|
2006/03/09(木)
最優秀主演男優賞
|
|
|
4tユニック車で丸太を吊り上げる作業をしていたときのこと。 親方とマサオさんは、トラックの荷台の上に立っていた。 ぼくは、そこからほんの数メートル先に置いてある丸太にワイヤーを掛ける役目だった。 9ミリのワイヤーには、きついクセが付いていた。 ぼくの力ではどうしようもなく、ワイヤーがなかなか丸太の下を通らない。
「なんにもでけんヤツやな。ホンマにアホや」 短気な親方の憎々しげなつぶやきが、風下にいたぼくのところまで飛んできた。 いつものことだけど、相手に聞こえているとは思っていない。 面と向かって文句を言えばお互いスッキリするかも知れないのに、それをしない。 だから嫌われているってことを知らないんだ。
ぼくは頭にきて、あっさり諦めてやった。 「無理みたいです。エヘヘヘ♪」 ホコリっぽい現場の空気が固まり、また親方がつぶやいた。 「今頃の子はすぐに仕事を投げる。困ったもんや」 ぼくは照れ笑いをしながら、悔しさが止めどなく押し寄せてくる。
(あのさ〜、全部聞こえてるんですけど) (いちいちウルサイんじゃ・・・たこ坊主!) こんなふうに言えたら、どんなに気分爽快だろう。
もしも、ぼくが本心をあらわにしたら、たぶん親方とケンカになる。 倍ほども年上の人と。 でも、ぼくは親方のつぶやきが聞こえなかったフリをする。 なんにもなかったように演技をする。 レッドリボン最優秀主演男優賞がもらえるぐらい。
こうゆうぼくって二重人格者なんですかねぇ?(笑)
◇ ◇ ◇ ◇
朝一番の青空。 薄い空色が大好きです。 ↓さーさークリック↓
|
|
|
|