|
2005/04/18(月)
愛情のしるし☆後編
|
|
|
皆さん、こんばんは。 とりあえず前編から先に読んでくださいねっ! なんのため?念のため(*^-^)エヘヘ♪
◆愛情のしるし☆前編 http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=17
◇ ◇ ◇ ◇
部屋に戻ったぼくは、胸ポケットにしまってあった通帳を取り出した。 長い歳月のあいだ母ちゃんの手垢にまみれた通帳を開くと、ちゃんとぼくの名義になっている。 最初の預け入れは1995年12月25日。 この日に3千円のお金が記されている。 ぼくと母ちゃんが別れたのが11月14日だから、新しい仕事が見つかり、そこでもらった最初の給料で口座を開設してくれたのだろう。
そのときから今年3月まで、一度も途切れることなく111回! 毎月月末近くに3千円か稀に5千円、あるときには4千円のお金が通帳に刻み込まれている。 最後の112回目の入金は、先日母ちゃんと電話で話をした翌日。 この日、母ちゃんは通帳の残高がちょうど40万円になるように、1円代まで端数が付いた数万円のお金を預けてくれている。
白い封筒の中には、母ちゃんの手紙が同封されていた。 地味な便箋にシャープペンシルで書かれていて、消しゴムで消した跡が何箇所も残っている手紙が入っていた。 驚いたことに、難しい漢字を知らなかったはずの母ちゃんが、それなりに漢字を使っている。 母ちゃん、漢字どこで覚えたんだよ。 一生懸命になって習ったのか?
◇ ◇ ◇ ◇
ゆうくんへ
ゆうくんには苦労をさせてしまいました。 どんなにあやまっても許してはもらえないでしょうが、本当に御免なさい。 でも、一つだけわかって欲しい事があります。 ゆうくんの事を思わなかった日が一日もない事です。 この貯金通帳が、かあちゃんの愛情のしるしです。 少ないけど結婚する時の足しにして下さい。 本当に少ないお金ですが、ゆうくんへの精一杯の気持ちです。 ゆうくんは体があまり丈夫ではないから、どうか体だけは大切にしなさいね。 さやかちゃんと仲良くして、明るい家庭を作って下さい。
ゆかこ
◇ ◇ ◇ ◇
見上げれば満天に輝く星空の下。 ぼくはマンションの屋上に立ち、母ちゃんの愛情が痛いほどに刻まれている通帳を胸に抱いた。 そして、母ちゃんが住んでいる西の方角を向き、深々と礼をした。
母ちゃん! さっき通帳受け取ったよ。 いまここから九州の空まで飛んでゆけそうなくらい・・・すっげえ最高の気分だ。 ホントにありがとう!
でも、ぼくはまた母ちゃんに謝らなきゃいけない。 あのとき、母ちゃんが毎月3千円か5千円なら仕送りできると言ってくれたのに、ぼくは・・・。 そんなハシタ金・・・と鼻で笑ったんだ。 バカなことを言ってしまった自分が、思いっきり恥ずかしい。 ゴメンなさい。 ぼくのほうこそ、許してください。
それと、母ちゃん! もう自分のこと、そんな責めなくてもいいんだよ。 許すとか、許さないとか、ぼくの気持ちはそうゆうことじゃないんだ。 母ちゃんがぼくのことを一日も忘れずにいてくれた・・・それだけで十分なんだ。
ぼくはもうひとりじゃない。 さやかとふたり仲良く歩いてゆけるから、いままでのような心配はいらない。 だから、母ちゃんはこれから、自分のしあわせを考えて生きてゆくんだよ。 母ちゃんのしあわせがぼくのしあわせなんだから・・・ねっ。
母ちゃん! せっかくもらったお金だけど、これに手を着けることなんて、ぼくにはできそうにないよ。 一生大事にして、いつかぼくの子どもが結婚するときに持たせてやろうと思う。 それでいいでしょ? このお金はぼくとさやかの御守り。 母ちゃんからもらった大切な大切な御守り。
母ちゃん! 何回お礼を言っても、言い足りないような気がする。 ホントにホントにありがとう! ぼくは母ちゃんの子どもに生まれてきたから、いまこんなにしあわせなんだよ。
母ちゃん! いつか会いに行きます。 キリンになって待ってて下さい。 さやかと一緒に必ず会いに行きます。
≪完≫
|
|
|