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2006/02/03(金)
見えない線
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耐震偽装の事件を忘れかけてしまうかのごとく、ある日から東横インの改装問題が浮上した。東横インは何度か利用したことがあるが、個人的には気に入っている。利用する前からNという新興宗教が運営していることは知っていたが、利用者には布教はもちろんそれを全く感じさせない運営だったし、何より客として利用しやすかったためだ。念のために書き添えておくが、新興宗教をハナから否定するつもりはない。無宗教のこの国では、むしろどこかしらの宗教の信者の方が、誠実な人と感じることもある。問題なのは一部の宗教の上の方の金儲けに目がくらんだ一部の人間である。
今回は、不法な改装と同時に、障害者用の設備を軽視した社長の発言が問題を大きくした。しかし例えばバス通勤をする私は、車椅子対応の最新型の車両が来ると、旧型の車両より座席の数が少ないため、座れなければ損した気分になるのが本音であるし、改装により一般客室が増えたのであれば、満室になるところが1組余分に泊まれるわけで、方々探して満室の場合に東横インが空いていたら、改装の恩恵だというのは事実だろう。正しいか間違いかは別として。
人間に本音と建前があるように企業にもあるはずで、障害者の受け容れを積極的にしている宿泊施設があれば、実際は泊まってほしくないという施設もあるだろう。東横インは後者であり、障害者はこういう施設に泊まれば冷遇は必至なので避けるべきだろう。理想を言えばそういう施設は皆無でなければならないが、企業に自由競争で利潤追求をさせる限りは、こうなるのが現実だろう。いつでも弱者や少数派は切り捨てられる傾向にある。そして利用者でも障害者を受け容れる余裕のない心を持つ人は、障害者用の設備を改造するこのようなホテルをあえて選ぶかもしれない。
博多区祇園の東横インは、最初駐車場だった部分が千円理髪店に改装された。バス停のすぐ前にあるのだが、駐車場があった頃は一目瞭然でその筋の客のものとわかるベンツやセルシオがよく停まっていたので、他の客の視線を考えて駐車場を潰したのかと思っていた。結果としては印象は向上したように思うが、総理大臣の言葉を借りれば、その改装は『違法ならばいけない』ということになろう。しかし同じ違法ながら、歩道をバイクで走る新聞配達員や、サービス業従事者の路上でのビラ配りや、警察の独身寮での賭け麻雀などがなぜ立件されないのか、その基準は全く理解できない。
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