【青春交差点】
 
いつもどんなときも。ぼくはぼくらしく。
 
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2005/08/05(金) 窃盗未遂容疑で逮捕するぞ!
 
長年勤めていた銀行員を辞めて、ぼくと同じセンターで宅急便の下請けをやっていた岡本さん。
「やっていた」と過去形なのは、先月末でお役御免≠ニなったからだ。
以下、敬称略。

岡本は50歳に手が届きそうな感じのオッサン。
クソ≠付けないと失礼なほど真面目な人で、でも、ユーモアも持ち合わせていて楽しい人だった。
ただし、話が長くて、説教じみていて、同じことを繰り返すクドい面があり、残念ながら、みんなからあまり好かれてはいなかった。

今宵は、この岡本が引き起こした、世にも珍しいクレームを書き残しておこう。

7月のある土曜日の朝・・・。
14階建て高層マンション(四国では十分に高層です!)の駐車場で、岡本はクルマから荷物を取り出して台車に載せていた。
そのとき、スーツ姿で中年リーマン風のオヤジが、岡本のクルマの脇を通りがかった。
オヤジはそのマンションの住人で、したたかに飲んだ挙げ句の朝帰りだった。
ネクタイ鉢巻きまでやってたかどうか、そんなことまでは知らないけど(…笑)

「ウチの荷物はなかったのか?」
突然、オヤジは岡本のクルマに積んである荷物を見回し始めた。
「えっと。お名前はどちらさんですか?」
岡本は酔っ払いになど構いたくはなかったが、仕方なく聞いた。
「加場だよ、加場!」
「あ、カバさんね。きょうはお荷物なかったみたいです」
岡本はそれだけゆうと、台車を押してマンションの入口に向かった。

そして、なんとなく気になったので、クルマのほうを振り返った。
すると・・・。
加場のオヤジが、荷物を1個小脇に抱え、千鳥足で歩いてくるじゃないか!
それを見て、真面目な岡本は血相を変えて駆け寄った。

「なにやってるんですか?」
「見たらわかるだろ。荷物もらってくぞ」
「返してください!」
「ヤなこった」
悪フザケが過ぎる加場から、岡本はなんとか荷物を奪い返した。

「おまえねー、お客さまにそんな態度していいのか?おい!下請け業者が偉そうに・・・」
この加場のひと言で、岡本さんはプチギレした。
「あなた、自分がやってることがわかっているんですか!立派な窃盗未遂ですよ」
窃盗未遂・・・この言葉が加場の胸に突き刺さった。
「この野郎!お客さま相談室に電話してやるからな」
捨てゼリフを残し、加場はそこから立ち去った。

あっとゆう間に時間は過ぎて、昼休み。
岡本は昼食後、タバコを一本くゆらせながら、束の間の休憩を楽しんでいた。
息継ぎができないくらい忙しい時の流れは、岡本の頭のなかから加場を言い負かした事件のことなど消し去っていた。

そこへ一本の電話。
ケータイを開き電話に出た岡本の顔が、見る見るうちに蒼ざめていった。
加場からコールセンターへ「配達員の態度悪し」とクレームの電話が入ったらしい。

「ちがいます!」
「冗談じゃないですよ。どうして私が悪者なんですか?」
岡本は必死になって説明したが、わかってもらえなかったようだ。

会社の見解は・・・。
加場の行為は悪フザケであって、本気で荷物を盗ろうとしたわけじゃない。
この日はたまたま該当する荷物がなかったものの、加場がお客さまの一人であることに変わりはない。
「窃盗未遂だ」などと脅かすのはもってのほか。
「やめてくださいよ〜」とか、「困るんですけどぉ」程度にしておくべきだ。
と、こうゆうことだったらしい。

「なあ、ゆうや、どう思う?」
失意の岡本がぼくに聞いてきた。
「ちょ〜ムカつく客ですねえ。悪いのは向こうのほうやのに」
ぼくは岡本から詳しく事情を聞き、感じたままを口にした。
「客に対して、そこまで卑屈にならんとイカンもんかのう?」
「そんなことないでしょう」
申し訳ないことに、ぼくは無責任に答えながら、よそ事を考えていた。

セクハラおばんにホッペや体を触られたりしても、ブチキレて「やめんかい!」とか乱暴なことを言ってはいけないし、「セクハラは犯罪ですよ」なんてことを言ってはダメなのか?
ただ黙ってなすがまま、スイカがメロンにしていなければならないのか?
お客さま第一主義ってのは、果たしてそうゆうことなのか?

どこか、なにかが狂っている。
「お客さまだから」と錦の御旗をチラつかせられると、言いたいことも言えない。
「お客さま第一主義」とゆう名の理不尽。

岡本は午後からお国替えになった。
ようやく慣れてきた担当地区から、全く不慣れな場所へと回されたのだ。
加場から「二度と近寄らせるな」と要望があったんだろうか?

岡本さん!
ぼくが言ってやりましょう。

やい!カバ!
貴様を「窃盗未遂容疑」及び「お客さま第一主義の悪用」で逮捕する!
 


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