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2005/06/18(土)
時間旅行5 〓涙の渡し船〓
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さてと、ぼくの少年時代・・・1992年にタイム☆スリップ!
ゆうや少年は中学入学と同時に行なわれた実力テストで、学年4位の成績を収めた。 これはとんでもなく意外な出来事だった。 とゆうのも、小学生の頃の成績が「中の上」だったため、せいぜい100人中30番ぐらいだろうと予想していたからだ。 その結果、ぼくは野球部の監督からの熱心な勧誘を断わり、勉学の道を歩むことになった。 両親の切なる希望を聞き入れたのだ。
そのとき、ぼくは父ちゃんと母ちゃんに約束をした。 「次の中間試験では1番になるから、そしたらCDラジカセを買ってよ」 「よっしゃ!わかった」 「ゆうくん、がんばってね!」 共に中卒の父ちゃんと母ちゃんは、わが子の突然変異ぶりに有頂天だった。
そして、ぼくは約束通り一等賞を獲った。 成績表を持って家に帰ると、母ちゃんはぼくの頭とほっぺをなでなでして、大喜びをしてくれた。 「ちゃんと1番になったんやけん、CDラジカセを今日買ってよ!」 「うん。でも、明日にしてや。今晩父ちゃんにもう一回聞いてから・・・ね」 「ゼッタイいやや!今日買ってよ」 母ちゃんは気むずかしい父ちゃんに遠慮していたが、ぼくは聞く耳を持たなかった。
「まあええか。1番になったことやし」 と、結局そうゆうことになり、ぼくと母ちゃんは渡し船に乗って三津浜に向かった。
ダイエー系列のスーパーに行くと、CDラジカセが何種類か置いてあった。 ぼくはためらうことなく、いちばん安い7800円の機種≠選び、新品のケースを胸に抱きしめた。 母ちゃんはそれを哀れに感じたのだろうか。 「こっちのがええ」と言って9800円の機種≠勧めてくれたけど、ぼくは譲らなかった。 わが家が貧しいことぐらい十分知っていたからだ。
家に帰りFMラジオを聞いていると、6時半ごろ父ちゃんが仕事から帰ってきた。 父ちゃんがビールを飲み上機嫌になった頃合いを見て、成績表を見せた。 「見て見て!やったよ一等賞!」 「よしよし、ようやった」 父ちゃんの顔にも珍しく満面の笑みがこぼれた。
しかし・・・。 「それでねー、今日これ買うてもろたよ」 ぼくがCDラジカセを見せると、とたんに父ちゃんの機嫌が悪くなった。 「おまえら、わしに断わりもなくこんなもん買うたんか?」 ぼくは唖然とした。 母ちゃんはある程度予想していた感じで、どことなく諦め顔をしている。
「前4番になったとき約束したじゃん。今度1番獲ったら買ってくれるって」 「ほうよ!あんた、忘れたん?」 ぼくは事実を主張し、母ちゃんも助け船を出してくれた。 が、父ちゃんはますます怒り狂った。 「うるさい!ぼけなす!」 そうゆうと、ご飯が入った茶碗をガラス戸に向かって投げつけた。
ガッシャ〜ン!! 聞きたくない音がしたあとは、誰もなにも言わなくなった。 母ちゃんは顔色ひとつ変えることなく、玄関に飛び散ったガラスと茶碗、それにご飯粒を片付けた。 父ちゃんはビールをグラスに注いで飲み続けるばかり。 ぼくは気まずさに耐えられず、自分の部屋に戻った。
しばらくして、片付けを終えた母ちゃんが部屋に入ってきた。 「ゆうくん、それ返しに行っとこや」 「うん・・・」
ぼくと母ちゃんは渡し船に乗り、さっき買って帰ったばかりのCDラジカセを返品しに行った。 「家電商品は開封すると、それだけで商品価値が下がるんですよね」 サービスカウンターで店員に嫌味を言われながらも、母ちゃんはとにかく平謝りに謝り続け、なんとか返品させてもらえることになった。 店側としては、その日のうちに返しに来たことだし、今回はまあいいだろう・・・そう判断してくれたのだろう。
帰り道、ぼくらは再び渡し船に乗り、暗い夜の海を滑った。 「ゆうくん、ホントにゴメンね」 ぼくはなにも答えず、隣に座っていた母ちゃんの顔を覗き込んだ。 淡々としていたはずの母ちゃんが、目にいっぱいの涙を浮かべていた。 当時ぼくは12歳。 自分のことよりも、わからず屋の父ちゃんを夫にしている母ちゃんのことが不憫で、思いっきり泣いてしまったことをいまも鮮明に覚えている。
◇ ◇ ◇ ◇
この記事を書くために、久しぶりに訪れた船着き場で、ぼくが思い出したのはやっぱりこのことでした。 結婚してしあわせになれたいまでも、ここに立つと悲しくて涙がこぼれそうになってしまいます。 つまらない過去は忘れよう。 そう思いたい気もするけど、ぼくは忘れないでいようと思います。
それは・・・。 当時の母ちゃんの苦しみがわかる分だけ、ぼくは必ずお嫁さんを大切に愛してあげたい。 いつか生まれてくる子どもにも、ぼくと同じような悲しい気持ちをさせたくない。 こうゆうふうに思うからです。
それにしても、田中麗奈ちゃんの相手役、幼なじみの関野大*でこの映画に出演したいなあ。 この映画を撮影していたとき、8年前の夏にはマジでそんなことを考えていたものです。 こんなノーテンキなことを書いたら、お嫁さんに怒られますかねえ。 もう時効だとは思うのですが、それはこっちの勝手なのかなあ。
≪続く≫
◆時間旅行6 ―ボート部艇庫― http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=6&D=20
↓第1話から読む?↓ ◆時間旅行1 ―がんばっていきまっしょい― http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=3&D=20
◇ ◇ ◇ ◇
[イメージ]画像・・・ 松山市営渡船が海の上を走っているところです。 画面手前が港山側、向こう岸が三津浜側。 ケータイは横向きでね♪ ↓さーさークリック↓
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