【青春交差点】
 
いつもどんなときも。ぼくはぼくらしく。
 
ホームページ最新月全表示|携帯へURLを送る(i-modevodafoneEZweb

2005年6月
前の月 次の月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
最新の絵日記ダイジェスト
2006/05/28 チョー重大なお知らせ
2006/05/27 しまなみ海道5 ―楠の神木―
2006/05/26 しまなみ海道4 ―台海岸―
2006/05/25 しまなみ海道3 ―しあわせの鐘―
2006/05/24 しまなみ海道2 ―多々羅大橋―

直接移動: 20065 4 3 2 1 月  200512 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200412 11 10 9 8 7 6 5 月 

2005/06/18(土) 時間旅行5 〓涙の渡し船〓
 
さてと、ぼくの少年時代・・・1992年にタイム☆スリップ!

ゆうや少年は中学入学と同時に行なわれた実力テストで、学年4位の成績を収めた。
これはとんでもなく意外な出来事だった。
とゆうのも、小学生の頃の成績が「中の上」だったため、せいぜい100人中30番ぐらいだろうと予想していたからだ。
その結果、ぼくは野球部の監督からの熱心な勧誘を断わり、勉学の道を歩むことになった。
両親の切なる希望を聞き入れたのだ。

そのとき、ぼくは父ちゃんと母ちゃんに約束をした。
「次の中間試験では1番になるから、そしたらCDラジカセを買ってよ」
「よっしゃ!わかった」
「ゆうくん、がんばってね!」
共に中卒の父ちゃんと母ちゃんは、わが子の突然変異ぶりに有頂天だった。

そして、ぼくは約束通り一等賞を獲った。
成績表を持って家に帰ると、母ちゃんはぼくの頭とほっぺをなでなでして、大喜びをしてくれた。
「ちゃんと1番になったんやけん、CDラジカセを今日買ってよ!」
「うん。でも、明日にしてや。今晩父ちゃんにもう一回聞いてから・・・ね」
「ゼッタイいやや!今日買ってよ」
母ちゃんは気むずかしい父ちゃんに遠慮していたが、ぼくは聞く耳を持たなかった。

「まあええか。1番になったことやし」
と、結局そうゆうことになり、ぼくと母ちゃんは渡し船に乗って三津浜に向かった。

ダイエー系列のスーパーに行くと、CDラジカセが何種類か置いてあった。
ぼくはためらうことなく、いちばん安い7800円の機種≠選び、新品のケースを胸に抱きしめた。
母ちゃんはそれを哀れに感じたのだろうか。
「こっちのがええ」と言って9800円の機種≠勧めてくれたけど、ぼくは譲らなかった。
わが家が貧しいことぐらい十分知っていたからだ。

家に帰りFMラジオを聞いていると、6時半ごろ父ちゃんが仕事から帰ってきた。
父ちゃんがビールを飲み上機嫌になった頃合いを見て、成績表を見せた。
「見て見て!やったよ一等賞!」
「よしよし、ようやった」
父ちゃんの顔にも珍しく満面の笑みがこぼれた。

しかし・・・。
「それでねー、今日これ買うてもろたよ」
ぼくがCDラジカセを見せると、とたんに父ちゃんの機嫌が悪くなった。
「おまえら、わしに断わりもなくこんなもん買うたんか?」
ぼくは唖然とした。
母ちゃんはある程度予想していた感じで、どことなく諦め顔をしている。

「前4番になったとき約束したじゃん。今度1番獲ったら買ってくれるって」
「ほうよ!あんた、忘れたん?」
ぼくは事実を主張し、母ちゃんも助け船を出してくれた。
が、父ちゃんはますます怒り狂った。
「うるさい!ぼけなす!」
そうゆうと、ご飯が入った茶碗をガラス戸に向かって投げつけた。

ガッシャ〜ン!!
聞きたくない音がしたあとは、誰もなにも言わなくなった。
母ちゃんは顔色ひとつ変えることなく、玄関に飛び散ったガラスと茶碗、それにご飯粒を片付けた。
父ちゃんはビールをグラスに注いで飲み続けるばかり。
ぼくは気まずさに耐えられず、自分の部屋に戻った。

しばらくして、片付けを終えた母ちゃんが部屋に入ってきた。
「ゆうくん、それ返しに行っとこや」
「うん・・・」

ぼくと母ちゃんは渡し船に乗り、さっき買って帰ったばかりのCDラジカセを返品しに行った。
「家電商品は開封すると、それだけで商品価値が下がるんですよね」
サービスカウンターで店員に嫌味を言われながらも、母ちゃんはとにかく平謝りに謝り続け、なんとか返品させてもらえることになった。
店側としては、その日のうちに返しに来たことだし、今回はまあいいだろう・・・そう判断してくれたのだろう。

帰り道、ぼくらは再び渡し船に乗り、暗い夜の海を滑った。
「ゆうくん、ホントにゴメンね」
ぼくはなにも答えず、隣に座っていた母ちゃんの顔を覗き込んだ。
淡々としていたはずの母ちゃんが、目にいっぱいの涙を浮かべていた。
当時ぼくは12歳。
自分のことよりも、わからず屋の父ちゃんを夫にしている母ちゃんのことが不憫で、思いっきり泣いてしまったことをいまも鮮明に覚えている。


 ◇ ◇ ◇ ◇


この記事を書くために、久しぶりに訪れた船着き場で、ぼくが思い出したのはやっぱりこのことでした。
結婚してしあわせになれたいまでも、ここに立つと悲しくて涙がこぼれそうになってしまいます。
つまらない過去は忘れよう。
そう思いたい気もするけど、ぼくは忘れないでいようと思います。

それは・・・。
当時の母ちゃんの苦しみがわかる分だけ、ぼくは必ずお嫁さんを大切に愛してあげたい。
いつか生まれてくる子どもにも、ぼくと同じような悲しい気持ちをさせたくない。
こうゆうふうに思うからです。

それにしても、田中麗奈ちゃんの相手役、幼なじみの関野大*でこの映画に出演したいなあ。
この映画を撮影していたとき、8年前の夏にはマジでそんなことを考えていたものです。
こんなノーテンキなことを書いたら、お嫁さんに怒られますかねえ。
もう時効だとは思うのですが、それはこっちの勝手なのかなあ。


≪続く≫

◆時間旅行6 ―ボート部艇庫―
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=6&D=20

↓第1話から読む?↓
◆時間旅行1 ―がんばっていきまっしょい―
http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=3&D=20


 ◇ ◇ ◇ ◇


[イメージ]画像・・・
松山市営渡船が海の上を走っているところです。
画面手前が港山側、向こう岸が三津浜側。
ケータイは横向きでね♪
↓さーさークリック↓


 Copyright ©2003 FC2 Inc. All Rights Reserved.