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2004/12/26(日)
石垣りん歿
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詩人の石垣りんさんが亡くなった。石垣さんの詩は国語の教科書にしばしば登場するので、多くの人が記憶のどこかにあると思う。
代表作は「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」だが、それに限らず、作品の主流は日常から湧き出る感情の昇華であり、ときに静かな雪の下に眠る武装から雪崩を戦争と歌い、ふと目覚めた枕元で秋を感じて旅情を歌い、馬車馬のように働く日々から空想で天馬を歌い、生活の中では女湯を芋を洗うようだと歌った詩人である。
詩とは身近なものでありながら、定期的にもしくは部屋の本棚に詩集があり手にする人は少ないだろう。書き手である詩人でさえ、詩の仕事だけで食べていかれる人は屈指であると嘆いている。ある意味では詩はマニア向けになっているともいえるのだ。しかし現代詩に触れてみると、思いのほか身近であるものだ。思潮社の現代詩文庫から出ている石垣りん詩集は今でも簡単に入手できる。ぜひとも多くの人に読んでいただきたいと思う。
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