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2005/07/04(月)
Critical Period
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Second Language Acquisition に Critical Period はあるのか? 去年のプレゼンのテーマでした。 要するに言語を習得するための最適な時期っていうのが存在するかということ。 仮説 「幼少期から思春期にかけて言語習得においてめざましい発達を遂げる」 その仮説が一般に広がっていきでてきた考えがこれである。 「外国語を学び始めるのは、早ければ早いほうがいい」 この考えが今広がっている小学校英語教育の根強い動機になっている気がする。
しかし本当にそうか? 思春期を越えた人々は本当に成長が遅いのか? 必ずしもそうでないと思う。 単純に言語習得といってもたくさんの能力がある。 音に関する能力。 文章構成の文法的な能力。 用例からルールを導き出す能力… これら挙がってくる能力は単純に分けてしまえば2つに分けられる。 分析能力と記憶能力。 これらの能力は全ての学習者が持っているものである。 当然そこには個人差があるが。
学習者には分析能力が高い者、記憶能力が高い者と2つのタイプが存在する。 もちろん個人レベルでも分けられると思うが、 Critical Period を考えるということで年齢という点から考えてみる。 そう考えるとおおまかにではあるがこう分けられるのではないか。 分析能力が高い者=脳が発達し、たくさんの情報量から正確に物事を判断できる学習者、つまり思春期を越えた学習者。 記憶能力が高い者=思い込みがなく新しい情報を素直に手に入れることができる学習者、つまり子供。
同じ言語習得を目標としていても能力が違う。 それならばその能力を活かす学習法が必要である。 要するに、思春期までの学習者に関してはその高い記憶能力を活かす学習方法。 例えば、実際のコミュニケーションを通じてそこから情報を得て覚えていく学習法など。 思春期を越えた学習者に関しては、その高い分析能力を活かす学習方法。 例えば、文法的な説明を解析していく学習法など。
現在日本でCritical Period が最初に述べたような時期だと思われているのは、 今挙げた2つの学習法のうち、後者のものが時代遅れだと思われているから。 言語は生きているという言葉からはやってしまった教育者たちが前者の学習法を外国語学習法として適したものと決め付けているからではないか?
それは間違いだ。 言語習得には全ての能力が必要である。 記憶能力だけが優れていてもダメ、 分析能力だけが優れていてもダメ。 結局ゴールは言語習得で一緒。 それであるならばそれぞれが自分の能力にあった学習法で言語習得を目指すべきではないか。 early immersion は記憶能力を活かし、 late immersion は分析能力を活かし、 そうして最終的に言語習得という目標を達成すればいい。
タイトルのCritical Period というもの、 研究はたくさん行われているが今のところその明確な証拠はない。 まずは言語習得にCritical Period があるのかどうか、 その研究はまだまだ行われなければならない。 同時に空論を掲げて教育方法を変えてしまったり、 間違った常識を作ってしまうのはナンセンスだと思う。
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