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2005/08/07(日)
4階のないマンション ―前編―
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先日、あるマンションに荷物を届けに行ったときのこと。
7階建てのそのマンションは築20年を軽く超えていて、かなり老朽化が目立っている。 通路の電灯は薄暗く、ところどころ平気で切れたままになっていたりする。 入居者がいない部屋のドアの新聞受けには、ピザ屋とか闇金のチラシ、それにピンクチラシまでもが投函されている。 それらのチラシが埃だらけになり、湿気を帯びて萎れているところを見ると、管理する不動産屋から見放されて久しいのだろう。 建物を囲っている金網のフェンスも破れが目立ち、ところどころ大きく傾いている。
夜遅くに遠くから眺めると、電気がついている部屋は全60戸ぐらいのうち20戸程度だろうか。 部屋の窓から見下ろす夜景はきれいだと想像できるが、とにかく寂しげなのだ。 「できれば、夜間は配達に行きたくない」 そんな感じがするマンションだ。
このマンションの名前を聞いて驚くな。 その名もゆかしき・・・古井マンション(もちろん名前はウソです!)
ぼくがそのマンションに着いたのは、午後3時頃。 そっと心のなかでつぶやく。 「昼間でよかった」 目指すは403号室。 下品な落書きが目立つエレベーターに乗り、4階のボタンを押した。
そして、エレベーターを降り、いちばん近くの部屋の番号を確認すると・・・。 501号! ここは4階がないマンションだったのだ。
でも、これは特別珍しいことじゃない。 「死」とゆう言葉を連想させるとゆう理由で、日本人は必要以上に4の数字を忌み嫌う。 104とか204とか、4の付く部屋がないマンションなんてザラにあるし、それを飛躍させた形で「4階のないマンション」なんてのも十分にありえる。 しかし、それならそうで、エレベーターのボタンもちゃんと直しておくべきだ。
ぼくは階段を降りた。 こんなエレベーターより、自分の足のほうが信用できるからだ。 そして、さっきと同じように部屋番号を確認した。 305号・・・。 やっぱり4階のないマンションだった。
それにしても、荷物の伝票には403号室と書かれている。 「書きまちがいか?」 そう思ったぼくはケータイを取り出し、伝票に書かれている番号に電話をしてみた。 「あなたがおかけになった電話番号は現在使われておりません・・・」
電話連絡の道を閉ざされたぼくは階段を駆け上がり、503号室のドアに不在連絡票をはさみこんでおいた。 4階がないとゆうことは、つまり実際には4階に当たる部分が5階とゆう表示になった。 そうゆうふうに考えるのが普通だと思ったからだ。 ただし、100%正しいとは限らず、したがって不在連絡票には「部屋をまちがえてたらスイマセン」とゆう一文を書き添えた。
≪続く≫
―後編― http://diary1.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/rommel/?Y=2005&M=8&D=8
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