまった。

車両の強度が弱かったとか、事故があったカーブ手前にATSを設置していれば自動でブレーキがかかったとか、設備上の問題点も指摘されている。
けれども、ぼくはこの事故をそうゆうふうに考えている。

 ◇ ◇ ◇ ◇

ぼくは運転士を擁護するつもりはない。
事故を起こした当事者として、非難されるのは当然のことだ。
でも、「バカだ」「アホだ」と罵るつもりもない。
それは、責任の重さが全然ちがうけど、運送・輸送の仕事に携わる者として、同年代の運転士の焦りが少しはわかるからだ。

宅急便の仕事をしていて、時間指定の荷物をたくさん抱え、時間内に届けることが到底不可能になったとき。
携帯している端末に「ウソのデータを入力しようかな」とゆう誘惑に負けそうになる。
時間内に行けない荷物を、とりあえず全て「不在」と入力するのだ。
こうしておけば、ぼくは時間内に受取人の家に一度行ったことになり、責任を果たしたことになる。
配達完了ができなかったのは受取人の都合とゆうことで、本来こちら側にある指定時間不履行の責任を回避することができる。
会社が見るデータ上では、そうゆうことになるのだ。

そんなとき、ぼくは「まっすぐに行こう!正直にやろう!」と自分に言い聞かせる。
指定時間不履行率が高くなり、会社からの評価は下がるが、能力が足りないのだから仕方ない。
正確に安全に荷物を届ける・・・それこそが運送業者として第一の使命なのだ。
お客さんから「遅いじゃねーか!」と罵倒されたら、ひたすら謝るのみ。
償いとして命まで差し出せとゆう人はいないのだ。

だから、ぼくはこう叫びたい。

日本人の皆さん・・・もっとゆっくり生きましょうよ!

5分、10分、どうでもいいじゃないですか!

それでも十分、日本人は時間に正確なんですよ!

・・・と、声を大にして叫びたい。

 ◇ ◇ ◇ ◇

最後に、今回の事故で亡くなられた方々のご冥福と、ケガをされた皆さんの一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。
 

2005/04/29(金) 純情青年には余裕がない?
 
くだらねー出来事だったから何曜日のことか忘れたけど、今週の出来事だ。


配達先の懇意にしているガソリンスタンドで、ヒマそうな金髪のバイトくん2名が話をしていた。

「さっき○○ちゃん(同僚の女の子らしき名前)がしゃがんだときにさー、パンツがモロ見えちゃった」
「マジかよ?」
「おお!見えた」

「で、何色だった?」
「白だよ白!」
「かあーっ、白かよ。たまんねーな」

「ってか、俺やばいよお」
「○○ちゃん、かわいいもんな」

ここまで話をして、やっとぼくがそばにいることに気づいた彼らは、「ゆうやさんも興味ある?」と聞いてきた。

ぼくはぶっきらぼうに「あんまり興味ないっすねえ」と答えた。

バイトくんたちは、ぼくに彼女がいることは知っているが、間もなく結婚することは知らない。
「彼女がいるからですか?」と、なおも聞かれたので、「そんなカンジかもね」と曖昧に答えておいた。

「あーあ、俺らも早く彼女ほしい〜っ!」
ぼくはその言葉はスルーした。


婚約者がいるから他の女の子に興味がないってことじゃない。
ホントは彼女ひとりだけで精一杯だ。
ぼくは昔からそうゆう男の子なんだよ。
だから、純情なのも確かだけど(…自分ではそう思う!)、考えてみれば、余裕がないだけのことなのかも知れない(…笑)

それに、夜の宅急便をやっていると、もっともっとすっげえ場面≠ノ出くわすことだってあるんだから(…謎?)
 

2005/04/28(木) 逆転勝訴!―ピンク優待券疑惑―
 
今日は夜のバイトが休みだった。
昼間のバイトを終え、会社の近くの本屋をうろついていたら、ケータイにメールが入ってきた。
彼女からのメールかと思ったら、彼女の母ちゃんからのメールだった。

 * * * *
さやかは夜勤でいないけど、晩ご飯用意してるから、帰りにおいで!
 * * * *

こうゆうのは婚約してから度々あることで、別に珍しいことじゃない。

「ラッキー!持つべきは優しい母ちゃんだよなあ」
ぼくはそんなのん気なことを考えていた。

 ◇ ◇ ◇ ◇

お風呂から出て、居間でテレビを見ながら晩ご飯をご馳走になっていると、母ちゃんの様子がおかしい。
いつもの笑顔じゃない。
わずかながら厳しい・・・かげりが見える。
どうしたんだろう?

「ゆうやくん、さっき洗濯物のワイシャツの胸ポケットから、こんなモノが出てきたんだけど」
彼女の母ちゃんは、テーブルの上に名刺大の優待券≠置いた。

 * * * *
優良会員様★特別ご優待券

次回ご来店時に本券を提示いただくと、サービス料と指名料が半額でOK!
ただし、17時より19時までにご来店された方のみ。

プリンクラブ(仮称)
 * * * *

ピンクの下地に淡いブルーの文字。
イメクラとまではわからないまでも、明らかにフーゾク店の優待券・・・やばいモノを見られてしまった!
さっさと捨てておけばよかった!

「あーっ!それ・・・ちがうんだ!」
まったく無実の罪なのに、ぼくはかなり狼狽した。
「なにがちがうの?これがどうゆう店なのか、わたしにだってわかるんだからね」
母ちゃんの声がビミョーに疑っているのがわかる。

「ぼくじゃないって!」
「ホントに?」
「ホントにホント!ぼくはそうゆうとこにはゼッタイ行かないんだよ〜。信じて!」
「まさかゆうやくんが・・・とは思ったけど。ちゃんと説明できる?」

ぼくは母ちゃんに事件の真相を説明した。
この優待券は、昼休みに会社のエロオヤジが、ぼくの軽トラの中にこっそり置いたものだ。
これを見つけたぼくがどうゆうリアクションをするか、楽しみにしていたらしい。
もちろんぼくは強硬に抗議した。
「こんなところには興味ないし、彼女に見られでもしたら大変な騒ぎになるから、こんなイタズラはやめてください」と。
エロオヤジは二度とイタズラしないと約束してくれた。

「わかったよ。でもねえ、どうしてそのときに捨てなかったの?」
いたたたっ・・・母ちゃんはかなり痛いところを突いてきた。
「それはそうなんだけど・・・どうゆうわけかポケットに入れちゃって・・・エヘヘヘ。ゴメンなさいっ」
ホントは『イタズラ★タズラ』とゆうタイトルで日記のネタにしようと思っただけだったが、そのことは言わないでおくことにした。

母ちゃんはぼくの目をずっと見ていた。
そして、笑いながらこう言ってくれた。
「ゆうやくんは純情そうに見えるから、ほんとトクな子だねえ」
ぼくの照れ笑いがあまりにも効果満点で、母ちゃんのハートを揺さぶったのだろうか?
そんなことは聞けないけど。

「純情そうに見える・・・じゃなくて、マジで純情なの!」
冤罪が晴れた嬉しさで、ぼくはすかさずトドメの意味で自己PRをしておいた。

すると、母ちゃんが世にも恐ろしいことを言った。
「でも、もしさやかが見てたら・・・そんな笑顔じゃいられなかったねえ」
「それは・・・はい・・・」
ぼくは恐怖の修羅場を思い浮かべ、神妙な顔をしてうなだれた。

母ちゃんはぼくの様子を見て微笑みながら、テーブルの上にあったピンク優待権を手に取った。
そして、細かくちぎり、ゴミ箱に捨てた。

見られたのが、母ちゃんでよかった〜っ!

 ◇ ◇ ◇ ◇

今日は、こんなくだらない事件がありました。

どうゆう理由であれ、ぼくがピンク優待権を持っていたことを知ったら、彼女は平気じゃいられない子です。
そんなところも大好きなんだけど・・・。

せっかく気品溢れる日記を書いたのに、締めは惚気で・・・ゴメンなさい(…エヘヘ)
 

2005/04/27(水) 悲しい気持ち・・・マジ★ブルー
 
ぼくは父ちゃんに抱っこされた記憶がほとんどない。
昔、ジイちゃんや母ちゃんもそうゆう話をしていたから、たぶん間違いないのだろう。
抱っこどころか、父ちゃんが「ぼくのことをかわいいと思ったことが一度でもあるんだろうか?」と疑ったりもする。


 ◇ ◇ ◇ ◇


小学生の頃のぼくは、あまり成績がよくなかった。
けれども、運動神経だけはよくて、スポーツ万能選手だった。
特に中学を卒業するまではずっと学年一の俊足だったから、運動会のかけっこで負けたことは一度もない。
町別対抗リレーと学級対抗リレーでは「常連」とゆう形容にとどまらず、「運動会☆永久欠番」とか「町民栄養失調賞」レベルの賞賛を受けていたものだ(…たぶん!)
さらに、走る姿は廻し車で遊ぶハムスターのごとくキュートじゃなくて、すばしっこいし・・・(これだけは思いっきりジマン!)

しかし、ぼくにはリレーで一度だけミジメな思いをした経験がある。
それは、小5のときの運動会。
事件は午前最後のプログラム、町別対抗リレー予選のときに起きた。

予選は2組で6チームと7チームが走り、それぞれの組の上位3チームが午後の決勝に進める。
4年生の子からバトンを受けたとき、ぼくらのチームは5位だった。
優勝候補筆頭のぼくらだったけど、3年生と4年生のバトンタッチのときにバトンを落とし、それを後続の選手に蹴っ飛ばされたため、大幅に順位を下げてしまった。
それでも、5年生のぼくと6年生の先輩で逆転できる!
町内の人たちみんながそう信じていた。

バトンを受けたぼくは、第2コーナーを曲がったあとの直線で、前を行く2人を抜き去り、この時点で3位に上がった。
そして、第3コーナーから第4コーナーにさしかかるところでは、ついにトップをゆく選手に並びかけた。

しかし・・・。
ぼくのすぐ左後ろにいた3位を走る子が、ぼくの左肩のあたりを右手で強く引っ張った。
体重が軽いぼくはバランスを失い、観客席までふっ飛んでいった。
すぐに気を取り直して走り始めたけど、もう挽回できる距離は残されてなくて、結局6位で先輩にバトンを渡した。
6年の先輩ががんばって3人を抜き、なんとか3位に滑り込み、ぼくらは午後の決勝戦へ進むことができた。


 ◇ ◇ ◇ ◇


昼食の時間になり、ぼくは母ちゃんと父ちゃん、それに大好きなジイちゃんと子分衆が陣取っている場所へやってきた。
「ゆう坊、大丈夫か?」
「どこも痛いことないの?」
ジイちゃんと母ちゃんは笑顔でぼくを迎え、カッパ頭をなでてくれた。
「転んじゃったあ・・・エヘヘヘ。でも、ケガはしてないけん大丈夫!決勝はゼッタイがんばって優勝や」
ぼくは泣きだしたいぐらい悔しかったけど、町内の人たちもみんなが応援してくれていたので、なんとか気を取り直そうとしていた。

ジイちゃんの膝の上に座り弁当箱を開けると、父ちゃんがぼくを呼んだ。
「ゆう!ちょっとこっち来い」
父ちゃんはぼくを校舎の陰に連れて行った。
父ちゃんはこの日、朝から酒を飲んでいて、酒臭い息でこう言った。
「あのザマなんや?フウが悪い!決勝でコケたら、今晩家に入れんぞ。わかったか!」
十分傷ついている息子に対し、親がゆう言葉だろうか?
「え?でも、あれは後ろのヤツに引っ張られたんや。ぼくがコケたんやないよ」
ぼくが初めて負けた・・・その原因なんて言わなくても、父ちゃんにはわかっていてほしかった。
だから、言い訳をせず次の決勝でがんばると言ったのに・・・。

「競ったレースになったらなあ、あれぐらいのことしてくるヤツはナンボでもおる。こかされた(転ばされた)おまえがトロイんや!」
ショックなひと言だった。
「でもね・・・」と言いかけたぼくに、父ちゃんはさらに意地悪なことを言った。
「さっき席に帰ってきたときもなんや?すぐにおジイの膝の上に乗って!まだ赤ちゃんなんか?親のとこには全然寄り付きもせんクセにのう」
ぼくは父ちゃんから一切愛されてないことを知り、その場に体育座りをしてうずくまり、ひとりで泣き続けた。

しばらく泣き続けていると、ジイちゃんと母ちゃんがぼくを見つけてやって来た。
ぼくは父ちゃんに言われたことをふたりに話した。
「普通の親がそんなことゆうか?」
ジイちゃんは怒りで肩を震わせていた。

そして、何食わぬ顔で席に戻り酒を飲んでいる父ちゃんに向かい、あたり構わず大音響で怒鳴った。
「おまえはそれでも親か!ゆう坊を慰めてやったもんやと思とったら、逆にケナしてどないするつもりや!こらっ!」
普段から父ちゃんは、ジイちゃんに頭が上がらずにいた。
ジイちゃんに怒鳴られてその場に居づらくなった父ちゃんは、さっさと家に帰ってしまった。

午後の決勝戦。
ぼくは3位でバトンを受け、今度は余裕でトップに立ち、先輩にバトンを渡した。
もちろんチームもそのまま優勝!
小5のときの運動会で、そんな出来事があった。


 ◇ ◇ ◇ ◇


ぼくは父ちゃんに結婚の報告をするため、今夜遅くに電話を入れた。

「父ちゃん、ぼくは来月結婚することになりました」
「ほうけ。よかったのう。で?」
父ちゃんは明らかに迷惑そうに、そう言った。
「あっ、いや・・・」
ぼくが言葉に詰まっていると、
「お祝いがほしいけん電話してきたんか?」
意地悪な性格は、どうやら昔と全然変わってないようだ。
「結婚することを連絡したかっただけです。じゃあ、お元気で・・・」


 ◇ ◇ ◇ ◇


ぼくにはそれしか言えなかった。
父ちゃんに向かって「ありがとう」とゆう言葉は、どうしても出てこなかった。

悲しい気持ち・・・。
マリッジ☆ブルーなんかじゃなくて、マジ★ブルー★レンジャーになりそうだ。
 

2005/04/26(火) 遥かなるジイちゃん☆墓参り編 第7話【最終回】
 
ぼくはジイちゃんへの誓いを終え、墓石から手を放した。
後ろを振り返ると、彼女はいまにも泣きだしそうな顔をして、青くかすんだ空を見上げていた。
ぼくが泣いているのがわかったから、きっと見ないフリをしてくれたのだろう。

「しきびとお線香をあげようか」
「うんっ」

それはジイちゃんのお墓にやって来た久しぶりの温もり。
ジイちゃんの喜ぶ顔が目に浮かぶ。

ぼくらはしゃがみこみ、ジイちゃんにお祈りを捧げる。

この女の子が、来月ぼくのお嫁さんになってくれるさやか≠セよ。
ヒイキ目に見たら、けっこうかわいいでしょ?
こんな言い方したら、彼女に怒られちゃうかな。

さっきから見ていてわかったと思うけど、すっげえ優しい子!
なにもかも標準未満のぼくには勿体ないぐらい。
さやかの母ちゃんも優しくて、ホントの息子みたいに可愛がってくれるんだ。
だから、いまはしあわせすぎて怖いぐらいだよ。

ジイちゃんに見せたいなあ・・・ぼくらの結婚式。
でも、ジイちゃんの写真を一緒に連れてくから、大丈夫。
泣いてばかりいないで、ちゃんと見てくれなきゃダメだよ。
一生に一度の晴れ舞台。
ぼくらの新しい旅立ち。

ジイちゃん・・・ホントゆうとね〜。
ジイちゃんが死んでから、ずっとつらかったんだ。
母ちゃんと父ちゃんは離婚してしまったし、好きだった女の子とも別れさせられたし・・・。
まっすぐに生きようとすればするほど、いつも悔し涙ばっかりで。

そうゆうことはあんまり考えないようにしてたけど、生きてく意味がわからなくて苦しかったんだよ。
「誰かに愛されたい」と必死に叫んでも、誰も受け止めてくれないような気がして。
遠くで見守ってくれているジイちゃんの姿でさえ、ぼくにはずっと見えなくて・・・ゴメンね。

だけど、さやかと出会ってから、生きる意味がわかった。
心から愛する女の子がいて、ぼくの命を犠牲にしてもこの子を守りたいと思える気持ちがあって・・・。
そして、お互いに「今日も平凡な一日だったね」と笑い合うことができたら、たったそれだけのことで生きる意味があるんだ。

そして、いまのぼくには、ジイちゃんの姿がはっきり見えるようになった。
それもさやかのおかげなんだよ。
長いこと閉じていたぼくの心を、この子が開いてくれたから。

だから、ジイちゃん・・・
ぼくと同じようにさやかを可愛がってやってよねっ!
お願いします。

それと、今度母ちゃんに電話してみるよ。
ずっと音信不通にしていて、ずいぶん心配してるだろうから、安心させてあげようと思うんだ。

ジイちゃんと話し終えたあと、ぼくらは手をつなぎ、海へと続く長い長い下り坂をゆっくりと歩いていった。

「ゆうやくん、おジイさんと何を話したの?」
彼女がぼくの横顔を覗きこむようにして聞いてきた。
「この子がぼくのお嫁さんで、すんげえ優しい子だからヨロシクね・・・ってお願いしたんだよ」
ぼくはマジメに答えた。

「で、おジイさん、なんて言ってた?」
「教えてほしい?」
「うん。知りた〜い」

昔、ジイちゃんの膝の上で聞いた・・・あの言葉を彼女に教えてやろう。

ゆう坊!
ええか、よう聞け!
嫁さんを守ってやるのが男の役目や!
さやかを泣かすようなことをしよったら、なんぼゆう坊でもジイちゃんは許さへんで!
・・・そうゆうふうに言ったんだ。

「わあ、男らしい言葉!おジイさん、カッコいい」
「うん。チョー☆カッコいい人なんだ」

素晴らしい一日だった。
お墓参りをしてホントによかった。

ジイちゃん・・・ぼくはさやかと一緒なら絶対しあわせになれるよ。
太鼓判だねっ!!

三月の太陽は、はるか南南西の天空から、いつまでもどこまでも柔らかな陽射しをぼくらに注いでくれた。
ジイちゃんがくれた温もりが、いつまでも冷めぬように。


≪完≫

 ◇ ◇ ◇ ◇

【関連記事】

◆遥かなるジイちゃん☆墓参り編
第1話
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=3&D=21
第2話
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=3&D=23
第3話
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=22
第4話
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=23
第5話
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=24
第6話
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=25

◆遥かなるジイちゃん
前編
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=1&D=14
中編
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=1&D=15
後編
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=1&D=16
 

2005/04/25(月) 遥かなるジイちゃん☆墓参り編 第6話
 
ぼくは、彼女が借りてきてくれた草刈り鎌を使い、憎たらしい雑草たちと勇敢に戦った。
・・・と、カッコつけたいところだけど、鎌なんて使うのは生まれて初めてのことだし、刃が錆びている上にところどころ刃が欠けていたりして、最初のうちはなかなか思うように作業がはかどらなかった。

おまけに、運動神経がいいはずなのに、こんなときに限って、ぼくはずいぶんマヌケなのだ。
茎の太い雑草を慎重に一本だけ切ろうとしたら、こいつが見かけよりヤワで、切る前に抜けてしまって「おっとっと」とヨロめいたり・・・。
たまにうまく刈れたと思ったら、勢い余って切り株の上に尻もちをついてしまい、「ギャーッ!」と大声をあげて飛び上がったり・・・。
ジーンズを履いているからまず大丈夫なのだが、それでも、お尻に突き刺さったんじゃないかと気が気じゃない。
体操の月面宙返りみたいに身体を思いっきりひねって、「まさか血は出てねーよな?」とわざわざ確認したり・・・。

ぼくのチョー★カッコ悪い姿を、彼女はときに爆笑しながら、終始嬉しそうに見守っていた。

そうやって失敗を繰り返しながら、いろんな切り方を試していると、だんだんコツがつかめてきた。
雑草の茎に対し鋭角に刃を当て、そのまま鎌を引き上げると、簡単に刈り取れてしまうのだ。

今後数ヶ月間、ジイちゃんのお墓が圧迫されることがないよう、雑草のヤツらを徹底的に懲らしめてやったつもりだ。
けれども、生命力が強いヤツらのことだから、今度来るときにはまた生い茂っているだろう。
まあ、そのときはそのときのこと。
思う存分退治してやるのみ。

ぼくが雑草との格闘に勝利しそうになった頃、彼女はまた手洗い場へ行き、今度はホーキとチリトリを借りてきた。
そして、さっき手では取れなかった枯れ葉の切れっ端や土埃を取り除く。
墓石に掛け水をして、持っていたハンカチで磨いてもくれる。
額に汗をにじませながら一生懸命になって掃除している彼女を見ると、ぼくの心まで洗われる思いだ。

「さやか、あんがと!」
「もうすぐゆうやくんのお嫁さんになるんだから、これぐらい当たり前でしょ」
なんと嬉しい言葉。
こんなに優しいお嫁さんのために、ぼくは生涯を捧げよう。
ジイちゃんもきっと気に入ってくれるはずだ。


ふたりで1時間半近くも掃除したから、ジイちゃんのお墓はすっかりキレイになった。

ぼくはジイちゃんの墓石の前に立ち、目をとじて両手を合わせた。

ジイちゃん、ゴメンなさい。
ジイちゃんのお墓があんなふうになってるなんて、想像もしてなくて。
2年間もお参りに来ずに、ホントにゴメンなさい!

目の中に入れても痛くない・・・そんな言葉では言い表わせないほどの深い愛情で、ぼくを守り続けてくれたジイちゃん。
それなのに、ぼくは・・・ぼくは・・・なんて心の冷たい人間なんだろう。
2年間も惨めな思いをさせて、平気でいられたんだから。
ジイちゃん、どうかぼくを許してください。


ジイちゃんに語りかけていたとき、一陣のさわやかな風が吹き、天国にいるジイちゃんが舞い降りてきてくれたような気がした。
ぼくにはわかる・・・ジイちゃんの息づかいが。

ぼくは思わず墓石にしがみ付き、右の頬を当てる。
遠い昔、ジイちゃんの懐でおんぶ抱っこをされたときに聴いた、あの胸の鼓動が聴こえてきそうだ。
ぼくの瞳からこぼれ落ちた涙のしずくが、いまは石になったジイちゃんの胸に優しく染みこんでゆく。

ジイちゃん!
これからはずっと、ぼくがジイちゃんのお墓を守ってあげるよ。
約束するから安心して。
もう淋しい思いをさせることは絶対にないからね。

≪続く≫

 ◇ ◇ ◇ ◇

【関連記事】

◆遥かなるジイちゃん☆墓参り編
第1話
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=3&D=21
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◆遥かなるジイちゃん
前編
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=1&D=14
中編
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=1&D=15
後編
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=1&D=16
 

2005/04/24(日) 遥かなるジイちゃん☆墓参り編 第5話
 
ジイちゃんのお墓は、長くて急な上り坂のテッペン近くにある。
けれども、ぼくの目には入ってこない。
坂道から見えるような一等地ではなく、ずっと奥のほうにあるからだ。

やっと・・・目印にしているカーキ色の囲いを施したお墓に近づいた。
ここで右に曲がらなければ、ジイちゃんのお墓には入ってゆけない。

ジイちゃんに早く会いたいばっかりに彼女のことも考えず、ちょっと早足で歩きすぎた。
「大丈夫か?」
ぼくは後ろを振り返り、彼女に声を掛ける。
「平気!平気!」
彼女は明るく微笑んでくれた。

「なかなかゲンキじゃん。ここから奥に入ってゆくんだよ」
「もうすぐだねっ」
「うんっ!」
ぼくらはまた歩き始めた。

 ◇ ◇ ◇ ◇

ぼくは、誰かが先にジイちゃんのお墓参りをしているはずだと思っていた。
ジイちゃんには男女合わせて7人もの子どもがいる。
今日(3月21日)は既に彼岸の中日を過ぎているんだから、きっと誰かがお参りして、キレイに掃除もしてくれているだろう。
そんなふうに思いこんでいた。

が!
ジイちゃんのお墓を見た瞬間、ぼくはその場に茫然と立ち尽くした。
新しいしきび≠ネんかはカケラもない。
それよりも、恐ろしいぐらいに長く伸びた雑草が、背後から墓石に覆いかぶさり、ひび割れたコンクリートの隙間から生えた野太い雑草が堂々と群れをなし生長している。
干乾びた落ち葉は数知れず、コンクリートの地面が見えないほどに積もっている。

さらに、引き抜かれた枯れ草と用済みのしきびがジイちゃんの敷地≠ノ高く積み上げられている。
きっと近くのお墓を参った人が、捨てて帰ったのだろう。
墓地の端っこに位置して人目につかず、また何年も放置された雰囲気だから、捨てやすかったのだろう。
手洗い場の近くまで下れば焼却炉があるとゆうのに、ひどいことをするヤツがいるもんだ。

「すげえことになってんなー」
ぼくは苦笑いをしたけど、ホントは泣きたい気分だった。
「そうだね」
あまりの惨状に彼女も驚いている。
「何から手を着けようか?俺はその枯れ草を下に持ってくから、さやかは葉っぱを集めてよ」
「うん」
ぼくらはジイちゃんのお墓の大掃除に取りかかった。

 ◇ ◇ ◇ ◇

急勾配の坂道を何往復もすることは、喘息患者にとっては相当にキツい。
彼女が手を真っ黒にして落ち葉を集めている姿を見るとかわいそうで、そんなことをさせている自分が情けない。
それに、2年間もゴミに埋もれ耐えてきたジイちゃんの惨めさを思うと、自然に泣けてきて、ぼくは何度も拳で涙を拭った。

そうやって何とかゴミは取り除いたが、非力なぼくには頑固に根を張る雑草を引き抜くことができない。
ムキになって引っ張っているうちに、素手で作業をしていたから手が滑り、葉っぱで左の手のひらを切ってしまった。
「あ、いたたたっ!」
思わずうずくまり左手を開いてみると、じわっと赤い血がにじみ出てきた。
貧血のぼくは血を見ると、とたんに気分が悪くなる。
耳鳴りがして目の前が真っ暗になり、とても立ってはいられなくなる。
ぼくは掃除したばかりのコンクリートの地面に仰向けになり、彼女がバッグを頭の下に敷いてくれた。

「ゆうやくん、大丈夫?しっかりして!」
彼女の声が、ものすごく遠くから聞こえる。
「ゴメンな。俺のせいでこんなことさせちまって」
ぼくは何を思い彼女に謝っているんだろう。

貧血で倒れたことか?
いや、ちがう!
墓参りもしない親族しかいないことか?
そうゆう血筋に生まれてきた自分自身を恥じているのか?
たぶん・・・そうかも知れない。
どうにもならないことなのに・・・それでも彼女に申し訳ない気がする。

突然、左手に激痛が走った。
彼女がヤカンに汲んであった水で、ぼくの手を洗ったからだ。
「いてえ〜っ!」
これでいっぺんに目が覚めた。

「エヘヘヘ。ゴメンなさい。いちおう消毒です」
「こうゆうときにマネすんな!」
「だって、便利なんだもん。エヘヘヘ」
こいつ、ぼくの照れ笑い兼愛想笑いをマネしてやがる。

ぼくが起き上がろうとすると、彼女が「もう少し寝てたほうがいい」とゆうので、そのまま空を眺めていた。
見渡す限りの青い空と墓地独特の神秘な静寂がぼくを包みこむ。

ジイちゃん、もう少し待ってよね。
すぐに起き上がるから。

その間に彼女は墓地の入口にある手洗い場まで下りてゆき、ヤカンに水を汲み、草刈り鎌を持って戻ってきた。
ぼくは気づかなかったけど、手洗い場の壁に鎌が何丁か掛けてあったらしい。


≪続く≫
 

2005/04/23(土) 遥かなるジイちゃん☆墓参り編 第4話
 
駐車場にクルマを置き、ぼくらは徒歩で漁村の狭い路地裏に入ってゆく。
どれぐらい狭いのかとゆうと、もし火事になっても消防車が近寄れないのは当然のこと、ふたり並んで歩くことさえできないのだ。
「この地区を担当する宅急便のドライバーは大変だろうな」などと、ついよけいなことを考えてしまう。
ぼくらは迷路のような路地を右に左に曲がった。

「こんなとこ、さやかひとりで来れるか?」
手をつないでいる彼女に聞いてみる。
「無理だよお。道なのか、家の敷地なのか分かんないし・・・」
それぐらい家が建てこんでいるとゆうことだ。

それにしても、住む人が誰もいなくなり、淋しく置き去りにされた廃屋が目立つ。
交通の便が悪い土地で、宅地の開発も行なわれていないためか、若者がどんどんこの場所から離れて過疎化が進んでいるのだろう。
ぼくもその一人ではあるが・・・。

ぼくらは少しばかり遠回りをして、ジイちゃんが住んでいた家の前を通ってみることにした。
しかし、既に取り壊されていて、キレイさっぱり更地になっていた。
ぼくはジイちゃんの家で、助産婦さんに取り上げてもらった。
つまり、ぼくが生まれた家でもあるのだ。
ここで思い出のカケラをいっぱい拾うつもりだったのに・・・残念。

 ◇ ◇ ◇ ◇

ジイちゃんの家の跡地から急傾斜の道を50メートルほど行くと、山を切り開いて造った墓地が見えてくる。
一気に坂道をのぼれない老婆たちが、途中で休憩をしている。
その横を通り過ぎるとき、ひとりの老婆から「ぼくや!もしかして坂本の坊か?」と声を掛けられた。
「違うよ」と答えると、なおも老婆は「え?人違いか。じゃあどこの子なん?」と聞いてきた。

「前田のゆう坊だよ」
どうせ知らないだろうと思ったけど、そう言った。
彼女は、ぼくが自分のことをゆう坊≠ニ言ったのがオカシイらしくて、隣でクスクス笑っている。

「前田、まえだ・・・。あっ!思い出した。10年ほど前に死んだ春義さん方の孫か?」
なんと!この老婆はジイちゃんの名前や死んだ時期を言い当てた。
「うん。そうだよ。バアちゃん、ぼくのこと知ってるの?」
「知っとるも何も。この部落で漁師をやってた頃、春さん方の近所に住んどったんよ。春さんはねえ、あんたをいっつも着物の懐に入れて、そりゃあ可愛がっとったねえ。それにしても、まあまあ、こんな大きなって・・・」
老婆は目を細め、ぼくの顔を穴が開くほど見つめた。

「バアちゃんのこと、ぼくは覚えてないよ」
「うんうん。まだ赤ちゃんやったけんね。ほやけど、春さんの葬式にはウチも行ったんよ」
「ジイちゃんと親戚?」
「説明でけんぐらい遠いけどねえ」
「すげえ!バアちゃん、名前はなんてゆうの?覚えとくから教えてよ」

老婆は照子と名乗った。
ジイちゃんとぼくの共通の知り合い≠ニ会えて、少しだけトクした気分になった。

 ◇ ◇ ◇ ◇

ぼくらは老婆に見送られながら、急な坂道をのぼった。

いよいよ天国にいるジイちゃんと2年ぶりの再会。
故郷を一時離れていたぼくが再び四国に帰ってきた、あの2年前の春以来のことだ。

ぼくは墓地の入口にある手洗い場で、でっかいヤカンに水を入れた。
そして、それを左手に提げ、彼女はしきびと線香を両手に持ち、それぞれがジイちゃんに思いを馳せながら、長い坂道をのぼった。

≪続く≫

 ◇ ◇ ◇ ◇

【関連記事】

◆遥かなるジイちゃん☆墓参り編―第1話―
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=3&D=21

◆遥かなるジイちゃん☆墓参り編―第2話―
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=3&D=23

◆遥かなるジイちゃん☆墓参り編―第3話―
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=22

◆遥かなるジイちゃん≪後編≫
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=1&D=16

[イメージ]画像
ジイちゃんのお墓がある小さな山の頂から見える景色です!
3隻揃って撮影できるとは、普段からの行ないがよほどイイのでしょうか。
まさにグッド☆タイミングでしたっ♪
画面を横にしてから見てね!
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2005/04/22(金) 遥かなるジイちゃん☆墓参り編 第3話
 
彼女の父ちゃんの墓前に結婚の報告をしたあと、ぼくらは県道19号線を海沿いに北へ走り、ぼくのジイちゃんが眠る墓地に向かった。

クルマの窓を少しだけ開けると、潮の香りを乗せて春の風が吹き込んでくる。
ふと左を見ると、彼女がぼくの横顔をジッと見つめていて、目が合うと眩しいくらい優しく微笑んでくれる。

「おまえねえ、そんなジロジロ見んなよ!」
そう言って照れながらも、こうゆうときにこそ、ぼくは確かに愛されているとゆうしあわせ≠感じる。

 ◇ ◇ ◇ ◇

ぼくは墓地まであと僅かのところにある、小さな漁港でクルマを停めた。

「俺が3歳ぐらいのとき、海で溺れていたところをジイちゃんに助けてもらったって話、前にしたことがあったでしょ?」
「うん」
ぼくらはクルマから降りて、寄り道をすることにした。

「あれってココなんだよ」
「へぇ〜、ココがそうなの?」
彼女が目を輝かせている。
「うん。岸壁の端っこのほら、あそこらへんだよ」
ぼくは子どもの頃、ジイちゃんから教えてもらった辺りを指さし、彼女に教える。

「ちょっと行ってみっか?」
「うんっ!」
彼女は嬉しそうにうなずく。

ぼくは彼女の手を引き、岸壁の端へと歩いていった。

「たぶん、この真下あたりかなあ」
「ゆうやくん、もしかしたらココで溺れて、死んじゃってたかも知れないんだね」
キレイに澄みきった海を見つめ、彼女がそう言った。
「ジイちゃんが飛び込むのがもう少し遅かったら、俺はたった3才で死んでた」

ぼくにはそのときの記憶などない。
全てジイちゃんが聞かせてくれた話だ。
海に落ちる前に岸壁で頭を打ち、気を失ったことで、飲んだ海水の量が少なかったことも幸いしたらしい。
それにしても、あと1分、あと10秒、ジイちゃんのダイブが遅かったら・・・。

「おジイさんがいなかったら、どうしよう?ゆうやくんと出会えない人生なんて、さやかには考えられない」
彼女は岸壁にしゃがみこみ、両手を組んで唇に当てるような仕草で、ジッと水面を見ている。
「他の男と結婚するんじゃねーの?」
ぼくが意地悪なことをゆうと、彼女は「バカッ!」と言いながら、思いっきりぼくの肩のあたりを叩いてきた。

「いてえ!」
左肩を押さえ、彼女に反省を促すために顔をしかめたけど、当の本人は背中を見せて岸壁の上を引き返している。
「ゴメン、ゴメン。冗談だよ。ちょっと待てよ!」
彼女の腕をつかもうとすると、あっさり振りほどかれた。
「さわらないで!ゼッタイに許してあげないからね」
純粋な女の子には、たとえ冗談であっても「他の男と・・・」などと言ってはイケないのだ。

ぼくは彼女のご機嫌をとるために、ただ「ゴメンなさい」と「こんなに好きだから許して」を繰り返すばかり。

 ◇ ◇ ◇ ◇

しかし、クルマに乗りこんだ彼女は、「さあ、次はおジイさんのお墓参りだ」と、なぜか張り切っている。

「さやかちゃん、機嫌なおしてくれたのか?」
「全然なおってない。おジイさんにこの憎たらしい孫を怒ってやってください≠チてお願いしてやるっ!」
「はぁ〜っ。そうゆうことでしたか」

ぼくは大きくため息をつき、少しだけ途方に暮れる。
けど、「さやかのこうゆうとこも大好きだなあ」と、いつものように納得するのだ。

≪続く≫

 ◇ ◇ ◇ ◇

【関連記事】

◆遥かなるジイちゃん☆墓参り編―第1話―
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=3&D=21

◆遥かなるジイちゃん☆墓参り編―第2話―
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=3&D=23

◆遥かなるジイちゃん≪後編≫
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=1&D=16

[イメージ]画像
ゆう坊が溺れかけた漁港
画面を横にして見てね♪
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2005/04/21(木) 愛と正義の学ラン☆美少年戦士
 
彼女と一緒にレンタルビデオ店をうろついていたら、アニメコーナーで『美少女戦士セーラームーン』のDVDを発見!

第1巻を手に取り、懐かしそうにパッケージの絵をジッと見つめていたら、
「ゆうやくん、セーラームーンなんか見てたの?」
と、彼女に聞かれた。

「えっ?俺が?こんなモン見るワケねーだろ!始まった頃はもう中坊だったし、カンペキ女の子向けじゃん・・・」
あわてて否定したけど、1992年春の放送開始時期までしっかり覚えていた。
で、バレちまった(…ひと言多かったかも?)

「うれし〜!やっぱり見てたんだあ♪ねえねえ、コレ借りてみようよ」
ってことになり、彼女と一緒にDVD鑑賞をするとゆう嬉し恥ずかしい事態にまで発展した。

なんせ衣装(?)がチョー★ミニスカだから、ときどき目のやり場に困るけど、やっぱ初期のセーラームーンはバカっぽくも初々しくてイイカンジ♪
月野うさぎちゃん、ドジでかわいい!

何を隠す必要もないけど、セーラームーン「R」から「S」までは毎週欠かさず見ていた。
さすがに「スーパーズ」「セーラースターズ」と進むにつれて、精神的に一定の距離を置くようになり、テレビ鑑賞の頻度は下がったけど・・・。
それはスケールが大きくなりすぎて敬遠気味になっただけのことで、キライになったワケじゃない!
まあ、高1から高2の思春期まっ最中になった時期でもあったし・・・(関係ねーか?)
そうだ!バイトが忙しくて最後のほうは観られなくなったんだ(…ううっ、突如として悲しい思い出が甦る!)


 ◇ ◇ ◇ ◇


では、ここらで懐かしい名台詞の数々をどうぞ。

愛と正義のセーラー服☆美少女戦士!

月に代わってお仕置きよ♪

月の光は愛のメッセージ!

ムーンゴージャス☆メディテイション♪

水でもかぶって反省しなさい!

言語道断☆横断歩道よ???

こうなったら徹底的にお仕置きしてあげるわ♪


 ◇ ◇ ◇ ◇


書こうか書くまいか迷ったけど・・・
徹底的にお仕置きされてえ〜!!!
俺ってMかよ?(…すいません)

彼女とふたりで、またセーラームーンを観ようと思ってます。
こうなったら(…って、どうなったら?)愛と正義の学ラン☆美少年戦士になって、世の中の悪霊を退治したいです!

あ〜あ、バカっぽいことを書いちまった。


 ◇ ◇ ◇ ◇


[イメージ]画像は
沖縄の巨大水族館!
美少女ダイバー【みなねーちゃん】から送ってもらった写真です。
↓クリック♪↓

2005/04/20(水) 検索エンジン『キーワード』Part3
 
よほど物好きな人以外は期待しちゃいないだろうけど、ぼくはけっこうハマっている検索エンジン『キーワード』シリーズなのだ。
毎日、見知らぬ誰かが何か≠期待して、ぼくの日記へアクセスしてくれている。
高尚なキーワードの数々を見るにつけ、ありがたくも身が引き締まる思いです(…笑。


〓社会☆スポーツ〓

北朝鮮/対話と圧力/なに
対話/小泉
メール便/不祥事
済美ナイン
電通/ライオン/セクハラ
ニュース

う〜ん、最近の中国の反日暴動について書いておけば、相当ヒットしただろうなあ(…残念っ!)
済美ナイン・・・なつかしい!!
今年のセンバツ高校野球は、愛媛県勢さっぱりだったなあ。


〓仕事派〓

ルート配送/志望動機
GS/窓拭き
松下/子会社/志望動機
志望動機/キャノン

ルート配送の仕事の志望動機はね〜、「気楽だから!」に決まってんじゃん。
松下、キャノン、就活生に人気だなあ・・・。
GS/窓拭き・・・で検索したのは、やっぱGSにお勤めの方?


〓人生☆恋愛☆結婚〓

結婚式
披露宴
披露宴で流す曲
席順
義理チョコ/義理と人情
恋愛/ゆうや
アンケート/つらい経験/幸せ
彼女以外の
彼女にプレゼント/アンケート/予算
写真カッパ

そう言えば、披露宴で流す曲、早く決定しなきゃ・・・。
写真カッパ・・・ぼくの髪型のこと?失礼じゃないっすか!まあ当たってるけど。
恋愛/ゆうや・・・来月の下旬からは「新婚/ゆうや」で検索してねっ♪


〓地名☆人名☆校名〓

ゆうやくん
浦越
遥か/ゆうや
織田
織田裕二/結婚/予想
ゆうか/プロフ
新宿
なら/ゆうや
四十島
愛媛県立松山東高等学校
映画 ボート 松山東 2005

もうそろそろ松山東高から感謝状が届くかも(…どうしましょ?)
「ゆうやくん」で探し当てた人に「ぼくでよかったでしょうか?」って聞きたい。
四十島・・・チョー☆マニアックな方!


〓楽曲☆歌詞☆映画タイトル〓

金色のライオン
荒野を駆け抜ける
花見/歌う/森山直太朗/さくら
恋のうたの歌詞
いま惜別
長渕剛/桜島/CD
刺激がほしけりゃ
サクラ
映画/ボート/松山東/2005
波の数だけ抱きしめて

一番多いのは相変わらずダントツで「以心伝心/歌詞」なのだ。
何度でも書くけど、レンジの曲なら「以心電信」だってば!
刺激がほしけりゃ・・・バカニナレ♪おおおっ♪


〓商品名☆店名〓

清まる
日本一/ケーキ
ケータイ電話

愛は勝つ「とんかつケーキ」もヨロシク!


〓動機が不純派〓

エッチな美女
教え子のパンツ
性欲/処理法

教え子のパンツ・・・あなたは学校の先生ですか?
いちおう清純派路線なので、これ以上は書かない(…逃げの一手!)


 ◇ ◇ ◇ ◇


◆関連記事◆

検索エンジン『キーワード』
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=3&D=3

検索エンジン『キーワード』Part2
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=3&D=30
 

2005/04/19(火) ショコラくん・・・永遠に
 
naotoくんのペット、ハムスターのショコラくんが今夜天国へと旅立ってゆきました。

いまぼくは、パソコンに保存してあるショコラくんのかわいい姿を見ています。
体がだんだん小さくなり、動きも鈍くなってきているので、もう長くはないかも知れない・・・。
naotoくんからそんな話を聞いてはいましたが、それでも残念でなりません。
去年の7月、ぼくが飼っていたハムスターのレオを失ったときの記憶が甦ってきます。

naotoくん!
今夜はショコラくんとの楽しかった思い出に浸りながら、どうか気が済むまで悲しんでやってください。
淋しくてつらくてやり切れないと言いながら、思いっきり泣いてやってください。
キミの愛情の深さを知ったショコラくんは、きっと喜んで旅立てることでしょう。

 ◇ ◇ ◇ ◇

大したことはできませんが、ぼくも涙の言葉でショコラくんを送りだしてやろうと思います。

ショコラくん!
キミのことを知った当時、不安定だったぼくの気持ちを和ませてくれてありがとう。
日記に登場した3枚の写真で、キミはいつまでもぼくの心に残るんだ。
優しい気持ち、かわいい思いを湧き出させてくれてありがとう。

キミはnaotoくんのような心優しい飼い主に可愛がってもらって、ホントにしあわせ者だったね。
天国に着いたら、すぐにレオがキミを迎えにゆくから心配はいらない。
ふたりで仲良く遊ぶんだよ。

 ◇ ◇ ◇ ◇

naotoくん!
大丈夫ですよ。
naotoくんとぼくが広いネット上で奇跡的に知り合えたように、レオとショコラくんもきっと仲良しになれます!
ショコラくんが独りぼっちで淋しい思いをすることはありません。

だから、キミは涙でつづった感謝の言葉で、愛するショコラくんを送り出してやってくださいね。

ショコラくんよ・・・naotoくんの心の中で永遠なれ!!


[イメージ]画像は
去年10月頃のショコラくんです。
どうぞみんなで見てやってください・・・お願いします!
↓クリック↓

2005/04/18(月) 愛情のしるし☆後編
 
皆さん、こんばんは。
とりあえず前編から先に読んでくださいねっ!
なんのため?念のため(*^-^)エヘヘ♪

◆愛情のしるし☆前編
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=17


 ◇ ◇ ◇ ◇


部屋に戻ったぼくは、胸ポケットにしまってあった通帳を取り出した。
長い歳月のあいだ母ちゃんの手垢にまみれた通帳を開くと、ちゃんとぼくの名義になっている。
最初の預け入れは1995年12月25日。
この日に3千円のお金が記されている。
ぼくと母ちゃんが別れたのが11月14日だから、新しい仕事が見つかり、そこでもらった最初の給料で口座を開設してくれたのだろう。

そのときから今年3月まで、一度も途切れることなく111回!
毎月月末近くに3千円か稀に5千円、あるときには4千円のお金が通帳に刻み込まれている。
最後の112回目の入金は、先日母ちゃんと電話で話をした翌日。
この日、母ちゃんは通帳の残高がちょうど40万円になるように、1円代まで端数が付いた数万円のお金を預けてくれている。

白い封筒の中には、母ちゃんの手紙が同封されていた。
地味な便箋にシャープペンシルで書かれていて、消しゴムで消した跡が何箇所も残っている手紙が入っていた。
驚いたことに、難しい漢字を知らなかったはずの母ちゃんが、それなりに漢字を使っている。
母ちゃん、漢字どこで覚えたんだよ。
一生懸命になって習ったのか?

 ◇ ◇ ◇ ◇

ゆうくんへ

ゆうくんには苦労をさせてしまいました。
どんなにあやまっても許してはもらえないでしょうが、本当に御免なさい。
でも、一つだけわかって欲しい事があります。
ゆうくんの事を思わなかった日が一日もない事です。
この貯金通帳が、かあちゃんの愛情のしるしです。
少ないけど結婚する時の足しにして下さい。
本当に少ないお金ですが、ゆうくんへの精一杯の気持ちです。
ゆうくんは体があまり丈夫ではないから、どうか体だけは大切にしなさいね。
さやかちゃんと仲良くして、明るい家庭を作って下さい。

ゆかこ

 ◇ ◇ ◇ ◇


見上げれば満天に輝く星空の下。
ぼくはマンションの屋上に立ち、母ちゃんの愛情が痛いほどに刻まれている通帳を胸に抱いた。
そして、母ちゃんが住んでいる西の方角を向き、深々と礼をした。


母ちゃん!
さっき通帳受け取ったよ。
いまここから九州の空まで飛んでゆけそうなくらい・・・すっげえ最高の気分だ。
ホントにありがとう!

でも、ぼくはまた母ちゃんに謝らなきゃいけない。
あのとき、母ちゃんが毎月3千円か5千円なら仕送りできると言ってくれたのに、ぼくは・・・。
そんなハシタ金・・・と鼻で笑ったんだ。
バカなことを言ってしまった自分が、思いっきり恥ずかしい。
ゴメンなさい。
ぼくのほうこそ、許してください。

それと、母ちゃん!
もう自分のこと、そんな責めなくてもいいんだよ。
許すとか、許さないとか、ぼくの気持ちはそうゆうことじゃないんだ。
母ちゃんがぼくのことを一日も忘れずにいてくれた・・・それだけで十分なんだ。

ぼくはもうひとりじゃない。
さやかとふたり仲良く歩いてゆけるから、いままでのような心配はいらない。
だから、母ちゃんはこれから、自分のしあわせを考えて生きてゆくんだよ。
母ちゃんのしあわせがぼくのしあわせなんだから・・・ねっ。

母ちゃん!
せっかくもらったお金だけど、これに手を着けることなんて、ぼくにはできそうにないよ。
一生大事にして、いつかぼくの子どもが結婚するときに持たせてやろうと思う。
それでいいでしょ?
このお金はぼくとさやかの御守り。
母ちゃんからもらった大切な大切な御守り。

母ちゃん!
何回お礼を言っても、言い足りないような気がする。
ホントにホントにありがとう!
ぼくは母ちゃんの子どもに生まれてきたから、いまこんなにしあわせなんだよ。

母ちゃん!
いつか会いに行きます。
キリンになって待ってて下さい。
さやかと一緒に必ず会いに行きます。


≪完≫
 

2005/04/17(日) 愛情のしるし☆前編
 
先週のある日のこと。

その日、ぼくは仕事帰りに彼女の家に寄り道をせず、まっすぐ自分の部屋に向かった。
最上階付近で止まっていたエレベーターが降りてくるのを待つ間、ぼくはマンション1階にある郵便受けが気になった。

数日前、母ちゃんが電話で話していた言葉が、頭から離れないからだ。
「ゆうくんのためにずっと続けてきたことがあるんだよ。いつかゆうくんが結婚するときにプレゼントしようと思ってね」
そして、ぼくが「なになに?教えて〜!」と聞いたけど、
「いまは教えない。明日送ってあげるから、着いたときのお楽しみ・・・」
と言って、母ちゃんはプレゼントが何なのか、教えてはくれなかった。

郵便受けに付けている小さなシリンダー鍵を外すと、宅配ピザとかのチラシと一緒に「郵便物お預かりのお知らせ」の紙が入っていた。
差出人のところに母ちゃんの名前!
ゆうパックの荷物の不在連絡じゃないから、品物じゃない。
配達記録郵便で送ってくるぐらいだから、たぶん書類のはず。
しかも貴重品。
一体なんだろう?


今日は昼も夜も仕事が忙しくて、ぼくは疲れ果てていた。
腕時計を見ると、時刻は23時を数分回っている。

この時計は、ジイちゃんが高校進学のお祝いに買ってくれた宝物だ。
ぼくらの世代はケータイがあるから腕時計をしなくなったけど、ぼくはいまも左腕にちゃんとしている。
ジイちゃんは、この時計を買ってくれた半年後に死んだ。
ジイちゃんの形見のような気がするから、ぼくはいつも身に着けている。

大汗をかいたから早くシャワーを浴びてひと息つきたいところだけど、母ちゃんからのプレゼントが気になる。
「たしか、この郵便局なら24時間受け取りができるはず。まあ行ってみてダメと言われてもいいや」

ぼくはエレベーターに乗り、いったん部屋に入った。
郵便物の受け取りに実印(実際には印鑑なら何でも良い)が必要だと思ったからだ。
ぼくは大急ぎでテーブルの上にコンビニ弁当を置き、押入れの中の箱から印鑑を取り出した。
そして1階に戻ると、駐車場に停めてあった軽トラに乗り込み、郵便局へと向かった。


 ◇ ◇ ◇ ◇


郵便局の夜間受付用の小窓をノックすると、当直の職員が出てきた。
この職員がドランクドラゴンの塚地にそっくりで、
「わっ、この人たぶん真里ちゃん(さやかの親友)の兄貴かも知れないなあ」
などと勝手な想像をしたけど、名札を見た限りでは他人のようだ。
その塚地さんにお知らせの紙と免許証を見せ、受領印欄に印鑑を押すと、母ちゃんから届いた郵便を渡してくれた。

ドキドキしながら白い封筒を持ったとき、手に伝わる感触で母ちゃんがぼくにくれたもの≠フ正体がわかった。
制服姿が良く似合っている塚地さんにハサミを借りて、封筒の縁を丁寧に切り取った。

やっぱり!!!

封筒の中から出てきたのは、郵便貯金総合通帳とキャッシュカード、それに三文判だった。
一瞬にして涙が溢れ、瞳からこぼれ落ちそうになったぼくは、急ぎ手の甲で涙を拭った。
ハサミを返そうと塚地さんを見ると、彼はぼくのほうをずっと見ていたようだ。
「よかったですね」
と、微笑みながら小さく声を掛けてくれた。

その笑顔があまりにも優しくて、
「はい。10年近くも離ればなれになっている母ちゃんから・・・」
そう答えると、辛うじてせき止めていた涙が溢れ出してきた。
「ゴメンなさい・・・」
塚地さんは目の前で泣いているぼくに、
「しあわせな贈り物をお渡しできて、私もうれしいです」
と、さらにうれしいことを言ってくれた。

もし昼間受け取りに来ていたら、こうゆう感動はなかったかも知れない。
今夜すぐ取りに来てよかった。
お名前を覚えてなくて申し訳ないけど、塚地のソックリさん・・・ありがとうございます!


≪続く≫
 

2005/04/16(土) 人生経験値
 
FC2Nの仲間で流行っているからやってみた。

○・・・経験済み。
×・・・未経験。
◎・・・特筆すべきほどに経験済みな項目かな(…笑)

 ◇ ◇ ◇ ◇

入院 ○ 何回も!
骨折 ×
献血 △ 行ったけど、喘息持ちだから断わられた
失神 ○ タイヤの角で頭を打って・・・
結婚 ◎ ただいま婚約ちゅうなの!
離婚 × あるわけねーだろ!
フーゾク × とんでもない!
しゃぶしゃぶ ○ リーマンの頃に
エスカルゴ ×
万引き × ゆう坊はマジメが取り柄なのです

補導 × マジメ大好き!
女を殴る × 想像もつかない
男を殴る ○ リンチされた仕返しで一回だけ・・・
就職 ○ 何回でも!
退職 ○ 同上
転職 ○ 同上!しつこいぞ!
アルバイト ○ CDショップ、新聞配達、フェリー乗り場で切符取り&切符売りの少年、配達など
海外旅行 ○ アメリカ、ベトナム
ギター × ヴォーカリストです!
ピアノ ×

バイオリン ×
メガネ ○ 乱視用をたま〜にする
コンタクト ×
オペラ観賞 ×
テレビ出演 ○ 高校の合格発表のとき偶然に
パチンコ  × しない!
競 馬 × 興味なし
空手 ×
中国拳法 ×
古流武術 ×
ライヴ出演 × 長渕剛、氷川きよし、堂本剛と一緒に歌いた〜い

ライバル出現 ○ 意味わからんけど?
合コン ○ 会社同士で一回だけ
北海道 ○ 18歳のときに行った
沖縄 ×
四国 ◎ いま住んでます!
大阪 ○ 岸和田のだんじり祭・・・サイコーっす
名古屋 ○ 出張で一回だけ
仙台 ○ 出張で何度か
漫画喫茶 × キライ
ネットカフェ ×

コスプレ喫茶 ×
コスプレカラオケ ×
油絵 × 絵心がない
エスカレーターを逆走 ○ ガキの頃に
フルマラソン × 短距離走者のぼくには無理!
自動車の運転 ◎ プロですから
バイクの運転 ○ 原チャのみ
スキー ○ 当分行ってない
スノボ ○ こっちのが得意
サーフィン × サーファーカットは似合うけど

フジロック ×
10s以上減量 × する必要がない
エステ × 上に同じ!
交通事故 ○ 高2のとき自転車に乗っていて、ダンプにハンドルを引っかけられた
電車とホームの隙間に落ちる ×
お年玉をあげる ×
ドストエフスキー ×
大江健三郎 ○ ムズい!
ゲーテ ×
一万円以上拾う ×

一万円以上落とす ○ サイフ、免許証、保険証、通帳、印鑑のフルセット入ったバッグごと・・・
徹夜で並ぶ ×
徹夜で飲む ○ いまはやらない
金髪 × 日本男児は黒髪じゃなきゃね
ピアス ×
50万円以上の買い物 ×
ローン(消費者金融ともゆう) × 借金はしない!
両国国技館 ×
日本武道館 ×
横浜アリーナ ×

ラブレターを貰う ○ 中学☆高校の頃はなかなかのアイドル?
手術 ×
選挙の投票 ○
犬・猫を飼う × ハムスターのみ
ひとめ惚れ ◎ さやかちゃんに♪
幽体離脱 ×
前世の記憶 ×
ヨガ ×
伊賀 ×
気功 ×

OS再インストール ×
ヴォイスチャット ×
先生に殴られる × 優等生だったからなあ
廊下に立たされる ○ 図書館で本を読んでいてホームルームの時間に遅刻して・・・
徒競走で一位 ◎ 出場したかけっこは全て一等賞!
リレーの選手 ◎ 学年一の俊足だったから常連!リレー大好き!
メルヴィル ×
妊婦に席を譲る × そうゆう機会がない
他人の子供を叱る ×
20歳過ぎてシラフで転ぶ ○ しょっちゅうお見舞い申し上げます♪

コスプレ ○ 中学の文化祭で女装した
ジャケ買い ×
同棲 ○ 今年1月まで同棲してた
ストリート誌に載る ×
武術雑誌に載る ×
2m以上の高さから落ちる ○
ものもらい ○
ひとさらい ×
さらあらい ×
学級委員長 ◎ 常任理事国でした☆中1の2学期から8学期連続!

生徒会長 ○ 中2後期、中3前期の2回!
ちばてつや ×
岡崎京子 ×
南Q太 ×
恋人が外国人 × ありえねー!
恋人が変人 × 意味分からん
恋人が超人 × はあ?
治験 × 虚弱児には無理
ナンパ ○
逆ナンパ ○ 女子高生から何回か・・・

蒙古斑 × いまは消えた
出産 × そのうちにさせたい!
コミケ ×
飛行機 ○
ディズニーランド ×
一人暮らし ◎ ずっとです
異性に告白 ○ コクられた回数のほうがはるかに多い
同性から告白される ○ ショタコンのアイドルなのだ?
中退 × 危なかったけど恩師のおかげでセーフ
留年 ×

浪人 ×
喫煙 ×
禁煙 ×
酔って記憶をなくす × 普段は飲みませんが、飲むとそーとー強いです
出待ち ×
飲酒運転 ×
下着泥棒 × 被害なら何度もあってるぞ!
追っかけ ×
メル友 ○ 大勢いますっ!
親友 ○ 2人だけですが・・・いつまでも大切にしたいです

 ◇ ◇ ◇ ◇

とゆう結果でした。
130項目中経験済みなのが48項目!
まだまだガキ帝国ですねえ(…笑)

さーさー、キミもトライしてみようよ♪
ヒマつぶしに最適だよ。
 

2005/04/15(金) 「モーツァルト」タイプのワルオくん
 
『時間旅行』に『遥かなるジイちゃん―墓参り編―』、それに最近買って読んだ本の『書評』とか・・・。
日記に書きたいことは山ほどあるけど、思うようにはかどらぬ今日このごろ。
『ゆうやの日記』が実際の日付に追い着けるかどうか、大ピンチ!

そこで、困ったときには『占い』に走るのです(…笑)

とゆうか、今回もなかなか当たっている部分が多い!
誕生日を入力するだけの簡単な占いなのに、どうしてこうも当たるのか?

答えは単なる偶然≠ネのでしょう。
だって、ぼくと同じ誕生年月日の人なんて何千人もいるでしょ?
その全員が「モーツァルト」タイプのワルオくんだったら、世の中がうまく成り立ってゆきません。

ではでは、どーぞ!
オヒマな人は読んでやっておくんなせー♪


 ◇ ◇ ◇ ◇


〓ネタ元〓
ウラウラナイ『メンズ悪女占い』
http://www.urajoho.com/html/horoscope/main.html


■占い結果
「モーツァルト」タイプの悪男(ワルオ)くん

性格・・・おどけて見せるトラウマ男。

長所・・・卓越した才能と理想を追い求める強い意思。

短所・・・悩みを1人で抱え込んでしまう。神経過敏でヒステリーを起こしたりする。


【診断結果】

このタイプのオトコって、自分の感性、インスピレーションだけしか信用できないから、団体行動なんて絶対できないよね。

昔、集団下校のとき、隅っこで寂しそうに「アニメソング」とかをリコーダーで吹いてた子っていたでしょ?

そんな感じで自分の世界をほとんど崩さず、「人生常にマイペース」を押し通 して生きてきた姿って、まさに「モーツアルトタイプの悪男」って感じね。

彼って社会の一般常識には全くとらわれないし、実際、順応できないから、いわゆるサラリーマン的人間とはかけ離れてるって感じね。

その卓越した才能が開花したときは、「超能力者じゃないかっ?」って思えるほど、なんでもうまくこなしちゃうから、周りの人間も一歩引いて接してるみたいよ。

真剣に付き合いたいなんて思って、彼のテリトリーにズンズン入り込もうなんて思ったら、バチが当るからチョット気を付けたほうが良さそうね。

うまく付き合えたとしても、究極の理想主義人間だから、あなたのビジュアル、性格、環境¢Sてのコトに対して口出ししてくるし、少しでも彼の基準に達してないって思ったらソッコー切られちゃうから、ホントむかつきそうね。

しかも自分の夢に対するこだわりもかな〜り強いから、これまたソッコーで捨てられるって感じね。

ある意味、彼の夢が結婚だったりしたら、「えっ、この若さでっ!?」って感じで超スピード婚なんてことにもなりかねないから、逆に身構えておかないとね。


 ◇ ◇ ◇ ◇


天才のぼくのテリトリーにズンズン★ズンドコ入り込んできたさやかちゃん≠チて、けっこう勇敢だったんだなあ(…笑)
まだ21歳なのに、究極の理想主義人間さまとの結婚も身構えていたんだから・・・。

くだらないことを書いちまうけど・・・
いま占い結果を見て、改めてすっげえ感謝してます!
 

2005/04/14(木) 純白の天使はつらいよ!
 
平穏無事な日々が続いている今日このごろ・・・。
皆さん、いかがお過ごしでしょーか?

結婚を控えているぼくとしては、当然のごとく平穏無事でなければ困るので、いまのこのミラクル☆ピースを大いに楽しんでます。

が!
たったひとつ・・・でも大きな不満があります。
それは、このところ彼女とほとんどデートができないことです。

「結婚する前に親孝行しろよ」
とゆうぼくの言葉を大真面目三太夫≠ネ彼女がマジに実行していて、ぼくにはあまりかまってくれません(…泣)

式の打ち合わせとか、新居の家具やカーテン、歯ブラシの色をどうするかとか・・・そうゆうことはふたりの共同作業で進めています。
仕事帰りには、毎日のように彼女の家にオジャマしています。
晩ご飯を食べさせてもらったり、お風呂に入らせてもらったり・・・そうゆう状態も従来どおりなカンジ♪
でも、なにかが足りないのです。

さて、それを清純派としてはなんと書くべきなのか・・・。
要するに、イチャイチャできなくて淋しいだけのことなのかも知れません(…笑)
いつも抱きしめていてあげたいのに(…なんちって!)

結婚する日まで、あと38日!
短いようだけど、ぼくとしては十分に長すぎる道のりなのです。


 ◇ ◇ ◇ ◇


とゆうことで、いまの話に何の関連性もないようで、あるような(?)占いをやってみました。

〓ネタ元〓
GoisuNet
http://www.goisu.net/cgi-bin/psychology/psychology.cgi?menu=c045

この中の・・・
【あなたの腹黒度チェック】
・・・にチャレンジ♪


◆結果
あなたの【腹黒度】がどれくらいかを診断してみました。
あなたの【腹黒さ】はこんなカンジ♪

あなたの腹黒度はゼロパーセント。
つまり腹黒とは真っ向から対立する【純白の天使】です。

――――――――

あなたの心にはケガレなど一点も存在しない、生まれついての天使気質。
誰に教えを乞わなくても、常に正義と潔癖さがついてまわり、素直に良い行いだけを繰り返す毎日なのでしょう。
当然、腹黒さなどというものにはまったく無縁のようです。
あなた自身が性善説を具現している存在なのでしょう。

しかし、世間にはあなたのような人を快く思わない人が存在することも事実。
曇りなき純白に黒い染みを落としたいとゆうのは、自然の欲求です。
そういう輩に狙われて、あなたの清純が失われないことを切にお祈り申し上げます。

――――――――

魂の黒さ:33%
心の黒さ:16%
ルックスの黒さ:30%
輝く白さ:100%


 ◇ ◇ ◇ ◇


いまだかつて・・・ぼくのことをこれほど正確に言い当てた占いが存在したでしょーか?
絶対にありません!!
ああ満足(…高笑)

しかし、純白の天使にもつらいことがあるのですよ(…トホホ♪)
 

2005/04/13(水) 愛情物語7☆母親の証明
 
ぼくはもうひとつ、伝えておきたい言葉を口にした。

「高3のとき、ぼくが不幸になったのは全部母ちゃんのせいだって言ったことがあったでしょ?ひどいことを言ってゴメンなさい」
母ちゃんはどう思っているのか、どうしても知りたかった。
「ホントのことだから、聞いたときはつらかったよ。でも、一生懸命変わるまいとがんばっているゆうくんに、変わってしまったと言ったんだから、ウチのほうこそゴメンね。もしかして、ずっと気にしてたの?」
「うん」
「優しい子だねえ。先に謝ってあげれば良かった。気が利かなくてゴメンね・・・」
母ちゃんが目を真っ赤にしている顔が浮かぶ。

ずっと胸につかえていた言葉を吐き出すことができて、ぼくは晴れ晴れとした気持ちになった。

「ねえねえ、ぼくのお嫁さんがどんな子か、聞きたい?」
ずいぶん湿っぽくなってしまった雰囲気を変えてみることにした。
「二人の馴れ初めから教えてほしいな」
「えーっとねえ、出会ったのは去年の9月。ひどい発作が起きて入院して、目覚めたときにその子がいたんだ・・・」

そこから延々と続く惚気話を、母ちゃんは飽きもせず、時に驚き、時に感心しながら聞いてくれた。


そういえば、母ちゃんには家で帰りを待ってくれている人がいる。
なごり惜しいけど、いつまでも電話で話しているワケにはいかない。
「今日はこれぐらいで勘弁してあげるよ」
「そうだね。続きはまた今度。ゆうくんが選んだ子だからゼッタイ大丈夫。甘えん坊さんを安心して任せられるね」
彼女を見たこともないくせに、ぼくの話を聞いただけですっかり安心している母ちゃんがおかしかった。
「エヘヘヘ・・・それほどでも〜」
ここは照れ笑いで逃げておくに限る。


電話の最後で、母ちゃんはこう言った。
「ゆうくんのためにずっと続けてきたことがあるんだよ。いつかゆうくんが結婚するときにプレゼントしようと思ってね」
そう言われると気になるものだ。
「なになに?教えて〜!」
「いまは教えない。明日送ってあげるから、着いたときのお楽しみ・・・」

「えーっ!ズルいぞ。いま教えてよ!」
「ゼッタイ教えない。じゃあね」
母ちゃんの決意が固そうだったので、ぼくはあっさり後日の楽しみにとっておくことにした。
「チョー気になるけど・・・まいっか。じゃあ、おやすみ」
「おやすみ。またね」
「うん。バイバ〜イ」


その晩、ぼくは布団に入ってから、もう一度つぶやいた。

「母ちゃん、ぼくを生んでくれてありがとう!」
「母ちゃんがぼくを生んでくれたからこそ、さやかと出会うことができたんだ・・・」


≪とりあえず・・・完≫


 ◇ ◇ ◇ ◇


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第6話◆融けた氷の壁
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2005/04/12(火) 愛情物語6☆融けた氷の壁
 
さあ、そろそろ切り出そう。

「母ちゃん。ぼく、来月の22日に結婚するんだ。今日はそのことを知らせたかったんだよ」
「ホントに〜?!おめでとう!よかった。ホントよかったね〜。ゆうくん、おめでとう!知らせてくれてうれしい・・・」
母ちゃんの声があっとゆう間に涙声に変わった。
「泣くなよ、母ちゃん。泣くな・・・うれしい知らせなのに」
そう言いながら、ぼくもやっぱり涙ぐんでいた。
「くだらない母ちゃんの子どもに生まれたばっかりに、ゆうくんには苦労をかけて・・・。ホントにゴメンね。でも、よかった。強い子に育ってくれて、しあわせになってくれて・・・ゆうくんには・・・何にもゆうことない・・・」
母ちゃんは声をあげて泣きじゃくった。


ぼくは母ちゃんとの別れの場面を思い出していた。

「ゆうくんを必ず迎えに来てあげる」
母ちゃんが言ったその言葉がウソだったことは、いまもやっぱり許せない。
けれども、ぼくには自分が犠牲になっても守らなければならない女の子がいる。
その子と結婚することが決まったいま、ほんのちょっとだけ母ちゃんの苦しさがわかるような気がする。

結婚したあとで父ちゃんが飲んだくれのDV男に豹変して、その後十数年もぼくのため≠ノ耐え続けたこと。
父ちゃんの頭が上がらなかったのはジイちゃんで、そのジイちゃんが死んでからはもう父ちゃんのDVに歯止めが利かなくなり、かあちゃんの我慢が限界を越えていたこと。
ぼくは、あのとき母ちゃんを無理に引き止めなくて良かった。
いまならはっきりとそう思える。


泣き崩れている様子の母ちゃんに、何か声を掛けてあげなければ・・・。

「3日の日にね、あそこへ行ってみたんだ。10年前とちっとも変わってなかった。なぜか人が寄り付かないとこも一緒で」
「・・・・・・」
「ぼくの目には見えたんだ。母ちゃんもジイちゃんも、みんな昔のまんまの姿でそこにいたよ。変わったのはぼくだけで。まっすぐ生きようとがんばったけど無理みたいで・・・」
「・・・・・・」
母ちゃんは黙ってぼくの話を聞いていた。


ぼくは思いきって言ってみた。
「母ちゃん、なんてゆうか、しあわせをつかんだから言えるのかも知れないけど、ぼくを生んでくれてありがとう!」
何とか照れずにゆうことができた。
「ゆうくん・・・」
母ちゃんは何か話そうとするけど、言葉にならない。
ぼくは、かあちゃんの嗚咽が収まるまで待った。

「ゆうくん、ありがとう!無責任に聞こえるだろうけど、ゆうくんを生んでよかった。たったひとり生んだ子どもがゆうくんでホントにうれしい!」
「母ちゃん・・・」
10年近くの長い年月にわたり、ぼくと母ちゃんを隔てていた氷の壁が、音を立てて融け崩れるような気がした。
ぼくの瞳から歓喜の涙が止めどなく溢れ出した。

「ゆうくんのまっすぐな心はちっとも変わってないよ!人間の値打ちは学歴や仕事や生まれた家なんかじゃ決まらないんだ」
「うん」
「ゆうくんは間違ったことができない子だから、自分が思うように生きてゆけば、それでいいんだよ。人は人、ゆうくんはゆうくん!ほら、もっと自信を持って!」
「はいっ!!」
母ちゃんの言葉はとても優しくて、ぼくの良い面も悪い面も全て包み込んでくれるようだ。


≪続く≫


 ◇ ◇ ◇ ◇


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2005/04/11(月) 愛情物語5☆守ってあげたい
 
母ちゃんからの電話を待つこと30分。
母ちゃんからの着信専用の着メロ『守ってあげたい』のサビ部分が、いま初めて小さな部屋に鳴り響いた。

So, you don’t have to worry, worry,
守ってあげたい
ほかには何ひとつできなくてもいい
‘Cause I love you, ‘Cause I love you.

≪松任谷由美守ってあげたい≠謔閨

同時にケータイの液晶画面いっぱいに、母ちゃんの写真が表示された。

ぼくは、母ちゃんが若い頃の写真をたった1枚だけ大事に持っている。
母ちゃんの写真は、母ちゃんが家出してからしばらくして、父ちゃんが全部破り捨ててしまったから、この1枚だけしか残っていない。
ぼくはこの写真をケータイのカメラで撮り直し、画像データに保存している。
母ちゃんのケータイからの着信があったときには、少しボヤけたその写真が表示されるようにいちおう<Zットしていたのだ。


「もしもし・・・」
「もしもし、ゆうくんなの?」
母ちゃんは何十回、何百回かけてもつながらなかったぼくのケータイがつながったので、どうやら半信半疑の様子だ。
「うんっ!そうだよ」
「夢みたい。ちゃんとつながってる!良かった〜。思ったより早かったでしょ?」
母ちゃんはうれしくて仕方ないとゆう感じで、さっきよりいっそう声が弾んでいるのがわかる。

「うん。びっくりした!でも、母ちゃん、いまどこから?もしかして家から?」
ぼくはあの人≠フ存在がどうしても気になっていた。
「違うよ。ホテルの中庭。桜がライトアップされて、とってもキレイ」
とりあえず、ホッとした。


「外は寒くない?」
「今夜は寒くないから平気だよ」

「あっ、そういえば昼間は暑かったでしょ?」
「うん。驚いたんだけど、夏日だったらしいね。こうやって桜を見てると、ジイちゃんが生きてた頃、毎年夜桜見物に行ったことを思い出すよ」
この言葉で10年間の出来事が次々と思い浮かんできて、胸が詰まりそうになった。

「母ちゃん、秋山大将の銅像があるあの場所、覚えてる?」
「覚えてるよ。ジイちゃんのお気に入りの場所だったからね。懐かしいなあ。いまでも目に浮かぶよ」
母ちゃんの言葉の中にジイちゃんがたびたび出てくることが、すごくうれしかった。


≪続く≫


 ◇ ◇ ◇ ◇


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第4話◆優しい声
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=10
 

2005/04/10(日) 愛情物語4☆優しい声
 
突然、心地よい保留音が途切れ、ぼくの耳に優しく懐かしい声が響いてきた。

「もしもし・・・ホントにゆうくんなの?」
それは忘れもしない母ちゃんの声。
「うんっ!!ホンモノのゆうやだよ。母ちゃん、ゲンキだった?」
ぼくは目頭がキューンと熱くなるのを感じながら、そう言った。
「うん。ゲンキでいるよ。それより、ゆうくんはどう?喘息は大丈夫なの?」
親子だから当たり前のことかも知れないが、母ちゃんがぼくの持病のことを気にしてくれている。
それだけで、2年間の空白が満たされる気がした。

「大丈夫。特にいまはチョ〜☆ゲンキ!ゲンキ!なんだよ」
ぼくは悪い知らせじゃないことを早くわかってほしかった。
「うん、うん。ゆうくんの声を聞いたらわかるよ。よほどイイことがあったんだなあって」
それほど声が弾んでいるとゆうことだろう。
そういえば、母ちゃんと離ればなれになってからは、ずっと声が沈みっ放しだったかも知れない。

「母ちゃん、いまちょっと話できるのかなあ?」
ぼくはふと気になった。
「ゴメンね。あんまり長くは話できない。うれしいから、ホテルの電話だとゆうことを忘れてたよ」
母ちゃんは申し訳なさそうに言った。
「やっぱダメなのか・・・」
ぼくが残念そうにゆうと、
「もう少しで仕事終わるから、すぐに電話するよ。ケータイの番号を教えて」
母ちゃんがうれしいことを言ってくれた。

ぼくはこの2年の間にケータイの電話番号を変えていた。
だけど、母ちゃんには教えていなかった。

「えーっとね、080・・・。ちゃんとメモした?」
「うん。ゆうくん、ケータイ番号変えたでしょ?何回も電話してみたんだけど、全然つながらなかったワケだ」
そうか・・・母ちゃんはぼくに電話をかけようとしてくれたんだ。
「エヘヘヘ。母ちゃんに知らせてなかった。ゴメンなさい」

ぼくは努めて明るくゴマかそうとした。
実は、「もう知らせないほうがいいだろう」と考えて、ワザと知らせなかったのに・・・。
母ちゃんのしあわせをジャマしてはいけない、と考えていたから・・・。

「そんなこと、全然気にしなくていいんだよ」
そう言ってくれた母ちゃんは、きっと全部お見通しなのだろう。

「じゃあ、あとでね」
「うん。待ってる」

ぼくはケータイを充電器にセットして、母ちゃんからの電話を待つことにした。


≪続く≫

 ◇ ◇ ◇ ◇

まだ読んでない人は、ぜひぜひ第1話から順番に読んでねっ!!


【愛情物語】

第1話◆裏切られた思い
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=7

第2話◆ハシタ金
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=8

第3話◆優柔不断
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=9
 

2005/04/09(土) 愛情物語3☆優柔不断
 
ぼくは、母ちゃんの自宅に電話をするか、それとも勤め先の観光ホテルに電話をするかで、ちょっと迷った。
夜遅くのことだから自宅にはあの人≠ェいるはずで、母ちゃんに余計な気を遣わせてしまうんじゃないか。
引っ越して電話番号が変わっていたらどうしよう・・・。

それならば、勤め先に電話をしたほうがいいではないか。
でも、ぼくが知っているホテルは、2年前に聞いた勤め先だ。
いまはもう辞めているかも知れない。
たまたまオフの日に当たっている可能性もある。

母ちゃんはケータイを持っているから、ケータイに電話すれば良さそうだけど、それではどこにいるのかがわからない。

「さあ、どうしよう・・・」
いずれにせよ、一度電話をしてみないとわからないことなのに、こうゆうところがぼくは優柔不断なのだ。

けれども、母ちゃんには結婚式の前に知らせておきたい。
一点の曇りもない澄みきった心で、さやかをお嫁さんに迎えたい。


ぼくはケータイを開き、ドキドキしながら、ホテルの電話番号をプッシュし、発信キーを押した。

「お電話ありがとうございます。ホテル豊後館、フロントの伊藤でございます」
1コールでいきなり受話器を取って対応されたので、少し焦ってしまった。
ぼくは胸の鼓動を抑えながら、
「もしもし、えっと、そちらにお勤めの前田ゆかこさんをお願いします」
と、なんとか用件は伝えたが、名乗らなかった。

「大変失礼ですが、どちら様でございますか?」
伊藤さんとゆう男性は、丁寧な言い方でこちらの名前を聞いてきた。
「あ、すいません。ぼくは前田ゆうやって言います」
「前田さん・・・ですか?もしかして、お身内の方でしょうか?」
実に人の良さそうな温かい声だ。

「はい・・・。お仕事中にすみません」
ぼくが申し訳なさそうにゆうと、伊藤さんは、
「いえいえ、ご心配には及びませんよ。ただいま呼び出しますので、そのままお待ちくださいね」
と言ってくれた。

ぼくはビートルズの「All My Loving」の保留メロディを聴きながら、母ちゃんが電話口に出てくれるのを待った。


≪続く≫

 ◇ ◇ ◇ ◇


第1話から順番に読んでねっ!!

愛情物語シリーズ♪

第1話◆裏切られた思い
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=7

第2話◆ハシタ金
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=8
 

2005/04/08(金) 愛情物語2☆ハシタ金
 
母ちゃんに電話をしようと思い立ったぼくが、母ちゃんとの悲しい思い出をたどっているところです。

第1話を読んでない人は、こっちを先に読んでくださいねっ!

愛情物語1☆裏切られた思い
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=7

ではでは、第2話スタートです♪


 ◇ ◇ ◇ ◇


ある日・・・。
高校卒業後の進路について、電話で話をしていたときのこと。

「いまのままバイトを続けるよ。そのほうが気楽でいいでしょ」
と、ぼくはひどく投げやりな言い方をしてしまった。
心配した母ちゃんが、
「えっ?ゆうくんは大学を卒業したら、学校の先生になるんじゃなかったの?」
と、慌てて聞き返してきた。

「あのね〜、入学金はどーすんの?それに学費だって年間50万円以上かかるんだよ」
「大学って、そんなにお金がかかるの?」
悲しいことに母ちゃんは、そんなことも知らなかった。
「知らねーの?ぼくのバイト代だけじゃ無理なの!無理!」
ぼくは中卒の母ちゃんをバカにするように言った。

「ウチも少しだけど毎月仕送りするから、もう一回考え直したらどう?」
かなり遠慮気味に母ちゃんが言った。
「いくら送ってくれるの?」
「うーん、毎月3千円か5千円ぐらいなら何とか・・・」
これを聞いて、ぼくは呆れてしまった。


ちょうどこの頃のぼくは、ハードな毎日を送っていた。
早朝は新聞配達をして、昼間はマジメに学校に行き、夕方からはCDショップで深夜まで働いていた。
平日は勉強などそっちのけで、一生懸命に働いても、バイト代は毎月11万円前後。
その中から1DKのぼろアパートの家賃と公共料金を支払い、さらに県立高校の授業料と通学電車の定期代が必要だった。
ぼくの手元に残るお金は、せいぜい3〜4万円。
好きなアーティストのCDやカッコいい服もほしかったし、たまには女の子と映画も観に行きたい。
そうすると、給料日の数日前に食費が乏しくなり、1日にカップラーメン1個だけしか食べない日が続いたりもした。

こんなふうに高校でさえ必死で通っているとゆうのに、これ以上お金のかかる大学だなんて、とんでもない話だった。
まして、親からの援助が期待できない状況にあっては、なおさらのことだ。
奨学金とゆう方法もあったが、昔からぼくは借金がキライで、いまもクレジットカードを1枚も持っていない。


3千円から5千円ぐらいなら毎月仕送りするとゆう母ちゃんを、
「そんなハシタ金じゃ、どーにもなんねーんだよ!」
と、ぼくは鼻で笑った。
「・・・・・・」
母ちゃんは黙っていた。

「もう心配しなくていいから。じゃあ、切るよ」
電話を切ろうとするぼくに向かって、
「ゆうくん、ずいぶん乱暴な話し方するようになったねえ」
母ちゃんが淋しそうにつぶやいた。

ぼくは心の中では申し訳ないと思っていた。
それなのに、とんでもないことを言ってしまった。
「誰のせいでこうなったんだよ!?全部母ちゃんのせいじゃないかっ!」
そうゆうと、ぼくは一方的に電話を切った。

電話を切ったあと、ぼくはまるで子どものように声をあげて泣いた。
ぼくの変わりように驚いて、たぶん母ちゃんも泣いていたのだろう。

このあと、ぼくは母ちゃんと何度も電話で話をしたけど、このとき暴言してしまったことを謝っていない。
何度か謝ろうと思ったけど、ずっと謝れずにいる。
母ちゃんは、このことについては一切触れないままだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇


今日ぼくが母ちゃんに電話をしたのは、さやかとの結婚を報告するためだ。
ついでに、もう何年も前のことだけど、このときのことを謝っておきたい。

そして・・・
「ぼくを生んでくれてありがとう!」
・・・とゆう感謝の言葉を伝えたい。


≪続く≫


 ◇ ◇ ◇ ◇


【関連記事】

何度も夢に出てくる場面です(ToT)
まだ読んでいない人はぜひ・・・泣いてやってください。

記憶の中の母ちゃん
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2004&M=12&D=7
 

2005/04/07(木) 愛情物語1☆裏切られた思い
 
ぼくを生んでくれた母ちゃんに電話をすることにした。

母ちゃんの声を聞くのは2年ぶりで、一昨年の春、よそへ行っていたぼくが四国に戻ってきたときに連絡して以来のことだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇


母ちゃんは九州のある街に住んでいて、観光ホテルで仲居の仕事をしている。
10年前の1995年、ぼくを置いて出て行った当時付き合っていた男の人と、いまも一緒に暮らしている。
口に出して言ったことはないけど、母ちゃんがぼくを捨てて知らない男のもとに走ったことを、ぼくはずっと許せずにいた。

もしも母ちゃんがあと何年か我慢して、父ちゃんと一緒に暮らしていたら、その後のぼくの人生は大きく変わっていただろう。

大学に行き、熱血高校教師になる夢を叶えていたはず。
何かの理由があって、もし進学を諦めたとしても、いい会社には就職できただろう。
高校生のときから生きるためのバイト≠ェ本業・・・そんな惨めな暮らしをすることはなかったに違いない。
毎朝自分でお弁当をつくることが苦にならないようになるなんて、絶対にあり得ない。
初恋のあの子との恋も、ハッピーエンドな方向へ進んでいたかも知れない。


しかし、あのとき・・・。
酒乱でDV男だった父ちゃんとの絶望的な生活に悩み苦しんでいた母ちゃんを、逃がしてあげたのはぼく自身だ。
自分が我慢をすれば、大好きな母ちゃんに笑顔が戻ると信じたのは、ほかの誰でもなく、ぼく自身なんだ。

「ゆうくんを必ず迎えに来てあげる」
ぼくは、母ちゃんが別れ際に言ってくれたその言葉を素直に信じていた。
だからこそ、いつか再会する日、母ちゃんがぼくを見てがっかりしないよう、純粋な気持ちのままで母ちゃんを愛し続けようとした。

母ちゃんを恨んではいけない。
ぼくは母ちゃんのしあわせを願いつつ、ただまっすぐに$カきよう。
少年だったぼくは、そんなふうに強く心に誓ったのだ。

「昔のまんまのゆうくんだね」
と、たったひと言、母ちゃんにそう言ってもらうために・・・。


やがて、ぼくは、母ちゃんに好きな人がいて、実は一緒に暮らしていることを知った。
そのときに受けたショックの大きさは、ジイちゃんが死んでしまったときの衝撃に匹敵する。
「あれほど信じていたのに、母ちゃんに裏切られた!」
それからのぼくは、思い通りにゆかないことや悪いことがあれば、すべて母ちゃんのせいにするようになった。


≪続く≫


 ◇ ◇ ◇ ◇


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母ちゃんとの悲しい別れの場面です(ToT)

記憶の中の母ちゃん
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2004&M=12&D=7
 

2005/04/06(水) ザマァみやがれ!〓公休を無断欠勤だと言いふらすバカ〓
 
今週月曜日(4日)、ぼくは有意義な休暇(=有休ともゆう)を取った。
ぼくが住んでいる地方では、この日はひと月遅れの桃の節句≠ナ、地元企業の多くが休みになる。

「当然ヒマになるだろう」
そう考えて、わざわざこの日を選んだけど、ぼくの予想は大幅に外れ、チョ〜忙しい一日になったらしい。


がっ!
本来ぼくには責任のない話。
「知ったこっちゃねーよ」
このひと言で済まされる・・・はず。

事前に承認を受けている公休だから、何の落ち度もない。
とゆうか、むしろ現代青年の威厳≠ニして、後世にまで語り継がれるべき美談だと自負している。

いつものことではあるが、我ながら・・・大げさかも?(笑)

けれども、声を大にして言いたいことがある!
配達のバイトくんが一人いないだけのことで、正社員全員がガン首を揃えているじゃないか!
そのぐらいのことで、大会社の業務遂行能力が揺らいでどうするんだ!?


さて・・・
この日、リストラ寸前やる気ナッシングな社員が、ぼくの代わりに配達をした。
配達先を間違えたり、商品や数量がチャランポランだったり・・・。
もともと忙しいうえに度重なるミスの尻拭いも加わって、みんなで力を合わせて大混乱に陥った。
さらには昼行灯(ひるあんどん)な管理職までも駆り出して、桃の節句のお祭り騒ぎをたっぷりと堪能したようだ。

そして、ひっさびさに仕事らしい仕事をした管理職が、
「ゆうやのヤツ、勝手に休みやがって」
「やっぱりバイトは無責任で・・・アキマヘンなあ。もう大弱りですわ」
何軒かの配達先でこう言いふらした。

世の中には親切御丁寧な人がいて、何軒かの配達先がぼくに教えてくれた。
自分自身が笑われているとも知らず、マヌケなヤツだ。


だから、ぼくは精一杯デカい声で・・・
ザマァみやがれ!!
・・・と叫ぶのだ。

配達中の軽トラの中で、長いトンネルに入ったときに・・・。


リーマンじゃなくてホントによかった♪
 

2005/04/05(火) 日本一変なトンカツを作る店 〓愛は☆かつケーキ〓
 
昨日のこと。

なんと・・・♪♪♪
3月14日付の日記で紹介した…とんかつ専門店清まる≠ウんから、ブログ☆サイトにコメントが来たっ!

↓このページ↓
『とんかつパフェ ―ホワイトデー大作戦―』
http://youyah.blog1.fc2.com/?mode=m&no=125&m2=res
↑ケータイ版ブログ↑

 ◇ ◇ ◇ ◇

日本一変なトンカツを作る店主【きよこ】さんが書いてくれたコメントは、以下の通りです♪

◆よかったですね

偶然、発見して読ませていただきました。
実は、清まるの1番の看板商品が、9年前からある「とんかつケーキ」(愛は、勝つケーキ)で、まさしく「愛」を表現するために、生まれた究極のとんかつだったのです。
「とんかつパフェ」は、カジュアル版。
最近、ケーキのカジュアル版も出たのですが、この話は原因がうちじゃないにしても、うれしかったので、ついつい書いてしまいました。
また、よかったらご来店くださいね。・・・

2005/04/04(月) 11:42:53
清まる きよこ

このコメントがあったことを知らせてくれたのは、オカンな姉ちゃん黄桜≠ウんでした(…ゴメンなさい!)
黄桜ねーちゃん、あんがとさんです!

で、これに対するぼくの返事は以下の通りです。

◆はーい(^_^)v

わざわざコメントしていただいてありがとうございます!
めっちゃ☆うれしいです♪書いてよかった〜ってカンジ♪

こんな日記でもとんかつパフェ≠ヘかなり反響を呼んだんですよ。
清まるさんのお店が、いつか全国的にブレイクすることを願ってます。

あっ、今度はとんかつケーキ≠PRしますo(^-^)o
それと、また食べに行きますねっ!!!

2005/04/05(火) 22:57:33
ゆうや

 ◇ ◇ ◇ ◇

清まる☆HP
http://www.kiyomaru.com/
↑残念!パソコン版↑


とゆうことで、今日の[イメージ]画像は・・・
【とんかつケーキ】
スポンジ部分にとんかつ≠使ってます♪

ぼくは、来月さやかと結婚して「愛は勝つ」とゆうことを実感してから食べてみようかな♪
なんてことを考えてます。
↓さーさークリック↓

2005/04/04(月) 有休 ―有意義な休暇―
 
今日はあらかじめ休暇を取っていた。
遅れに遅れている日記を書きまくって、現実のカレンダーに追いつくためだ。
ってのはウソだ。
ぼくはそこまでカッコよくはない!

最近寝不足で疲労困ぱいだったから、先週末、契約先にお願いして休ませてもらったのだ。
最近は季節の変わり目で、喘息の具合も少し悪いし、ちょうどよかったかも知れない。


さて・・・
作家を目指しているぼくだけど、いま書いているこの日記はあくまでも趣味の世界であって、現在のところ全く収入につながってはいない。
カッコよく言えば修行≠ナあり、カッコ悪く言えば自己満足≠ノなるのだろう。

しかし・・・
どうせ苦労をして文章を書くのなら、たまにはみんなから「ほおっ」と言ってもらえるような名文を書き残したい。
たった一人でもいいから、「この言葉って使えるよな」と感じてほしい。
実際に使ってもらえたら、なおいっそう嬉しい。


そして・・・
はるか天空の彼方まで突き抜けそうな青空のもと、ぼくは今日、ある取材に行ってきた。
取材と言っても全然大したもんじゃない。
いま不定期連載で『時間旅行』とゆう作品(…とゆうのは恥ずいけど、いちおう作品なのです)を書いていて、好きな映画のロケ場所を写真撮影したことがある。
それに毛が生えた程度のことだ。

が・・・
今回はちがう!
エイプリル☆フールの日に素晴らしい本と出会い、その本の書評を書くついでに、ぼくの周りにその遺産がないかどうか、この目で確かめるためだ。
そして、あった!
ばっちりデジカメ映像に収めることができた。

その遺産≠ニは、果たして何の遺産なのか?
実にぼくらしいものの遺産です。
ご期待あれ!


あとは・・・
文章を書くのみ!
これが大変なんだよなあ(…はぁ♪)


最後に・・・
「有休」とは「有給休暇」の略じゃない。
自営フリーターのぼくに、有給休暇なんてものは存在しない!
「有休」とは「有意義な休暇」とゆう意味なのだ。
どんなもんだ・・・最後はビシッと決まっただろう!
 

2005/04/03(日) さくら(独り咲き)
 
午前中に桜の写真を撮ろうと思い立ち、デジカメ片手に、ひとりクルマで市内有数の桜名所に飛んでいった。
しかし、毎年この時期には満開なはずの桜が咲いてない!
それでも、公園の有料駐車場は午前11時の段階でほぼ満車状態。
家族連れの父親としては、桜の花はなくとも、お弁当を用意してこんな僻地までやって来たからには、予定を遠足に変更してでも決行するしかないのだろう。
中には花より酒≠ェ目当ての人もいるはずで、帰り道、どうか飲酒運転だけはしないように・・・と願うのである。

さて、ぼくは秘密の路地から回りこみ、公民館前の無料駐車場(じゃないけど・・・まいっか)にクルマを停めた。
そこから20メートル歩くと、桜の木が4〜5本だけある…高さ6メートル程度の小さな小さな山がある。
公園からは200メートルしか離れていない。
昔も今もちょっとした秘密の桜スポットになっていて、ここでお弁当を広げるグループはいない。
10年前までなら毎年、ジイちゃんや家族と花見をした思い出の場所だ。

しかも、幸運なことに、ここにはたった1本だけだが、3〜4分咲きの桜があった!

ところで・・・
ケツメイシの『さくら』が今年最大のヒット曲となりそうな勢いで売れ続けている。
スイート&ノスタルジックな歌詞がメロディとマッチしていて、かなり好きな曲だ。

去年は河口恭吾の『桜』がもうひとつのさくら≠ニして大ヒットになった。

最新のヒットチャートでは、嵐の『サクラ咲ケ』がナンバーワンをゲット。
男性アイドルは許せん!・・・そんな感覚はぼくにはない。
アイドルにはアイドルの良さがある・・・と理解しているつもりだ。

が!
「嵐の中では二宮くんがイイな」
ってなことを彼女がゆうと、そんな寛大な精神がふっ飛んでしまう。
「えーっ!マジ?こんなヤツのドコが?おまえ、そーとー趣味わりーよ」
日本男児らしく堂々とヤキモチを焼き尽くすぼくがいたりもする。

そんなとき、彼女はぼくに優しくゆう。
「でも、さやかはゆうやくんのほうが・・・・・・と思う」
ただ、ぼくとしてはこのひと言で機嫌が良くなったと思われるのは、なんとなく寒い気がする。
「いやいやいや〜、それほどでもねーよ」
と言って、うれしい気持ちをゴマかしたりもする(バレバレだけど…笑)

かなり脱線気味なので、話を元に戻そう。

ぼくは『さくら』が付くタイトルの曲の中では、森山直太朗の名曲『さくら』が一番好きだ。
1番の歌詞は有名すぎるので、2番の歌詞を引用してみよう。

――――――――

今なら言えるだろうか♪偽りのない言葉
輝けるキミの未来を♪願うホントの言葉
移りゆく街はまるで♪ぼくらを急かすように

さくら♪さくら♪ただ舞い落ちる
いつか生まれ変わる♪瞬間を信じ
泣くな友よ♪いま惜別の刻
飾らないあの笑顔で♪さあ

≪森山直太朗さくら≠謔閨

――――――――

ぼくは直太朗の『さくら』を聴くとき、いろんな場面を思い描くのだ。

卒業のとき・・・明日から遠く離ればなれになる愛しい人に。
同じく・・・些細なことがきっかけで心がすれ違ってしまったあの友に。
告別式で・・・大切にしていた家族や親友に。
60年前の戦争のとき・・・美しい国土と愛する者を守るため、私心を捨てて出撃する若者に。


ぼくは・・・
いまなら言えるだろうか?
母ちゃんと父ちゃんに・・・。
「ぼくを生んでくれてありがとう」と。
偽りのない言葉で言えるだろうか?

来月結婚することを、1日も早く連絡しなければ・・・。
そう思いながらも、時は容赦なくどんどん過ぎてゆく。
この桜が散ってしまう前に、早く連絡しなければ・・・。

 ◇ ◇ ◇ ◇

[イメージ]画像は
【さくらの花】
もちろん今日撮ってきた写真です!
↓さーさークリック↓

2005/04/02(土) 刺激がほしけりゃ・・・バカになれ♪〓後編〓
 
前編を読んでない人は、そっちから先に読んでくださいねっ!

刺激がほしけりゃ・・・バカになれ♪〓前編〓
↓さーさークリック↓
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=1


――――――――


昼時になり、ぼくと亀井さんはラーメン屋に入った。

亀井さんはとんこつチャーシュー≠ニチャーハン≠「ずれも大盛り、ぼくは平凡にみそラーメン≠注文した。
この男、さすがに身体がデカイだけあって、ナニワ金融メガネを曇らせながら、アブラギッシュな顔して食うわ、食うわ。
みそラーメン一杯だけを食べるのに悪戦苦闘しているぼくを尻目に、あっとゆう間に大盛り2品目を平らげた。

大食漢のスピードが速いのも事実だけど、ぼくが極端に遅いのもまた悲しい事実。
ホントのことをゆうと、ぼくはラーメンが苦手で、熱い麺を思いきってすすることができない。
喘息持ちのぼくは、熱い空気が気管に触れると、それだけで激しく咳きこんでしまうからだ。
そこで、力いっぱいあひる口≠しながら、クチビル☆パワーと割り箸で麺を送り込むカンジになる。
ラーメンが少し冷めてくるまでは、そうするしかない。

「おまえ、食うの遅せえなー」
亀井さんはタバコをくゆらせながら、手持ち無沙汰に待っている。
「ぼく喘息だから、普通の人みたいにラーメンをズルズルっとすすれないんですよ」
「ふ〜ん」

せっかく持病をカミングアウトしたのに、
「そんなことより、なあ、ゆうや。俺の話・・・聞いてくれる?」
亀井さんはあっさりスルー。

(そんなことよりって・・・そんな言い方ないでしょ!)

「いいっすよ。でも、どんな話ですか?」
相手がかなり退屈している様子なので、ぼくはみそラーメンを食べながら話を聞くことにした。

(聞くだけなら、まいっか)

そして、ナニワ金融メガネくんのおぞましい独白≠ェ始まった。

 ◇ ◇ ◇ ◇

俺さー、22で結婚したんだ。
嫁さんは6つ年上。
高3のとき、行きつけのスナックで知り合った。

(・・・おいおい!)

高校生のときから、彼女(現在の奥さん)がいるのに、フーゾクとかバンバン行ってたんだ。
平気でナンパもするし。
とにかく女を見るとやりたくてさー。
ガマンできねーんだな、これが。

(・・・言わなくてもわかるって!)

彼女は俺のそうゆうとこ知ってんだ。
全部知ってて、それでも結婚したんだよ。
まあ、惚れられたほうの強味ってやつかな。

(・・・自慢かよ!)

んでー、結婚して何年か後に毛ジラミ≠ノなっちゃった。
フーゾク嬢にうつされたか、ナンパした女にうつされたかは分かんねーけど。
あんときはもうマジ弱った。
嫁さんにうつしちゃマズイから、治るまでやれないだろ?
でも、ひたすらやりてーし。
それもまあ、言ってみれば男の勲章だよな。

(・・・そんなのが男の勲章なんかじゃない!)

ところで、ゆうやはウブなカンジだから、結婚する彼女が初めて知った女なんだろ?
えっ!違うの?
まあいい・・・見栄を張っても、どうせ2、3人ってとこだろうからさー。
俺なんか、両手両足で5回数えても、たぶん足りねーなあ。

(・・・あの〜、勝手に決め付けられたくないんですけど!)

なあ、おまえもさー、もったいないぞ。
せっかく男に生まれてきたんだから、手当たり次第にやりまくらなきゃ。
おまえが声掛けさえすりゃ、いくらでもついて来るだろ?
もっと度胸つけろよ。

(・・・そんな度胸ならいらねーってば!)

もしかして、おまえ、フーゾク行ったことねーの?
やっぱりそうか。
今度俺が連れてってやるよ。
靴下と靴だけ履いて、あとはスッポンポンになって・・・あんなこと、こんなこと。
チョー気持ちいいぞ〜。
結婚する前にちゃんと社会勉強しとけって。

(・・・靴下と靴を履いてることに意味あんのかなあ?)

刺激がほしけりゃ・・・バカになれ♪Ah ha ha♪
しっかし、いい歌だな〜『ロコローション』

(・・・あーあ、大好きな曲なのに、おまえなんかが歌ったら台無しだ!)

 ◇ ◇ ◇ ◇

ちなみに、亀井さんちには4歳と3歳のいずれも女の子がいる。
この人とは住む世界が違うとゆうか・・・、ぼくの価値観ではフシダラすぎるとゆうか・・・とにかく許せない。


「ぼくはお嫁さん一人を一生愛し続けてゆくんだっ!」
と、強く強く誓うのである。
それこそがぼくにとっての男の勲章≠ネんだと思う。

そのことを亀井さんにゆうと、
「ガキくせーこと言ってやんの!バッカじゃねーの?」
と、爆笑されてしまった。


どんなにバカにされようとも、ぼくはいつまでも純粋な少年の心を持ち続けようと思う。


≪おしまい♪≫
 

2005/04/01(金) 刺激がほしけりゃ・・・バカになれ♪〓前編〓
 
昼間仕事をしているカーパーツの販社に、亀井(仮名)さんとゆう男子社員が転勤してきた。
亀井さんは、社内でもトップクラスの営業成績を収めている優秀な営業マン≠セ。
ここ何年間も不振が続いている営業所のエースと期待されている。

年齢は27歳でぼくより2つ年上。
身長182センチ、体重は不明だが太っても痩せてもない・・・中肉?
極細眉毛のイカツイ顔にナニワ金融メガネ(金縁に角度のついた細いレンズのメガネ)をかけ、髪はオールバックでビシッと決めている。

チビで痩せていて、高校生に毛が生えたカンジのぼくと比べると、まるで正反対。
並んで立つと、大人と子どもみたいだ。
(どうでもいいことだけど、ぼくはヒゲとか体毛が薄いほうです・・・念のため!)
見るからに何とゆうか、はっきり言って「お友だちになりたくない」タイプである。
もっとゆうと、街で見かけたら、避けて通りたい人種に違いない。


さて、その亀井さんはこちらに来たばっかりで、当然ながら地理がわからない。
先月、前任者と引継ぎしたけれど、たった2日間クルマで走っただけでは、あまりにも不十分だ。
そこで、所長から指示が出された。
「カメ〜、今日は初日やけん配達に同行せいや!ゆうや、頼んだで!」
「あっ・・・はい・・・」
ぼくは返事をしたものの、ありがたくない指示にモジモジしていた。

すると、亀井さんが、
「じゃあ、よろしくな!」
と言って、ぼくの肩をギュッと抱いてきた。
(えーっ?マジ?あんた体育会系かよ!)
コワモテの亀井さんに対して、まさかそんなことは言えるはずもなく・・・。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
心とは裏腹に、実にさわやかに挨拶してしまった。


そんなこんなで、ぼくと亀井さんの珍道中が始まった。

亀井さんはヘビースモーカーで、喘息患者のぼくの横でタバコをスパスパ。
安全運転をして黄色信号で減速しようものなら、
「いまのタイミングなら突っこめよ」
とゆうが早いか、ぼくの頭をぽこん!

「いや、無理です」
勇気を出してキッパリ言い切ると、
「坊や、俺に口答えするんか?」
と言って、また頭をぽこん!
今日一日で頭を何回叩かれたか・・・あまり痛くはないけど、数えきれない。

さらには、歩道をゆく若い女の子を見かけたら、
「ゆっくり走れ!もっともっと!」
顔やスタイルを見て品定めをするために、突如減速を命じたりもする。

「ひでえブス。タダでもいらんわ」
「おっ、かわいい。こうゆう女をヒイヒイ言わしたいなあ」
「めっちゃナイスバディーやん。ひん剥いて舐めまくりてー!」
隣で運転している自分が恥ずかしかった。

亀井さんは、ぼくがノーリアクションで黙っているのが気に入らないようで、
「ゆうやもやりたいやろ?な?な?」
と、いちいち返事を求めてくる。
(あー、うざってえ)
そんなことを言ったら、マジで殴られそうな雰囲気。
「いや、別に・・・」
ダルそうに答えるのが、ぼくの精一杯の反抗だ。

しかし、それがまた気に食わないらしい。
「おまえ、それでも男なんか?」
亀井さんは右手を伸ばし、また頭を叩くのかと思ったらフェイントで、ぼくの男の子自身をムギュ!
これが、まともにつかまれたから痛くて、痛くて・・・。
「いてえ!何すんだよっ!」
ぼくはさすがにキレてしまった。

「安心した。おまえにもいちおう付いてたんだなあ」
「・・・・・・・・・」
「おや、怒ってんの?せっかく友だちんこ≠ノなれたのに・・・わはは」
優秀な社員かどうか知ったことじゃないけど、古いギャグを繰り出したりして、いい気なもんだ。
「・・・・・・・・・」
ぼくはもうマジで腹が立ったから、その後何を話しかけられてもシカトしてやった。


そうやってしばらくすると、向こうから折れてきた。
「なあ、ゆうや。頼むからさー、話し相手になってくれよ」
「イヤです!」
「んなことゆうなよ。なあ、頼む」
「じゃあ、約束してください。さっきみたいなことは絶対に言わないって、約束してくれたら考えます」
ぼくは社員じゃないけど、この先一緒に仕事をする亀井さんと気まずくなるのもマズイと思い、譲歩案を出した。
「わかった。おまえの前では二度とワイ談しないよ」
亀井さんはあっさりと要求を呑んでくれた。

「それと、ぼく、来月結婚することになってるから・・・」
小声でさりげなく付け加えておいた。
「マジ?おめでと〜!もうちょっとしたら毎晩ヤリたい放題じゃん。いいね〜、いいね〜」
(はぁ・・・またそれをゆう)


そして、亀井さんの口から、ぼくをびっくり仰天させる話が飛び出したのは、昼食のときだった。


≪続く≫
 


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