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2005/04/09(土)
愛情物語3☆優柔不断
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ぼくは、母ちゃんの自宅に電話をするか、それとも勤め先の観光ホテルに電話をするかで、ちょっと迷った。 夜遅くのことだから自宅にはあの人≠ェいるはずで、母ちゃんに余計な気を遣わせてしまうんじゃないか。 引っ越して電話番号が変わっていたらどうしよう・・・。
それならば、勤め先に電話をしたほうがいいではないか。 でも、ぼくが知っているホテルは、2年前に聞いた勤め先だ。 いまはもう辞めているかも知れない。 たまたまオフの日に当たっている可能性もある。
母ちゃんはケータイを持っているから、ケータイに電話すれば良さそうだけど、それではどこにいるのかがわからない。
「さあ、どうしよう・・・」 いずれにせよ、一度電話をしてみないとわからないことなのに、こうゆうところがぼくは優柔不断なのだ。
けれども、母ちゃんには結婚式の前に知らせておきたい。 一点の曇りもない澄みきった心で、さやかをお嫁さんに迎えたい。
ぼくはケータイを開き、ドキドキしながら、ホテルの電話番号をプッシュし、発信キーを押した。
「お電話ありがとうございます。ホテル豊後館、フロントの伊藤でございます」 1コールでいきなり受話器を取って対応されたので、少し焦ってしまった。 ぼくは胸の鼓動を抑えながら、 「もしもし、えっと、そちらにお勤めの前田ゆかこさんをお願いします」 と、なんとか用件は伝えたが、名乗らなかった。
「大変失礼ですが、どちら様でございますか?」 伊藤さんとゆう男性は、丁寧な言い方でこちらの名前を聞いてきた。 「あ、すいません。ぼくは前田ゆうやって言います」 「前田さん・・・ですか?もしかして、お身内の方でしょうか?」 実に人の良さそうな温かい声だ。
「はい・・・。お仕事中にすみません」 ぼくが申し訳なさそうにゆうと、伊藤さんは、 「いえいえ、ご心配には及びませんよ。ただいま呼び出しますので、そのままお待ちくださいね」 と言ってくれた。
ぼくはビートルズの「All My Loving」の保留メロディを聴きながら、母ちゃんが電話口に出てくれるのを待った。
≪続く≫
◇ ◇ ◇ ◇
第1話から順番に読んでねっ!!
愛情物語シリーズ♪
第1話◆裏切られた思い http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=7
第2話◆ハシタ金 http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=4&D=8
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