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2006/03/23(木)
問答無用の凡人問答
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天才同士の問答。
イチローが王監督にたずねた。 「打撃は簡単でしたか?」
王監督は答えた。 「簡単だったことはないよ」
王監督の言葉を聞いて、イチローは思った。 「ぼくもそう思ってきた。偉大な打者に言ってもらって勇気づけられた」
深すぎて、ぼくにはわからない。
でも、王監督の決しておごらない姿勢、謙虚で誠実な人柄に触れたとき、イチローは大きな何かを感じたんだろう。 そして、偉大な王監督が率いる日本チームを、何が何でも世界一にすると誓ったんだろう。
なんて美しい話だ。
◇ ◇ ◇ ◇
凡人同士の問答。
ゆうやが現場監督にたずねた。 「仕事は簡単でしたか?」
現場監督は答えた。 「簡単だった。こんな簡単な仕事ができなくてどうする!」
現場監督の言葉を聞いて、ゆうやは失望した。 「やっぱりそうか。ぼくだけができないんだ」
なんなんだ? この問答無用のわからなさ。
◇ ◇ ◇ ◇
慣れない現場の初日の作業。 道具のある場所、どんな道具があるのか、わからない。 段取りの説明がないから、作業の進め方がわからない。 作業箇所の説明もないから、次にどこへ行くべきかわからない。
「先輩の背中を見て覚えろ」 そう言われるから、手際よく働いている人の背中を見ていた。 すると、いきなり怒鳴られた。 「ぼんやり立ってないで、あの道具を取ってこい」 あわてて道具を置いてある場所へ行き、偶然なんとか探し当てた。 天の助けかと思うほどうれしかった。 戻ってきて道具を差し出した。 「はい。取ってきました」
その程度のことで誉めてもらおうなんて思ってない。 が、ぼくの愛想笑いは冷たい空気でヒビ割れた。 深く大きくため息をつかれたあと、また怒られた。 「アホ!これだけでは使えんのやが!あれも一緒に取ってこい」 言われて見れば、なるほど。 あれとこれは一対で使う道具なんだ。
再び道具置き場まで走った。 焦りまくる手に欲しい道具が当たってくれない。 2分、3分と時間が過ぎてゆく。 現場のほうを見ると、「何やっとんや?」の吹きだし文字が躍っている。
ついに見かねてやってきた。 さっき怒鳴ったオジさんが、苦虫を三匹かみつぶしながら。 「どこ見とんじゃ!ここにあるやろ!しゃんとせいや!」 こうゆうとき、ぼくは一生懸命やってるのに…と過剰に正当化してしまいそうになる。 でも、ぼくはブチキレ方を知らないから、謝る。 「あ、すいません…」 鏡に映して見てみたいほど、ミジメなぼくの姿。
白紙に仕事のレイアウトが書けたら一人前。 それはわかってる。 20日間のこの仕事では、そこまで届かないこともわかってる。 けれども……。
長い一日だった。 仕事は5回コールドぐらいの楽勝だったけど、疲れた。
夕食のあと、一番大切な人にグチを聞いてもらった。 「そのオッサンさー、すっげぇ意地悪そうな顔してやがるんだ」 大切な人は、ぼくと一緒になってそいつをコキおろしてくれた。 それだけで気が済んだ。
「俺、負けないから心配すんなよ」 逃げ出したくない。 バカにされたまま終わりたくないんだ。 明日も明後日もゲンキ♪ゲンキ♪
オッサン、朝一番ラジオ体操で勝負すっか?
◇ ◇ ◇ ◇
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