日常日記
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2004/09/08(水) 先人の戦塵
プロフィールにも書いている通り、最近は書店に行っても面白い本が見つからない。売上至上主義の出版業界も悪しき原因だと思うが、書き手の質の低下も否めないだろう。直木三十五や吉川英治、司馬遼太郎などに比べて、優れた歴史小説を創れる書き手が今の世にいるかといえば、大半の読み手がいないと答えるだろう。

そんな中、水上勉が亡くなった。しっかりした小説を書ける書き手がまたひとり去った。この方が古いと思うのは85歳という享年もそうだが、宇野浩二に師事したことで強く感じる。宇野浩二は葛西善蔵や嘉村磯多などと並ぶ私小説で知られた書き手だが、もはやその続きを汲む弟子もいなくなり、私小説というジャンルもどこまで残るのかしれない。

水上勉は禅寺へ口減らしに出された生い立ちを持ち、作品の背後には仏教があるものが多かった。仏の道に全て則しているわけではなく、寺の差別戒名の問題を糾弾したりもした。大衆的にも売れた作品も残したし、様々な顔を持つ書き手だった。

晩年は心筋梗塞で病臥に臥し、リハビリに80歳を過ぎてからパソコンに向かったという、時代に負けない姿勢は見習わなくてはならない。中国では天安門事件に遭遇するなど、大正から平成にかけての様々な生き証人といえるだろう。85年の間にたくさんの作品も残した。冒頭に書いた直木三十五や吉川英治などより後で生まれた方だが、多分彼の作品は何十年後も残るだろう。


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