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2005/04/10(日)
愛情物語4☆優しい声
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突然、心地よい保留音が途切れ、ぼくの耳に優しく懐かしい声が響いてきた。
「もしもし・・・ホントにゆうくんなの?」 それは忘れもしない母ちゃんの声。 「うんっ!!ホンモノのゆうやだよ。母ちゃん、ゲンキだった?」 ぼくは目頭がキューンと熱くなるのを感じながら、そう言った。 「うん。ゲンキでいるよ。それより、ゆうくんはどう?喘息は大丈夫なの?」 親子だから当たり前のことかも知れないが、母ちゃんがぼくの持病のことを気にしてくれている。 それだけで、2年間の空白が満たされる気がした。
「大丈夫。特にいまはチョ〜☆ゲンキ!ゲンキ!なんだよ」 ぼくは悪い知らせじゃないことを早くわかってほしかった。 「うん、うん。ゆうくんの声を聞いたらわかるよ。よほどイイことがあったんだなあって」 それほど声が弾んでいるとゆうことだろう。 そういえば、母ちゃんと離ればなれになってからは、ずっと声が沈みっ放しだったかも知れない。
「母ちゃん、いまちょっと話できるのかなあ?」 ぼくはふと気になった。 「ゴメンね。あんまり長くは話できない。うれしいから、ホテルの電話だとゆうことを忘れてたよ」 母ちゃんは申し訳なさそうに言った。 「やっぱダメなのか・・・」 ぼくが残念そうにゆうと、 「もう少しで仕事終わるから、すぐに電話するよ。ケータイの番号を教えて」 母ちゃんがうれしいことを言ってくれた。
ぼくはこの2年の間にケータイの電話番号を変えていた。 だけど、母ちゃんには教えていなかった。
「えーっとね、080・・・。ちゃんとメモした?」 「うん。ゆうくん、ケータイ番号変えたでしょ?何回も電話してみたんだけど、全然つながらなかったワケだ」 そうか・・・母ちゃんはぼくに電話をかけようとしてくれたんだ。 「エヘヘヘ。母ちゃんに知らせてなかった。ゴメンなさい」
ぼくは努めて明るくゴマかそうとした。 実は、「もう知らせないほうがいいだろう」と考えて、ワザと知らせなかったのに・・・。 母ちゃんのしあわせをジャマしてはいけない、と考えていたから・・・。
「そんなこと、全然気にしなくていいんだよ」 そう言ってくれた母ちゃんは、きっと全部お見通しなのだろう。
「じゃあ、あとでね」 「うん。待ってる」
ぼくはケータイを充電器にセットして、母ちゃんからの電話を待つことにした。
≪続く≫
◇ ◇ ◇ ◇
まだ読んでない人は、ぜひぜひ第1話から順番に読んでねっ!!
【愛情物語】
第1話◆裏切られた思い http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=7
第2話◆ハシタ金 http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=8
第3話◆優柔不断 http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=9
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