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2007/03/16(金)
愛について考える
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古本屋で竹田敏彦著「愛の海峡」という本を見つけ、買って読んでみた。最近、愛に飢えているし、もっとも今自分に足りないのは愛だと思うし。でも、その辺にありきたりに転がっていて安価で手に入れることができる愛を自分の身にあてがっても、ひとときの悦びしか得られないことはわかっている。真の愛たる形而上はこの世に存在し、手を伸ばせば届くところにあるのか。愛について考える手がかりになるかもしれない。
少女院に入った主人公の女性が、そこで出会う人によって更正し、やがて世間の厳しさに晒されながら人の愛を享受する素晴らしさを知るというような内容だが、時代を超えて今でも昼メロで使えそうな内容だと思った。調べてみると、元々婦人倶楽部に連載され、昭和30年に映画化されたようだ。
著者の竹田敏彦は香川・多度津の生まれで、昭和初期から30年代にかけて活躍した書き手のようだ。この本は新書版だが、巻末のシリーズ紹介には、源氏鶏太や林房雄、富田常雄、柴田錬三郎、中山義秀、舟橋聖一、丹羽文雄、松本清張など早々たる大衆小説の書き手の名前が並んでいる。羨ましき時代だ。海音寺潮五郎が受賞したときの直木賞候補の一人でもある。同回の候補者には獅子文六の名前も見られる。
竹田敏彦は新聞記者を経て書き手に転じたそうだが、郷里丸亀の矯正施設「少女の家」の設立において特に中央官庁の接渉に尽力し、僻地小学校への物品寄贈なども盛んに行ったらしい。金光教の信者でもあったらしい。彼の描く愛の像をまだまだ見るため、今後他の著書も読んでいこうと思う。
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