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2005/04/11(月)
愛情物語5☆守ってあげたい
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母ちゃんからの電話を待つこと30分。 母ちゃんからの着信専用の着メロ『守ってあげたい』のサビ部分が、いま初めて小さな部屋に鳴り響いた。
So, you don’t have to worry, worry, 守ってあげたい ほかには何ひとつできなくてもいい ‘Cause I love you, ‘Cause I love you.
≪松任谷由美守ってあげたい≠謔閨
同時にケータイの液晶画面いっぱいに、母ちゃんの写真が表示された。
ぼくは、母ちゃんが若い頃の写真をたった1枚だけ大事に持っている。 母ちゃんの写真は、母ちゃんが家出してからしばらくして、父ちゃんが全部破り捨ててしまったから、この1枚だけしか残っていない。 ぼくはこの写真をケータイのカメラで撮り直し、画像データに保存している。 母ちゃんのケータイからの着信があったときには、少しボヤけたその写真が表示されるようにいちおう<Zットしていたのだ。
「もしもし・・・」 「もしもし、ゆうくんなの?」 母ちゃんは何十回、何百回かけてもつながらなかったぼくのケータイがつながったので、どうやら半信半疑の様子だ。 「うんっ!そうだよ」 「夢みたい。ちゃんとつながってる!良かった〜。思ったより早かったでしょ?」 母ちゃんはうれしくて仕方ないとゆう感じで、さっきよりいっそう声が弾んでいるのがわかる。
「うん。びっくりした!でも、母ちゃん、いまどこから?もしかして家から?」 ぼくはあの人≠フ存在がどうしても気になっていた。 「違うよ。ホテルの中庭。桜がライトアップされて、とってもキレイ」 とりあえず、ホッとした。
「外は寒くない?」 「今夜は寒くないから平気だよ」
「あっ、そういえば昼間は暑かったでしょ?」 「うん。驚いたんだけど、夏日だったらしいね。こうやって桜を見てると、ジイちゃんが生きてた頃、毎年夜桜見物に行ったことを思い出すよ」 この言葉で10年間の出来事が次々と思い浮かんできて、胸が詰まりそうになった。
「母ちゃん、秋山大将の銅像があるあの場所、覚えてる?」 「覚えてるよ。ジイちゃんのお気に入りの場所だったからね。懐かしいなあ。いまでも目に浮かぶよ」 母ちゃんの言葉の中にジイちゃんがたびたび出てくることが、すごくうれしかった。
≪続く≫
◇ ◇ ◇ ◇
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