日常日記
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2005/11/03(木) トイレでしか読まない本
我が家のトイレには棚がある。トイレットペーパーの予備でも置くために設計されたのだろうが、私の場合、トイレ用の本棚として使用している。自分なりにトイレ向きの本を選んで置いている。そのときに読んでいる本をトイレに持ち込むこともあるが、トイレでしか読まない本もある。

今のところトイレに並べてあるのは、佐川章著の「大往生事典」(講談社+α文庫)や、天野貞祐の「生きゆく道」(角川文庫・絶版)など、生や死を題材にしたもの。生や死については、思春期を始めとして多くの人が考えることと思うが、私の場合、若かりし頃、これについて人一倍考えてきた結果、日常ではあまり考えないことにしようという結論に及んだ。身近な人物の死に直面したり、衝撃的な事故の記事を読んだりすると日常の中でも再燃することもあるが、なるべく日常には持ち込まず、閉塞された空間でのみ考えることにしている。

「大往生事典」は500人以上の作家について、命日の順に死んだときの状況が略歴とともに記されている。それらを並べて死生観を考えるのが主題のようだが、著者の私見や憶測は一切記されていないので、それぞれの死を至純に受け止めることができる。19歳の夭折もあれば100歳の大往生もあるが、作家に限っているので事件や自殺などが多く、これだけを読むと人生が皆、波乱万丈であるように思いがちになってしまうのが、出版物としての短所かとも思う。しかし1月1日から日付を追ってまとめられているので、今日は誰がどのように死んだのかと考えることができ、時間に流されてしまいがちの日常にほんの少し抗うことを手助けしてくれる本でもある。

その中で印象的なのは、私小説作家の葛西善蔵の最期だ。結核に蝕まれながらも飲酒を続け、酒を飲みながら「葛西善蔵の容態は絶望的」という朝刊の記事を読み、「なかなかよく書けている」と評したそうだ。自他ともに死が迫ったことを確実に認めた刹那に何を思ったことだろう。

他に渡辺照宏著の「死後の世界」(岩波新書)などもある。いずれにせよ、休日に居間でじっくり読もうという気にはなれないのである。かといって全く考えないわけにもいかない。ということで、限られた空間で断続的に読むことにしている。断続的ではあるが、生涯で積算するとわりとまとまった時間になるわけであるし。


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