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2007/02/12(月)
映画「太陽」と「紙屋悦子の青春」
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小倉へ出かけたついでに映画を見てきた。これまで日記には映画の感想は書かなかったのだが、傑作だったので書くことにする。ちなみに、去年観た日本映画の中で、もっとも気に入ったのは「シムソンズ」。ジャンルは幅広く観る。
小倉昭和館Aで上映中の、イッセー尾形が昭和天皇を演じたロシア映画の「太陽」が目的で見に行ったのだが、同時上映の「紙屋悦子の青春」がよかった。事前の下調べもなく出かけたのだが、これは黒木和雄監督の遺作のようだ。そんな先入観なく見たがよくできていた。前半の4分の3くらいが、登場人物2、3人による対話が延々と眠くなるほど続き、ここ何日か睡眠不足だったので本当に眠りそうになったのだが、ぎりぎりのところで展開が変わり最後まで見ることができた。
2、3人の対話シーンは、この監督が戯曲形式を好むのか制作費の限界なのかなどと考えながら見ていたが、アダルトビデオの主演女優の前半の退屈なドラマシーン並みの序盤の引っ張りは正直うんざりするほどだった。しかしその引っ張りにより、後半のシーンが効果的に盛り上がる作りになっている。些細なことをきっかけに夕餉の時間が口論となるシーンなどは、家族の不具合のやりきれなさ、そしてその全て原因の一旦が戦争にあることが、間接的に静かに伝わってくるのである。
戦争を背景にした作品だが、空爆など直接の戦争のシーンはない。通行人を含めても7、8人しか登場しないシンプルな映画だ。ほとんどが対話形式で、台詞により時勢や人の感情が描かれている。予算が限られていても、質の高い映画を撮れるのだというお手本のような気がした。数は少ないが、まだ各地で上映中のようなので、興味のある方にはおすすめしたい。
「太陽」の方は、前半、ずっと(照明が)暗い場面が続くので少し寝てしまったが(^^;)、こちらも近年の映画ではかなり質の高い部類だと思う。昭和天皇を人間としての視点で捉えているが、ロシアから見た米国人の描き方も興味深いものがある。日本もこんな映画を上映できる世の中になったものだと時代の流れをつくづく感じる作品でもある。侍従長役の佐野史郎もよかった。
ちなみに、小倉昭和館の来月の上映のひとつは、ばんえい競馬を描いた「雪に願うこと」。スタンプがたまったのでタダで見られるし、また出かけなければならない。今日みたいなレベルの映画なら、1本で1800円出してもちっとも惜しくはないのだが。
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