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2005/11/08(火)
光と陰
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CS放送のファミリー劇場でドラマ「積木くずし」の最終回を見ていると、娘が非行から少しずつ立ち直る象徴的な場面として、母子でレストランに入るシーンが出てきた。そのレストランは半蔵門にある結婚式場なのだが、実は私は学生の頃、そこで下働きをしていたことがあり、ドラマの進行から離れてその頃のことをひとり思い出した。
それは私が上京して初めて働いた場所であり、18歳の私が華やかな結婚式場とその裏方の格差を目の当たりにした場所なので、ドラマのシーンを見ながら感傷的になってしまった。結婚式場という大きな組織の中で最下級の労務に臨んだ私は、この社会はぐずぐずしていると下っ端のままあっという間に歳を取ってしまうと痛感し、何とか這い上がらなければならないと焦ったものだ。
大学生の頃は、のべつ素寒貧だったこともあって学校へはあまり行かず働いてばかりいた。アルバイトという身分なので、仕事というより労働という色合いが濃く、経済的不安は将来の不安にもつながり、生活全体が暗かったように思う。そういえば自腹で酒を飲んだ記憶が全くないし、どこかで楽しく遊んだという覚えもほとんどない。
それに比べると今の方がどれだけ能天気で気楽な毎日だろうか。今の私は、何より日々の楽しさを最優先する生活なので、そのために犠牲になることはほとんど苦にならない。後でツケが回ってきそうなことはいくつかあるが、今を楽しめれば他は二の次というのが率直なところ。だからあの頃のように、見えない不安に怯えることはないのだろう。とりあえず、今の仕事に就いてから、私は仕事に行く前に「ああ、いやだ」と思うことは一度もない。それが当時と違う一番のポイントだろう。
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